新サイバー閑話(106)<折々メール閑話>号外

山本太郎が次期総理候補第2位に

B 号外だよ、号外。

A えっ、何ごとですか。

B 次期総理にふさわしい人としてれいわの山本太郎が第2位に選ばれた!

A そりゃすごい。どこの調査なの?

B まあ、調査というほど大げさではないけれど、ウエブのAERAdotが12月13日から15日にかけて、記事やSNS、メルマガなどを通じて回答を呼びかけた結果だそうです。設問は2問で、「次の首相には誰が相応しいと思うか」、「その政治家を選んだ理由」をそれぞれ記述式で尋ねたもので、回答数は719件(男性505件、女性189件、その他・無回答25件)だった。回答数が少ないのを念頭に置いた上だけれど、その上位5人と得票数は表の通りです。

A やはり自民党の石破茂が断トツ1位ですね。山本太郎が2位につけたのはたしかにすごい。このところ各メディアの世論調査で岸田政権の支持率が10%台に落ちたとか、不支持が80%近いとか報じられており、自民党の政党支持率もぐっと下がっていますね。その中で自民党支持層を中心に次期総裁候補として、クリーンな印象がある石破を選んだのだろうけれど、他の自民党所属議員を抜いて、山本太郎が2位というのは、有権者の期待がれいわ新選組と山本太郎に集まっているということじゃないですか。

B 山本太郎を選んだ理由として、〈庶民の苦しみを街中質問で聞き回っているから〉、〈しがらみがなく、市民目線にたった仕組みに変えてくれそう〉、〈何のしがらみも無く国民目線の素晴らしい国会質問をしている〉などがあったようです。
 世論調査で同時に行われている政党支持率でいま一つれいわが伸びないのを残念に思っていたのだけれど、山本太郎2位は号外に値しますね。

A その政党支持率だけれど、センキョという会社が今年8月から毎月、全国386万人余りの市民が参加するプラットフォーム「タウンマッチ」を組織して、内閣や政党の支持率などを調査していますが、なんと、この12月の政党支持率を見ると、れいわが11.9%。自民党18.6%、日本維新の会14.1%にくらべて3位ですよ。立憲民主党などわずか4.9%です。
 センキョという会社は「民主主義をもっとスマートに」をキャッチフレーズに2019年に発足した若い会社で、ウエブの説明によると、「市民の声がより容易に社会に反映されるようになる『ワクワク』を実現する。社会と国民がなめらかにつながる社会の実現をめざしていきます」とあり、まっとうな会社のようですね。今回の調査は386万人の母集団の中からランダムに抽出した2041人からの回答で、その年齢別構成は右の通りです。年齢的偏りはないですね。この調査で岸田内閣支持率はわずか9.3%です。

B 新聞社などの調査における政党支持率との乖離は何を意味しているのか、これは興味深い問題です。この 調査だと以前かられいわの支持率は10%を超えているようですね。マスメディアのサンプルに偏りがあるのか、あるいは逆なのか、これはわかりませんが、1つ推測できるのはマスメディア好みというか、そちらに引き寄せられる層とそうでない、どちらかと言うと、より平均的な層にかなりの意見の相違があるということではないでしょうか。プラットホームの設計がどれだけ客観的になされているかだが、こういう世論調査システムが出てきたことは、大いに歓迎すべきことだと思います。
 センキョ層の人びとがそのまま投票行動に向かうかどうかは留保が必要でしょうが、直観的に言えば、投票しない確率が高そうにも思います。しかし、国民全体の意識としてはこちらがより正確なのではないか。国民の意識も流動傾向にあり、多くの人が投票するようになれば、当然、れいわに有利に働くと思いますね。我田引水的だけれど、たしかに我々には嬉しいニュースです。

A 山本代表はたしか、支持率には一喜一憂しないと言っていたと思いますが、これはすごい結果ですね。マスメディアが依然としてれいわ黙殺に近い状況の中で、これだけの支持が集まっている。増税ストップデモやおしゃべり会が各地で大盛況の影響も大いにあるのでは?
 ところで、元の号外ニュースに戻ると、普通なら野党第一党の党首が上位に来てもおかしくないのに、立憲民主党の泉健太が枝野幸男、小沢一郎、共産党の志位和夫より下の14位というのも興味深い。前川喜平さんがツイッターで「泉健太氏を総理大臣にしたいと思えない悲しさ」とつぶやいていたけれど、かなりの層がそう思っている反映じゃないですか。

