Onlineシニア塾報告②<2021.5~>

 Onlineシニア塾は開講してちょうど1年の節目にあたる2021年5月、特別講座「ミャンマー問題を考える」で21回を迎えました。これを機に、以後の授業はページをあらため、この「Onlineシニア塾報告②<2021.5~>」に掲載します。これまでの講座<若者に学ぶグローバル人生>第19回までと、<気になることを聞く>の第4回まで、さらに特別講座<もっとZoom、初めてのSlack>は、「Onlineシニア塾報告①<2020.5~2021.4>」をご覧ください。なお、今回からは新しい授業が上に来るように、ウエブの通常編集通りに掲載します。

講座<とっておきの話>

第30回(2021.12.4)
 高橋慈子さん/星野真波さん 新しい学びの場を使った実践活動②

「新しい学びのカタチ」第2弾は、Udemyの教材『説明、連絡、相談文の書き方』を使って、相手に伝わる自己紹介文の書き方の演習などが行われた。最初に日本で働く外国人の方が書いた文章を、日本語講師の星野さんが添削して解説、次に、外国人にもきちんと伝わるプレインジャパニーズのポイントを高橋さんが解説した。そのあと参加者が即席で書いた自己紹介文をチャット機能を使って共有し、以前onlinesシニア塾に登場してくれたベトナムのチャンさんからも「わかりやすい日本語」の観点からコメントをもらった。
 日本企業にも外国人従業員が増えつつある時代を受けて、外国人、日本人とも、わかりやすい日本語で話す訓練をする必要があるというのが教材作成の動機といい、参加者が即席で書いた自己紹介文は、2人の講師や外国のゲスト参加者などから、企業内の話題に偏らない、趣味などは具体的に書いた方が対話のきっかけになる、なるべく難しい表現は使わない、四字熟語はわからない、などという厳しいチェックを受けた。
 文字通りの双方向コミュニケーションが繰り広げられる楽しい講義で、各自の体験や異なる意見などが語られ、参加者同士の親睦にも大いに役立った。今後のOnlineシニア塾のあり方に「一石を投じた」(あえて使用(^o^))と言えよう。冒頭写真は「プレイン・ジャパニーズ10原則」で、「能動態を使う」、「否定や二重否定を使わない」などが上げられている。

講座<気になることを聞く>

・第29 回(2021.11.23)
 シンシア・サヤス(Cynthia N. Zayas) 私の日本の50年間の思い出

 国立フィリピン大学国際研究センターの元教授兼所長で、フェリス女子大学の交換教授として横浜に滞在中のシンシア・サヤス先生に、日本とフィリピンを往復して感じた50年の思い出を聞いた。彼女はフィリピン大学で学士号(人類学)と修士号(アジア研究)、筑波大学で修士号(文化人類学)と博士号(文化人類学)を取得、「鼻で食べることと目で食べること」、「黒潮ルートのイモ栽培文化」、「海女」など、日本に関する興味深い研究も発表している(今回の担当はフィリピン在住で先生と交流の深い鮎澤優さん)。
 日本に始めてきたのは1970年代、16歳のときで、自然とともに暮らす日本人に感心した。研究テーマとして漁業関係を選び、伊勢志摩で海女、仙台で津波被害を調査するほか、長崎、淡路島、直島など全国各地を訪問、その多くを民家に泊まりながら庶民生活を観察してきたという。
 そういう経験のなかで感じるのは、日本人の食生活の変化、たとえばスパイシーあるいは「濃厚」な味が好まれるようになった、スーパーなどでは魚より肉が目立つようになり、かつて大衆魚だったサンマはいまは高級魚になった、旬のものはレストランを別に一般のスーパーなどでは見えなくなった、などを強く感じたという。一方で、真子さんが家族と別れの挨拶をするとき、妹の佳子さんと抱擁している写真に驚いたらしい(確かに)。今度のコロナ禍は日本人の生き方を変える(元に戻す)チャンスだと強く感じているようでもあった。その後は多岐にわたる質疑応答で盛り上がった。

講座<とっておきの話>

第28回(2021.11.13)
 高橋慈子さん/星野真波さん 新しい学びの場を使った実践活動

 Udemy(ユーデミィ)を使った教材制作の実践活動について、高橋慈子さんと星野真波さんに話していただいた(2人はOnlineシニア塾が縁で知り合った。写真右、上から4番目が高橋さん、3番目が星野さん)。

 UdemyはE-Learning用のサイトで、だれもが教材を出品、それをだれもが購読できる「教育のマーケティングプレイス」だという。すでに18万3000以上の教材が提供されており、4000万人以上の人が学んでいる。マーケットプレイスだから、自分の教材をいくらで提供するかは製作者の自由。2000円くらいから数万円と値決めはさまざまだが、動画コンテンツの質に関してはUdemy側のかなり厳しい審査がある。
 高橋さんは星野さんの協力も得て、すでに「伝え方と書き方 仕事の基礎力講座―就活に、転職に、日々の仕事に役立つ!」など4つの教材を提供、すでに200人に購読されている。高橋さんによると、「ビジネス的にはいまは初期投資の段階だが、紙の教材づくりよりは手ごたえがある」とのこと。
 なおこの授業は12月4日(土)に第2回があり、演習の実演もしていただく予定。

  今後は教材開発のお手伝いも「eラーニング」と呼ばれるITを活用した学びの方法は、従来から存在していますが、Udemy が新しい点は、動画を使った教材を制作すれば誰もが講師として。有料でリリースできることです。アクセス数に応じた広告収入がバックされるYouTube との違いは、受講料が収入となることです。ちなみにYouTube ではまず注目してもらうことが重要で、継続した収入を得ることは有名人でも難しくなっています。
 教材を制作するにあたって工夫したのは、ボリュームを多くしないで、学びたいときに1テーマでサクッと学べるように完結させたこと。また、説明に変化を付けるために、最近の2 つのコンテンツでは、ゲスト講師からの説明パートを加えています。
『説明、連絡、相談文の書き方』では、日本語講師の星野真波さんが、受講生からよく受ける質問に対する回答をわかりやすく伝えてくれました。『伝え方と書き方 仕事の基礎力講座』(写真)では、フリーアナウンサーの中村麻里子さんに登場いただきました。プロの話し方はさすがですね。 
 収録はオフィスの一角で行っています。コロナ持続化給付金を使い、オンライン研修や動画収録ができるようにリノベーションしました。IT関連の書籍で共著が多いテクニカルライターの八木重和さんが収録と動画編集を担当してくださっています。私はシナリオや教材作成と解説担当です。
 それぞれの得意な点を持ち寄って、スピーディーに質のよいコンテンツをリーズナブルに制作して提供していくことを目指しています。これまでのように書籍を出版社から出してもらうといった受け身の姿勢から、主体的にコンテンツ制作に踏み出せたことが新たなチャレンジです。
 今後は、教える知識とスキルを持っていても、動画収録や編集の技術がない方の教材開発のお手伝いもしていきたいと考えています。
 まずは、Udemy の学びはどのようなものか、以下のリンクから是非、体験してみてください(T)。
『説明、連絡、相談文の書き方』https://www.udemy.com/course/bzwriting/?referralCode=4F5AE3BD8BFD4661D9BB
『伝え方と書き方 仕事の基礎力講座』https://www.udemy.com/course/comucationbasic/?referralCode=C93910A83C0F7A307B78

講座<若者に学ぶグローバル人生>

第27回(2021/10/12)
 ケオケンチャン・トンカンさん。テレビのアナウンサーになるのが夢で大学ではラオス語を専攻したが、アニメ映画「もののけ姫」を見て日本語に興味を持って勉強を始めた。卒業後、一時は日本企業に就職したが、もっと日本語を勉強したいとラオス国立大学内の日本語センターに勤務。現在は明海大学大学院博士後期課程応用言語学研究科に在籍、日本滞在は6年になり来春、帰国の予定。いま日本文化をどん欲に吸収しつつある。ラオス人留学生協会長。
 9人兄弟の7番目。弟も日本の大学医学部に在籍していたが、つい最近帰国した。陽気で社交的、和服を着たり、カラオケに興じたり、日本の生活を楽しんでいるようだ。日本に来て驚いたのは、バスに乗るのにみんなが整然と長い列を作っていること、財布を忘れても戻ってきたこと。「こんなことはラオスではないですよ」。
 日本語はいまはずいぶん達者だが、学ぶ際の困難はラオス語、日本語の対訳辞書がないことだったといい、タイ語を介しながら勉強したらしい。帰国したら、まず「辞書作りに取り組みたい」と熱い抱負を語ってくれた。「いまは語学学習にITも活用できるから、帰国したら辞書作成の大プロジェクトを起こしてください」とのエールも。

新講座<とっておきの話>

第26回(2021.9.17)
西岡恭史さん・ハッピーエンディング・プランナー

 新講座<とっておきの話>はOnlineシニア塾のIT顧問でもある西岡恭史さんが取り組んでいる地域における高齢者向けのデジタル終活指南の現状、苦労話を聞いた(写真右最下段が西岡さん)。

 西岡さんは日本大学生産工学部を卒業してIT企業に就職したが、デジタル技術、とくにインターネットの激しい技術革新を前に再勉強しようとサイバー大学IT総合学部に入学、卒業後さらにSBI大学院大学も修了するという〝勉強大好き〟な人である。
 2008年の母親の死に際して、葬儀の段取り、お墓の購入、役所や保険会社の手続きなどで苦労した経験をもとに、デジタルを終活に生かす仕組みを作れば便利ではないかと、会社をやめてお年寄り向けのサービス、「ハッピーエンディングプランナー」としての活動を始めた。
 自宅がある練馬区の区関連施設や団地集会所などでいろんな相談や指導に応じている。身近に相談できる子や孫がいないお年寄りにとって、たいへんありがたい支援活動で、テレビ朝日の「東京サイト」などでも活動が紹介されているが、多忙とは裏腹に、ボランティア的な支援に終わりがちで、起業したとはいうもののビジネス的にはなかなか大変なようだった。西岡さんの連絡先などは以下の通り。 

新設デジタル庁に期待 たとえば、突然交通事故で死ぬ羽目になった場合、自分の身元を証明できるようなカードを身に着けているか、死後の連絡先などをパソコンやスマホに入れておいても、家人にパスワードがわかるようにしておかないと結局は見られない、「デジタル遺産」ともいうべきウエブ上の自分の書き込みは死後、どういうふうに処理するのが適当なのか――、西岡さんの話を聞いていると、私たちはずいぶん迂闊に生活しているのに気づかされる。
 アップルが「デジタル遺産プログラム」を始めるなど、IT企業もこれらの取り組みを始めているが、これは本来、自治体や政府が率先して行うべきことで、西岡さんなどの先駆者にはそれなりの補助などもあってしかるべきだという気がする。新しくデジタル庁が発足したことでもあり、こういうボランティア的な事業に手厚い保護がを与えられるような政治が求められるのではないだろうか(Y)。

 新講座<とっておきの話>はOnlineシニア塾に参加しているメンバーが自分がやってきたこと、その間に経験した興味深い話、今取り組んでいることなどをお互いに報告しあい、コミュニケーションの輪をより広げようという授業です。

講座<若者に学ぶグローバル人生>

第25回(2021/8/29)
 中国のジャンミャオさん(Jiang Miao)。清華大学卒。2015年に清華大学-東京工業大学合同プログラムで初来日。2017年に清華大学「材料科学と工学」と東工大「電子物理専攻」から修士ダブル学位を取得して卒業。東京大学で博士後期課程に入って研究を続ける。研究内容は半導体に関する新型メモリ技術。2020年に東大「電気系工学」から博士学位を取得して、日本学術振興会特任研究員として東大で働いている。
 一時は半導体部門で元気だった日本もいまは停滞気味、世界のシェアは圧倒的に台湾に握られているのだとか。ジャンさんはその最先端で研究を続けており、その現状を丁寧にやさしく説明してくれた。参加者からは「超優秀大学・精華大学から日本の大学への留学で、指導教授も良く、研究設備も良い環境で充実した研究を続けておられ嬉しいです!どうか日本の研究仲間と親しくなって国を超えて世界に貢献できる研究を展開してください。世界平和に貢献できる成果を期待しています!」との感想も寄せられた。

講座<気になることを聞く>

・第24回(2021.6.13)トランプ大統領によってあぶりだされたアメリカ社会の亀裂③

 バイデン大統領誕生からすでに半年近くたつが、トランプ前大統領の共和党内の人気はいぜん衰えていない。反トランプの急先鋒だった共和党議員団のナンバー3だったリズ・チェイニー議員は更迭され、共和党は前大統領との関係を今後も維持する構えである。トランプ氏は3月の全米規模の保守系イベントの集会であいさつ、次期大統領選への出馬もほのめかしている
 ここに一つのデータがある。5月下旬の段階で、共和党員に「議会占拠の責任はだれにあるか」と聞いたら、「トランプ」や「共和党」よりも、「民主党」と答えた人が一番多かった(The Economist)。「トランプ大統領によってあぶりだされたアメリカ社会の亀裂」は、いよいよ混迷の度を加えているようにも見える。そういう状況を受け、本授業も4年後を視野に入れつつ、少し長期的に話していただくよう宮前さんにお願いしている。

講座<若者に学ぶグローバル人生>

第23回(2021.5.29)
タイのドゥアンケーオ・スットプラータナー(Sutpratana Duangkaew )、通称リボンさん。タイ北部のチェンマイ出身。2007年に1年間琉球大学に短期留学し、2013年~2016年、文部科学省の奨励金を受けて琉球大学大学院(博士後期課程)を卒業。その後、タイのスズキモータースで通訳、東京の日本企業の海外部正社員として勤務。タイと日本を架け橋する活動として、2011年からのタマサート大学大学院時代にアジアの新しい風(Iメイト)に参加し、現在もOBとして活動を続けている。現職はタイ・マヒドン大学で日本語・日本学の講師。
 日本の留学先が沖縄で、日本人以上に沖縄通になり、空手など沖縄の文化に親しむなど、多彩な活動に取り組んできた。明るく真摯な人柄で、始終笑顔を絶やさず、日本とタイの風俗の違い、生き方の違いなどについて話してくれた。最後に「いろいろ不満があっても、文句を言うことはやめて、コツコツと自分の得意分野を生かしながらタイの発達に尽くしたい」と決意を話してくれ、多くのメンバーの共感を呼んだ。

第22回(2021.5.9)
中国のジーイーさん。北京大学を卒業後に来日して東京大学修士課程を修了、2年前から日本の求職検索サイトでシステムエンジニアとして働いている。2020年からは東大社会人博士コースでIT関係を学んでおり、その課題は「顔画像の対抗学習サンプルの検知と復元」とか。
 語学が趣味で早くから英語のほかに日本語を学習、多文化を経験したい、空気がきれいで安心できる場所、母国からあまり遠くない国といった周到な〝検索〟の結果、日本が選ばれたようだが、すっかり日本が気に入ってくれた様子だった。細かい検索システムについての「講義」もあり、我が聴講生たちも技術的質問を繰り出し、充実した授業となった。

アジアの新しい風 ジーイーさんは「アジアの新しい風」の上高子さんに紹介していただいた。通称「アジ風」はアジアの日本語学習者への支援や文化交流などを行い、相互理解を深めながら、アジアの平和、ひいては世界の平和に貢献することを目指しているNPO法人である。もう十数年の歴史があり、アジ風のお世話になった留学生も多い。いまは中国(清華大学)、タイ(タマサート大学)、ベトナム(貿易大学)、インドネシア(パジャジャラン大学)と交流している。
 趣旨に賛同してくれた会員の日本人が「Iメイト(愛メイト)」になって、留学生と一対一の関係をきずきながら支援の輪を広げており、逆に世話になった学生たちが今度はアジ風の運営にも協力するという、まことにすばらしい民間外交が繰り広げられている。奨学金支給や交流大学への日本語教師派遣なども行っているという。Onlineシニア塾で登壇していただいたベトナムのチャントゥチャンさんやジーイーさんは、そのサポーターでもある。
 本授業の前日にやはりZoomを使って行われた「春のIメイト交流会」は100名を超える盛況だった。Onlineシニア塾当日には、上さん、奥山寿子さんなど5人のアジ風関係者が参加してくださった(Y)。

特別講座<ミャンマーへの支援を考える>

第21回(2021.5.8)
  特別講座<ミャンマー問題を考える>は<気になることを聞く>第13 回(2021.2.10)「ミャンマーの軍事クーデターで苦悩する日本在住の若者たち」に続くものだが、特別講座として、より広く参加者を募って行った(担当/星野真波ほか)。ミャンマー人の若者(社会人)からは軍事政権とアウンサンスーチー国家顧問が率いるNLDとの長い抗争の歴史が説明され、ヤンゴンに滞在中の日本人企業家、後藤信介さんから現地の状況も報告していただいた。当日の参加は30人余、これまでの授業で最大だった(写真は当日発表の資料から)。


 ミャンマー情勢はいまも激しく動いているが、ミャンマーの人びと、とくに若者たちが命をかけてまで軍事政権に抵抗している背景には、「いまここでひるんではミャンマーの民主化の機運はしぼんでしまう」という強い危機感があるからだと言う。日本人としてどのような支援が可能なのかも、ミャンマーの子供たちの教育的支援などでいくつか提案がなされ、今後ともミャンマーと日本との交流の懸け橋をめざす努力をすることになった。以後は通常講座<気になることを聞く>に戻って適宜開催する予定。

日本に住むミャンマー人は4万人近い 日本にはミャンマー出身者が4万人近く暮らしています(表は在留外国人の数。中国、韓国、ベトナムの順)。その中の5000人強が留学生で、流暢な日本語を習得する人が多く、その話し方から、優しい人柄が伝わってきます。この数年、日本語の指導を通じて接点を持つ機会が増え、今後は日本社会における存在感が高まっていくと思っていた矢先のクーデターでした。
 2月1日の前夜まで、 仕事、勉強、アルバイトに忙しい日々を送り、暇な時間はゲームや動画を楽しむのが日常だったのに、その日から国家の将来像を真剣に考える当事者になっちゃった・・と、発表者の一人が冗談交じりに話してくれました。
 興味のなかった複雑な歴史を学び直し、知り合ったばかりの仲間たちと連携しながら日々活動をしています。 民主化を取り戻すための連帯を呼び掛ける思いが、日本社会へ広がるまでは頑張り続ける覚悟が発表からも伝わってきました。ミャンマーの教育事情は、義務教育を終えられない子供たちの実情を説明するためにも、発表で取り上げたい話題の一つでした。
 ミャンマーの子供たちは、教室で大きな声で発言し、雰囲気を盛り上げ、それを喜ぶ先生を見るのが、嬉しいのだそうです。(日本の学校で、それをされると、少々困るのですが・・)。 学ぶことが好きで、指導者との関係を大切にする彼らの習慣に敬意を払いながら、充実した教育環境の提供の一助となる支援を模索していきたいと思います(H)。

Zoomサロン仕掛人

<Zoomサロン>お手伝いします

 コロナ禍の外出自粛生活を機に、これまでバーチャルな会合には興味がなかった人びとも、インターネットで仲間と旧交を温めたり、新しい会話の機会を広げたいと思い始めたりしているようです。従来のカルチャーセンターのような集いをサイバー空間に築こうという動きとも言えます。

 当Onlineシニア塾はそういう背景のもとにパイロット・プロジェクトとして2020年5月に遠隔会議アプリ・Zoomを使って開設しました。これまですでに12回のミーティングを実施してきましたが、その経過のなかで、Zoomミーティングに参加したい、あるいは自分も趣味などのささやかなミーティングを主宰したいと思いながら、いま一歩を踏み出せずにいる人が多いことを知りました。周囲にZoomの懇切丁寧な指導をしてくれる人を見つけるのもなかなか難しい状況です。

 そこでOnlineシニア塾では、このほど<Zoomサロン仕掛け人>稼業を始めました。「元締め」のもとに、Zoom指導の実績が長いOnlineシニア塾IT顧問の西岡恭史が仕事を請負います。

 Zoomは実は扱いやすいソフトで、送られてきた招待状のURLをクリックするだけでミーティングに参加できます。だから参加出来たらほぼ8割がたのハードルを越えたことになりますが、そのハードルが超えられない方も多いようです。だからスマートフォンを使った指導なども行います。またZoomにはいろいろ機能があります。会議を主催するときの便利な機能についても伝授します。

 コンピュータへの習熟度、考えているミーティングの規模などによって悩みは様々でしょう。オンライン上にはすでにZoomマニュアルは氾濫していると言ってもいいですが、それはある程度インターネットになれた若者向けだったりして、ずぶの素人には結局、よくわからないということもあります。当「Zoomサロン仕掛人」はそういう初心者にこそ門を開いています。

 昔、マイカーブームがやってきたころ、「エンジンブレーキはどこで売っていますか」と聞いた人がいたそうです。インターネットに関するそういう初心者もアクセスしてみてください。

 矢野はパソコン黎明期に『ASAHIパソコン』というパソコン使いこなしガイドブックを創刊し、その後は「IT社会を生きる杖」としてのサイバーリテラシーを提唱してきました。広がるサイバー空間を積極的に、かつ賢く利用すると同時に、IT社会をより快適でより豊かなものにするのがサイバーリテラシーの願いでもあります(サイバーリテラシーについては、本<サイバー燈台>の「サイバーリテラシーとは」などを参照してください)。

2021.2.2 <Zoomサロン仕掛け人>矢野直明
問い合わせ info@cyber-literacy.com

 

おもいっきりZoomサロン

 全国津々浦々で呱々の声を上げつつあるZoomサロンの一覧をここに掲載します。こういうユニークなことを始めたといったお便りをお待ちします。また<Zoomサロン仕掛け人>が関与したZoomサロンに関しては、すべてここに掲載させていただこうと思います。

◎2021.7.29 「気候危機とラウダート・シ ~ 母なる地球に愛をこめて」<Zoomサロン探訪記①>

 Onlineシニア塾のメンバーでもあるメリノール宣教会修道女、キャサリン・レイリーさんが主宰して7月29日午後7時から2時間ほど行った環境問題オンライン・セミナーに参加した。「ラウダ―ト・シ」というのは2015年にローマ教皇が環境問題に関して行った回勅(重要なテーマについて教皇が信徒に直接語りかける「手紙」のようなもの)のタイトルである。

 各地の修道院関係者や気候問題に関心をもつ人など60人以上が参加し、基調報告を聞いたあと各地の実情や意見交換を行った。最後のディスカッションまで残った人が40人以上いた。米国のゴア元副大統領が携わり、世界100か国以上で開催されている環境問題に関するセミナー、クライメート・リアリティ・プログラム(Climate Reality Program)の一環でもあり、第1部ではプログラム・リーダーの資格をもつ理学博士、境野信さんが講演した。

 その中で「人新世」という言葉が紹介されたのが印象に残った。地球は地質学的に見て新たな年代に突入したという考えに基づいており、人間の活動の痕跡が地球の全表面を覆いつくした年代という意味である。地表はビルやコンクリートで覆われ、海にはマイクロプラスチックが浮遊し、大気は二酸化炭素で充満している。もはや未開地はないばかりか、人間の活動は全地球を覆うに至った。

 それは同時に人間の経済活動が地球を食いつぶしていることを意味する。新自由主義経済はすべてを市場に取り込み利潤の糧とし、人びとの精神や魂まで切り崩しているが、今や地球危機そのものが私たちの生き方を抜本的に改めることを迫っているわけである。 

 私たちは今何をすべきか、というのがセミナーのテーマで、2050年までに二酸化炭素排出量をゼロに抑えるための政治的課題とは別に、私たちが日常的に二酸化炭素放出を減らすためにできるものは何かと言った身近な提案も行われた。境野さんによれば、化石燃料で飛ぶ飛行機に乗るのも、なるべく控えた方がいいのだとか。

 コロナ禍のもとで強行された東京オリンピックでは不祥事が頻発しているが、オリンピック関係者用に調達された食糧の大量廃棄をどう考えるべきか。このような無駄を何の痛痒も覚えずにやれるようになっている現代人の感性をこそ問題にすべきだと、突然、発言を求められて、私はまとまりのない感想を述べた。

 最後にキャサリンさんが、「前回は20人規模の参加者だったが、今日はその倍以上。少しずつ仲間を増やしていくことが力になる」と述べ、事務局の水谷安江さんは「講演依頼があればどうぞ」と呼びかけていた。

 たしかに。こういうZoomサロンをもっと広げていくべきである。だからこそ、Onlineシニア塾にも多くの人に参加してもらいたいと、我田引水的に思ったわけでもある(Y)。

 なお次回セミナーは10月13日19時からだそうです。希望者はcommon.home5292021@aol.comまでメールを。

<探訪先を探しています。ご連絡いただけると幸いです>

◎2021.1.9 『探見』の会「江戸城おもしろ史―天守再建ができたら」

 Onlineシニア塾の主要メンバーでもある森が主宰する『探見』の会(メールマガジン『探見』を毎月発行、読者1000人)が、従来実施してきた現地見学会や講習会を自粛せざるを得なくなって、急遽、オンラインで行なった。40人以上の申し込みがあり、今回の講師は、江戸城天守を再建する会会長太田資暁さん(太田道灌の子孫)。 私もZoomサロンを主宰するのは初めてで、西岡恭史仕事人に助力をあおいだ。パワーポイント画面80枚以上を駆使した太田さんの講演はスムーズに運び、その後の質疑応答、意見交換も大盛況だった。まさに「案ずるより産むが易し」というのが〝大仕事〟を終えたときの感慨だった。(『探見』編集発行人・探見の会代表幹事 森治郎)

◎2021.1.30 「子育てとの両立をしながら働く女性を支援するためのオンラインサロン」

 高山れい子さんが主催する「子育てとの両立をしながら働く女性を支援するためのオンラインサロン」を西岡が手伝いました。事前に主催側とのZoomでの打合せ、当日サロン開始前にMC担当者とも打合せを行いました。
 講師の川崎市議会議員、各務雅彦氏の、地域の子育て環境の向上を目指して議員になった経緯や、銀行勤めをしながら2人を育てたシングルパパの奮闘ぶりを聞いた後、質疑応答がありました。土曜日の昼間ということもあり回線の不備があった方もいたが、8名参加のもと無事終了しました(N)。

◎2021.2.21 高承研でもミャンマーの若者から話を聞く

 Onlineシニア塾第13回<ミャンマーの若者に聞く>をきっかけに、私の主宰する「高度技術者育成と技能伝承研究会」(高承研)でもミャンマーの若者から話を聞きました。前日にマンダレーで国軍の発砲による死者の報道があった影響もあってか、参加頂いたのは星野さん、ミャンマーの若者2人、高承研側は私を含め9名が参加しました。
 話を聞いた後は、CDM(市民的不服従運動)について、アウン・サン・スーチーさんの評価、影で軍を支援する中国の影響力 への懸念、支援活動へのカンパ、広報活動の重要性などについて活発な議論がありました。
 最後に、年長者から60年安保や70年安保闘争のころの思い出や反省の弁を伺い、それに基づいて、短期的な思いに駆られて跳ね上がった活動は控え、理性的、科学的に対処することの重要性が語られました。スーさんからも現状への考え方や抱負が語られて、自分の意見を堂々と話される様子に感心しました。たいへん有意義な会でした(「高度技術者育成と技能伝承研究会」主宰・大野邦夫)。

Onlineシニア塾報告①<2020.5~2021.4>

<Onlineシニア塾>については、<Onlineシニア塾への招待>をご覧ください。以下はそのOnlineシニア塾報告①です。

講座<若者に学ぶグローバル人生>

・第1回(2020.5.20) 
中国人留学生、ユー・プーホン(余浦弘)さん。北京の中央財経大学卒業後、UCLA、シカゴ大、スタンフォード大に短期研修留学、2019年から東大経済学部修士課程に在学中。

・第2回(2020.7.2) 
ベトナムのチャントゥチャン(TRAN THU TRANG)さん。ハノイ貿易大学在学中の2011年、日本文科省の奨学金を得て来日。東京外大日本語教育センター終了後、2016年に京大経済学部を卒業して日本の製薬会社に入社、2021年からシンガポール勤務。

・第3回(2020.7.17) 
ミャンマーのスータンギレッさん。ヤンゴン外国語大で仏語専攻。ミャンマーの日系企業で働いた後、2015年奨学金を獲得し来日。2018年法政大大学院でMBA取得。同大卒業後、2018年から日系総合商社に勤務。

・第4回(2020.7.24) 
スウェーデンで日本語を教える雪江しおりさん。大妻女子大在学中、北京師範大で2年間中国語を学ぶ。上海の日本語スクールでスウェーデン技師と知り合い、結婚してスウェーデンへ。ストックホルム大学で専門職学士の学位を獲得。現在、スウェーデン語学校のキャリアカウンセラーとして勤務。

・第5回(2020.8.19)
ネパールの青年実業家、パウデル・スンダ―さん。現地からの参加。ポカラ出身。祖父から「日本のラジオは世界一だ」と聞かされて育ち、ネパールの大学を卒業後、1999年に来日。武蔵工業大学で環境情報学を学び、卒業後、日本人と交流する場を作るためネパール・インド料理のレストランを開業した。その後、東洋大学大学院博士課程で木造建築を研究。ネパールで木造建築の普及を目指す会社を設立。

・第6回(2020.9.7)
ナイジェリアから留学中のチグメズ・イベグアムさん。2017年にあしなが育英会「アフリカ遺児高等教育支援100年構想」の奨学生として採用され、2018年春に来日。2年間、JASSO東京日本語教育センターおよび大阪YMCA日本語学校に通い、2020年4月より岡山大学グローバル・ディスカバリー・プログラムに進学中。
 参加者約15人。2年で修得したとは思えない流暢で〝訛り〟のない日本語に全員が驚く。いずれは故国に帰って児童教育に取り組みたいとのこと。あしなが育英会の沼志帆子さんから「アフリカ遺児高等教育委支援構想」についても話を聞く。

・第7回(2020.9.14)
ドイツ在住の映像ジャーナリスト、玉腰兼人さん。立命館大学国際関係学部在学中の2008年9月より交換留学生としてベルリン・フンボルト大学に1年間滞在、日本に帰国し大学を卒業後、再度渡独し「オペア・ホームステイプログラム」に参加、ハンブルグのドイツ人家庭で5人の子どもと1年間生活。2012年、ベルリンの映像制作会社に勤務、2019年にフリーの「VideoProducer/Coordinator」として活動。ドイツ・欧州各国において、主に日本のテレビ番組、各種プロモーション動画・写真の撮影、取材アレンジ・コーディネートなどを手がける。ドイツの難民支援組織にも所属している。玉腰さんのウエブhttps://www.kentotamakoshi.com
 一人の青年がドイツという社会でたくましく育っている姿は感動的だった。日本の教育のお粗末さを改めて感じさせられもした。

・第8回(2020.10.13)
シェラレオネから留学中のイジキエル・ガイネシさん。2018年にあしなが育英会「アフリカ遺児高等教育支援100年構想」の奨学生として採用され、2019年春に来日。JASSO東京日本語教育センターに1年間通い、2020年4月より東京国際大学に進学中。デジタル・ビジネス&イノベーション専攻。
 フェイスブックを通じてあしなが育英会を知ったのが彼の人生の大きな転機になった。学校では英語を使ってきたが、来日にあたって日本語に挑戦、大学院にも進んで、将来は国の発展に尽くしたいという。「シェラレオネの福沢諭吉をめざせ」とのエールも飛んだ。

・第9回(2020.10.22)
中国留学生、ショウ・ヨウレイ(焦燁泠)さん。江蘇省・南京市出身。南京外国語学校で中高時代を過ごし、北京科技大学に進学、英語を専攻。大学2年次に、北京大学・国家発展研究院で、経済の第2学位を取得。交換留学で北欧エストニアのタルトゥ大学に進み、その後カリフォルニア大バークレー校のサマースクールを受講。2019年秋に来日し、東大経済学部大学院研究科コースで、農業経済学や、ジェンダー労働経済学を研究中。趣味は、JーPOP、K―POP、テコンドー、ピアノ演奏。
 中国の学生は勉学意欲がすごいらしい。それに比べると日本人学生は「勉学をのんびり楽しんでいる」とのこと。喜ぶべきか、あるいは、そうでないのか。現在、日本企業への就活中。

・第10回(2020.11.10)
ベトナム出身の起業家、ドゥツク・ドバ(Duc Doba)さん。タンホア市生まれ。ハノイ国家大学IT学部を卒業したあと、ソフトウェアエンジニアとして来日。楽天、LINE、ソフトバンクなど大手テクノロジー企業で12年間、IT開発サービス研究開発に従事。日本でのSB Cloud (Alibaba Cloud)サービスの立ち上げに貢献した。2017年に9月に日本の深刻なIT人材の需要と供給のギャップを埋める事業をめざすTokyo Techiesを起業しCEOに。従業員はベトナムと日本側で合わせて35人。在日ベトナム青年学生協会(VYSA)会長も務めた。
 ベトナムの学生時代に縁あって日本企業に就職、いくつかの企業で研鑽を続け、実績も上げた経緯を、現場で覚えたという達者な日本語で、笑顔とともに話してくれた。IT技術者養成事業を日本で立ち上げた動機には篤志家の俤も。

・第11 回(2020.11.30)
セネガルから留学のアストゥ・ンジャイさん。あしなが育英会の高校留学プログラムに合格し、2016年~2019年の3年間は仙台育英学園で過ごす。卒業後、「アフリカ遺児高等教育支援100年構想」の奨学生として東京国際大学に進学。現在2年生で、経営学・マーケティングを専攻している。
公用語のフランス語、民族語、英語、日本語を話し、スペイン語、朝鮮語も勉強したという。「英語でテストがあると、私が85点ぐらいでも日本人は100点取ったりするけど、話すのはちょっと苦手」。グローバル人生としては、明るく前向きに生きる彼女に対し、日本の若者はかなり後れを取っているようである。

・第15回(2021.3.4)
  第2回にご登壇いただいたチャントゥチャンさんの紹介でベトナム在住の女性にスピーカーをお願いしていたが、現地の回線状況の関係でアクセスできなくなり、代わって3月にはシンガポールに転勤する予定のチャンさんに、在日10年の思い出や職場の国際的な顔ぶれ、今後の仕事などについて話を聞いた。まさに世はグローバル時代であることを実感させられた。

・第16回(2021.3.26)
ベトナムのブイハン(BUI THI THUY HANG)さん。2009年、ハノイの貿易大学入学。2011年、文部科学省の奨学金で日本へ留学、東京外国語大学日本語教育センターを経て2016年、一橋大学経済学部卒業して日本企業に入社。その後Warwick Business School大学院(イギリス)を卒業し、2020年ベトナムに帰国、現在は現地企業のプロジェクト品質管理に所属。
 第2回に登壇してくれたチャントゥチャンさんの紹介。ハノイの大学の同窓だが、同じ奨学金で留学後に日本で知り合ったとか。奇しくもご両人とも卒業後は医療関係の仕事に従事している。当日はチャンさんも参加してくれ、日本とベトナムの教育、医療関係の話題などで大いに盛り上がった。

・第18回(2021.4.3)
ベトナムのレマイフォン(Le Mai Phuong)さん。ハノイの貿易大学卒業後、一橋大学経済学部卒、現在は大阪大学経済学研究科博士課程在学中。
経済学に心理学を導入した新しい学問、行動経済学を研究しているというだけあって、テレビ番組に題材をとった日本人の東西比較(関東人と関西人の性格や習慣分析)から始めて、ベトナム人と日本人との商習慣の違い、実のある交流を促進するための技術など、「このところ日本語はあまりしゃべっていないので」と謙遜しつつ縦横無尽に展開する話に、質問攻めにあったシニアたちはタジタジとなりつつも、2時間近い授業は笑いが絶えなかった。

・第19回(2021.4.14)
ベトナムのグエンミンフェ(NGUYEN MINHHUE)さん。高校を卒業してすぐ日本に留学、町田市立看護専門学校を卒業して正看護師国家資格を取得、「勉強好き」(本人の弁)が高じてか、続いて放送大学教養学部卒業、さらに東京大学大学院創成科学研究科博士課程でメディカルゲノムを専攻した。JAXA(宇宙航空研究開発機構)などを経て、現在は日本の製薬会社勤務。   すごい知力とバイタリティ。その間に修得したペラペラ、かつ早口の日本語で、医療から見たベトナムと日本の違いなどについて、しじゅう笑顔で話してくれた。「Zoomのチャット機能を使って質問してくれれば、後からまとめてお答えします」と、Zoomの使い方指南もしていただいた(^o^)。

<Onlineシニア塾2020忘年会>

 12月16日、13人の仲間参加のもとにバーチャル忘年会を開きました(1人遅刻)。


 冒頭、フィリピン在住の鮎澤優さんの波乱万丈の半生を語っていただいたあと、Onlineシニア塾に参加しての感想や今後の運営に対する提案などを話し合いました。Onlineシニア塾は新年も月2回程度のペースで進める予定です。少しずつ講座も広げていければと考えています。参加希望者は<Onlineシニア塾への招待>をご覧いただいたうえ、<info@cyber-literacy.com>までご連絡ください。

講座<気になることを聞く>

・第12 回(2021.1.31)トランプ大統領によってあぶりだされたアメリカ社会の亀裂①

 在米数十年の翻訳家、宮前ゆかりさんにトランプ米大統領の4年とその退陣の混乱を通して浮かび上がったアメリカ社会の亀裂について聞いた。コロラド時間の30日午後9時からということで、日本時間は31日(日曜)午後1時からと変則的になったが、十数人の参加のもとに新講座<気になることを聞く>が無事スタートした。
 冒頭、1月6日のワシントンDCで反乱を起こした人々がParlerというアプリで内部の様子を撮影してアップロードしたビデオをProPublicaが時系列でまとめた動画の一部(写真は午後3時ごろの状況)を視聴した(担当/森治郎・矢野直明)。
宮前ゆかりさんはコロラド州ボルダー在住。フリーランスのリサーチャー、翻訳家。TUP(平和をめざす翻訳者たち)メンバー。ボルダーの独立非営利ラジオ局KGNUでニュース番組や音楽番組を手がけるプロデューサーでもある。元ナイトリッダー新聞社メディア研究員。訳書にダニエル・エルスバーグ著『世界滅亡マシン:核戦争計画者の告白』(共訳:岩波書店)、グレッグ・ミッチェル著『ウィキリークスの時代』(岩波書店)など。米国の市民運動に関する複数の記事を月刊『世界』に寄稿している。
 このセッションは引き続き開催する。

・第17回(2021.3.28)トランプ大統領によってあぶりだされたアメリカ社会の亀裂②

 今回のアメリ大統領選でバイデン候補が獲得した選挙人は306人、トランプが獲得したのはのは232人と、大差がついたようだが、投票状況を共和党(ブルー)と民主党()でカウンティ(郡)単位で図示すると、全体にパープル()模様になる(USA Today)。
  ここには共和党、民主党と支持を明確に決めきれない有権者の現状が反映されているとも言えるが、宮前さんによると、アメリカの選挙制度自体に複雑な歴史があり、黒人などの有色人種や移民などのマイノリティの人びとが投票しにくいように改変されて来ているのだと言う。つい最近も、ジョージア州で共和党の知事によって、選挙制度を厳密に運営する(「不正を防ぐ」)との大義名分のもとに、投票所(投函箱)の数を減らす、公共機関のバスなどでは行けない遠いところに設置するなど、現実には底辺の人びとが投票しにくくなる選挙制度改正案が成立している。
 これが、トランプ大統領が今回の選挙を「不正」だと攻撃し、共和党支持者の多くがそれを信じているという、日本では信じられない状況の背景である。今回は、選挙制度と銃規制をめぐるアメリカの建国以来の歴史について興味深い話を伺った。

銃規制と選挙制度と建国の精神  授業直前の3月22日に、私の住んでいるコロラド州ボルダーのスーパー内で無差別銃撃事件が起き、知り合いも含む買い物客や店員など一般市民10人が殺されました。
 ボルダーは、歴史的にも先進的な自治政策と平和運動の拠点として知られており、2018年に独自の襲撃銃禁止令を採択しましたが、NRA(全米ライフル協会)の訴訟をきっかけに、事件の10日前に州の裁判官が襲撃銃禁止はコロラド州法に違反すると裁定を下したばかりでした。犯人は21歳のシリアからの移民で、動機は明らかになっていませんが、以前にも暴力事件を起こしたことが知られており、精神的に不安定だったにもかかわらず身元調査も受けずに、事件の6日前に襲撃銃を手に入れています。
 アメリカでは、建国当時の有権者である白人地主階級が、先住民の土地の略奪と奴隷労働の搾取によって富を築いてきた歴史があり、その利権が結局は軍部や警察の肥大に貢献し、銃を保持する権利の根拠である憲法修正第2条(規律ある民兵団は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し携行する権利は、 侵してはならない)を産み、それは同時に選挙権を抑圧する法律を支えてもきたのです。
 アメリカ建国以来の2つの理念、企業による富の集中を重んじる中央集権的考えと、地方の独立した農林業に重点を置く権力分散型の考えは、その後の歴史で変質、あるいは重複、錯綜しながらも、現在の民主党と共和党の対立に受け継がれています。
 一見唐突に見えるトランプ台頭や全米に吹き荒れる白人至上主義拡大は、歴史的必然とも言えるのです(M)。

・第13 回(2021.2.10)ミャンマーの軍事クーデターで苦悩する日本在住の若者たち①

 本講座<気になることを聞く>第2回(通算13回)は急遽、軍事クーデターの起こったミャンマーの若者、6人を招いて10日午後8時から2時間開催した(担当/星野真波)。
 2月1日のクーデターから10日、ミャンマーではヤンゴンなど主要都市で数万人規模の抗議デモ(軍事政権不服従運動、指3本の表示がシンボル)が行われているが(写真はフェイスブックから)、日本でも先日、外務省前に在日ミャンマー人、約3000人が集まって軍事政権への抗議の声を伝えている。

 当日は6人の若者(女4、男2。20~27歳)が日々の不安な生活の実態やミャンマー民主化を取り戻すための決意などを話してくれた。
 Onlineシニア塾はコロナ禍の自粛生活の中で、インターネットというツールを使ってシニア相集い、世代を超えたグローバルなコミュニケーションを行いたいと始めたものだが、激動する世界の息吹を身近に感じ、また日本人として何をすべきかというある種の責任についても考えさせられる機会となった。
 若者たちは「ミャンマーで起こっている事実を知ってほしい。ミャンマーの民主化のために日本の皆さんにもご尽力をお願いしたい」との強い気持ちから、故国の肉親の安否さえ心配な中で参加してくれた。それにしても、日本語が達者であるばかりか、自分の考えを堂々と開示できるすばらしさ。参加者からは異口同音に驚きの声が上がった。
 このセッションも適宜、開催する予定。

民主主義を守ろうとする社会の「粘り」 ミャンマー国会の8割以上の議席をNLDが占めながら軍事クーデターを許してしまった背景には、民主主義を守ろうという社会全体の「粘り」が薄れつつある世界共通の状況があるようにも思われる。アメリカしかり、日本ももちろん例外ではない。軍事政権はミャンマー国内ですでにインターネットを遮断、逆に、アメリカでは一IT企業たるツイッター社がトランプ大統領のアカウントを停止し、政治の動きに大きな影響を与えた。サイバーリテラシー的にもいろいろ考えさせられる昨今である(Y)。

「軍事政権不服従運動」 日本在住のミャンマーの若者たちと初めて話をした時、異口同音に「ミャンマーで起こっている事実を知って欲しい」と訴えていたのが印象的でした。その言葉には、事実が伝わらずに世界から見放された結果、暴力による支配に陥った時代には戻るまいという決意が込められていたからだと、今回の議論を通して感じました。 日本人の常識やこれまでの報道からは推し量りにくいミャンマーという国の背景や、人々に共有されている感情を汲み取るためにも、直接話を聞く意義を確認できる機会にもなったと思います。
 また彼らが最も伝えたかったこと一つである、「クーデター以降72時間は事態を静観したのと、デモが全国規模で平和的に展開しているのは、軍部側に民衆が暴徒化したという武力鎮圧の口実を与えまいという総意によるもの」だという話も、多くの人に丁寧に伝えられてほしいと思います。彼らは「軍事政権不服従運動」という言葉を使っています。
 ミャンマーと日本との深く、そして、複雑な関係にも話が及びました。彼らにも不安な思いが募っていると思いますが、思い描く進路、将来に向かって活躍できるよう、日本人としてできることを考え、不安な思いの中、話をしてくれた勇気に応えていきたいと思っています(H)。

・第14 回(2021.2.20)巨大地震などに備える燃料電池(災害時の非常用電源)について開発の現状を聞く

<気になることを聞く>第3弾(Onlineシニア塾通算14回)は、災害に備えた非常用電源ということで、自動車産業が先端的に取り組む燃料電池などの開発について、若い研究員、伊東直基さんに話を聞いた.(担当/松浦康彦)。
 冒頭、担当者から日本を取り囲む4大プレート(北米、ユーラシア、太平洋、フィリピン海)の説明と、東日本大震災より一桁大きな南海トラフ巨大地震が2035年±5年のうちに起こるという学者の警告などの報告があり、富士山大爆発も含めて非常用電源を準備しておく必要性が強調された。それを受けて自動車企業の研究部門で燃料電池などの研究開発に携わっている伊東さんの話を聞いた。
 活発な議論が展開され、燃料電池の利用は車に限った話ではなく、家庭用電源としての利用なども考えるべきではないかと、本来なら研究所長や社長に向けられるべき質問も飛んだが、新入社員が研究所長や社長に成り代わって日本社会の、ひいては世界の将来を考えるべき時代なのかもしれない。
 伊東直基さんは1993年生まれ。首都大学東京大学院で電磁環境工学研究室に所属し、電気自動車用ワイヤレス電力伝送装置の漏洩磁界のシミュレーションを実施。大学院卒業後は関東にある自動車メーカに就職し、充給電ユニットの開発に従事している。

 花見と直基とときどき松浦 コロナ禍の冬も終わり、急に春らしい季節になった。私は『ASAHIパソコン』を創刊した1988年から裏山の源氏山で毎年、見ごろの日曜日を選んで花見の宴をはってきた。多い時には100人ほどの参加者があり、紅白の垂れ幕を背に、敷きつめたゴザの上で女装した芸人が舞ったり、カラオケに興じたりした。雨の日は我が家に集まって花より酒の宴となり、花冷えの夕方もやはり我が家で二次会をした。つい最近まで30年以上続けてきたが、花も参加者も高齢化し、つい数年前に打ち切った。
『ASAHIパソコン』草創期にアルバイトとして3人の学生が手伝ってくれていたが、彼らは毎年、花見にも参加、そのうち彼女を連れてくるようになり、ほどなく結婚、そのうち親になった。子どもたちの中で同い年の男の子2人はすっかり仲良くなり、年に1度の出会いを楽しみにしていた。彼らは満開の桜の下でも、花吹雪の中でも、雨に打たれる花びらの上でも、ほとんど花には背いて、ゲームなどに興じていた。時がたち、2人は社会人になり、それぞれ自動車関係の会社に就職した。そのうちの1人が今回、花見の義理に背かず、講師役を買って出てくれたわけである。今回の授業を担当した松浦氏も花見後半の常連だった。
 金も組織もない「バーチャル井戸端会議」である我がOnlineシニア塾が、よって立つのが個人的なつながりだということを示すエピソードとして、この話を記した。インターネット上に半ば開かれ、半ば閉じた空間(トポス)が、IT社会のオアシス、あるいは核になる可能性に触れておきたかったからである(Y)。

特別講座<もっとZoom、初めてのSlack>

・第20回(2021.4.21)
 新たに特別講座を設けました。通常講座とは別に、ときどきの話題などを取り上げると同時に、Onlineシニア塾の「オープンキャンパス」として、従来の会員以外にも広く参加を募ります(info@cyber-literacy.comまで)。
 特別講座第1回として、Zoomのより便利な使い方ガイドと、Onlineシニア塾としても導入を始めたコミュニケーション・ツール、Slackの紹介を行った(担当/星野真波、西岡恭史、高橋慈子)。
もっとZoom
 Zoomをより効果的に利用するノウハウの紹介と「ブレイクアウトセッション」の体験。Onlineシニア塾ではまだ参加者が少なく、分科会を同時開催する必要はあまりないが、将来に備えて(^o^)。
初めてのSlack
 Slack(スラック)は2013年に開発されたチーム・コミュニケーション・ツールで、またまくまに世界中に波及、もはや多くのIT企業で必須のコミュニケーションツールとして使われている。Onlineシニア塾でも遅まきながら導入、事務連絡をはじめ授業前の情報交換、授業後のさらに掘り下げた議論などに活用したい。とくにスピーカー同士の交流に威力を発揮するのでは(ベトナムのチャンさんやレマイさんも参加)。

Onlineシニア塾への招待

 Onlineシニア塾はコロナ下の蟄居する日々の中で、ロートル3人組(松浦康彦、森治郎、矢野直明)が、時代に取り残されないようにしこしこ始めた「Zoom勉強会」が発端である。2020年5月に開設、サイバーリテラシー研究所のウエブ<サイバー燈台>の一角に「Zoomサロン」のコーナーを設け、活動報告を行っている。

 コンセプトは<オンライン(ミーティングツール、Zoom)を使ったシニアのためのグローバル・コミュニケーション塾>で、塾長は矢野がつとめている。塾生はもっぱらシニアで、①若者に学ぶ、②シニア同士語り合う、③若者に伝える、の3分野(ジャンル)を想定しているが、2021年5月現在、講座<若者に学ぶグローバル人生>、<気になることを聞く>の2講座のほかに特別講座を適宜開設、すでに授業は20回以上に及んでいる。塾は曜日にかかわりなく、月に約2回、曜日には無関係に、だいたい午後8時から1時間半ほど開いている。

 心理学者、ユングが言う「人生の午後」を有意義に過ごしたいと思っている人、伊能忠敬の「一身二生」を生きようと考えている人、さらに言えば、藤沢周平の描く三屋清左衛門のように「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」を実感している人々、そういう人に参加していただければ、と考えている。もっとも昨今は70歳でも「人生花盛り」、一線で働いている人も多く、こういった現役の参加も大いに歓迎である。

 一般に「シニア(年長者)」とは何歳ぐらいから言うのか、実はきわめてあいまいである。当初は50歳以上をメドにしていたが、海外からの若い留学生から話を聞く機会も多く、若者同士の交流を促進するためにも、参加者の年齢制限は外している。すなわち若者の参加も歓迎している。

 スピーカーも塾参加者も当面はボランティア(無料)である。現在はスピーカー、メンバーとも20人強だが、これを当面それぞれ50名ぐらいまで拡大したい。

 いまや多くの情報発信がユーチューブやツイッター、インスタグラムなどのSNS経由で行われている。すっかり影を薄めたマスメディアに代わってこれらソーシャルメディアを使った良質の硬派記事が多くなっているが、趣味の園芸、クッキングなどさまざまな情報発信も花盛りで、教えたり、教えられたり、実のあるコミュニケーションが繰り広げられている。そこにOnlineシニア塾がどう一石を投じられるかは、今後の成り行き次第である。

 参加希望者はもちろん、スピーカー候補などの応募や推薦をお待ちしている。ミーティング用ソフトにはZoomを使っており、まだZoomを使ったことがないけれど、参加したいという人には、「私家版・Zoom自由自在―シニアも使える超簡単マニュアル」も用意している。

 2021年5月からコミュニケーション・ツールとしてslackを導入、ミーティング以外に会員相互で意見交換する場を設けている。参加希望、ご意見などは事務局、info@cyber-literacy.comまで。

2021年5月 Onlineシニア塾・矢野直明

<Onlineシニア塾の概要>

・メンバー資格
 ウエブ<サイバー燈台>上の「Onlineシニア塾への招待」を読んで参加を希望する人は、事務局まで申し込めば、簡単なプロフィルを提出していただいたうえで、基本的に参加を許可する。シニア塾を標榜しているが、とくに年齢、性別、国籍の制限はない。会費は当面無料である。当塾でスピーカー(講師)を務めてくれた方は、自動的にメンバー資格を得る。

・メンバー心得
 Zoomを通して活動の幅を広げるとともに、何らかの形で社会貢献することを考える。完全なボランティア活動なので、スピーカー発掘、参加者の拡大、新たな授業計画など、率先して会の運営に協力する。入会と同時にslackにも参加し、会員間のコミュニケーションに役立ててほしい。とくに若いスピーカーに対して、自分が役立てることで積極的に貢献することを考えていただきたい。

・ゲスト
 ゲストとして、毎回参加するのではなく、興味のある会だけ参加することも可能である。また特別講座は大学の「オープンキャンパス」のように、広く参加者を募っているので、まずはゲストとして参加していただくのもいい。参加希望者は名前とURLを添えて事務局に申し込めば、当該授業への参加が許可される。

・サイバー燈台
 Onlineシニア塾の活動はウエブ<サイバー燈台>で逐一報告される。
 それぞれの授業においてはスピーカー、概要、エピソード、感想、知らせておいた方がいい知識などを適宜編集して公開、一般の人がOnlineシニア塾に興味を持ってくれるように心がけている。メンバーの寄稿も歓迎している。

 <Onlineシニア塾は2021年5月で一周年を迎えました。これを機に、2020年7月29日に掲載した「Onlineシニア塾への招待」をバージョンアップ、同時にその概要を付記した>