B 「救民内閣」構想の泉房穂元明石市長は9位につけました。このニュースを教えてくれた知人が「泉さんがれいわから出馬したらおもしろい」と言っていたけれど、たしかに。実現する可能性は低いだろうけれど、当面、この2人の今後の去就には注目したいですね。(一部敬称略)

 

 

新サイバー閑話(105)<折々メール閑話>㊼

いま力強く羽ばたく、れいわの「白鳥」

 A 自民党裏金問題の混乱の中で12月13日に臨時国会が閉幕しました。岸田首相は、その後の記者会見で「国民の信頼回復へ、火の玉となって自民党の先頭に立ち、取り組んでいく」と言葉だけは勇ましく述べましたが、この発言を真に受ける人はほとんどいないですね。むしろ、国会ではこのどさくさの中で国立大学法人法改正案が十分な審議がないまま可決していますし、岸田首相は現行の健康保険証を来秋で廃止、マイナ保険証に一本化することを表明するなど、ごり押し姿勢は変わりません。
 14日には組閣を行い安倍派を一掃しましたが、安倍派排除で事態が変わると考えている人もほとんどいないでしょう。国会明けを待って安倍派有力議員の強制捜査も始まると言われていますが、それを機に自民党の派閥地図に異変が起ころうとも、自民党の派閥政治そのものは変わらないと思います。

B れいわ新選組も閉会後に記者会見を行い、山本太郎代表は冒頭に今国会の感想を聞かれて、「自民はもちろん野党も腐った、国民殺しの国会が終わった」とにべもなく切り捨てました。さらに「自民党がもっとも汚いことやり続けてることは、みなさん薄々はわかっていることです。裏金を着服し、結局は自分の金にしていた。おそらく選挙の時に金を配るとか、そういうことに使っていたんでしょう。最も汚くてもっとも卑しいのが自民党なんですけど、これを機に民主党とか、維新が政権を取ったとしても、たぶんその先にまた崩壊するんでしょう。そこから立ち上がることはもう無理だと思います。そのために(れいわは)旗揚げしているんです」とも述べました。ここに山本太郎、およびれいわ新選組の並々ならぬ決意を見る気がします。まったくその通りですね。この腐りきった政治を変えるためには、自民党と野党なれあいの政治構造そのものを変えていくしかない。

A だから泉前明石市長の「救民内閣」構想も、れいわを中心に組み立てる以外に実効性はないと改めて思いますね。

B この間の政治状況を見て感じるのは、人間は放っておくと限りなく堕落するということです。これは<折々メール閑話>がずっとテーマにしてきたことですが、堕落するには堕落する理由があった。すなわち自民党政権、とくに安倍政権は民主主義を維持するために制度的に埋め込まれていたチェック機能を次々、外してきたわけです。
 それは図々しいと言うより傍若無人で、まるで人びとの常識に反するものでした。たとえば企業の法人税を減らすために国民から消費税を取ってその原資にしようなどということは普通にはちょっと考えられない話です。まさか、いくら何でも、そんなひどいことはしないだろうと思うから、「消費税は社会保障充実のために使われています」という説明を「そりゃそうだよね」と受け入れてしまう。その〝うっかり納得〟に付け込んで理不尽なことを押し通し、しかも何の痛痒も感じない、というのが自民党や官僚の習い性になっている。

・根の深い自民派閥の裏金問題

 自民党パーティ券のキックバック問題の根も深い。政治には金がかかるけれど、企業献金は癒着を生むなど弊害が多い、だから国から政治活動資金を提供しようと政党助成法が出来たのが1994年です。政治資金助成法第1条にはこう書いてあります。「この法律は、議会制民主政治における政党の機能の重要性にかんがみ、国が政党に対し政党交付金による助成を行うこととし、(中略)、政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的とする」。

A 「民主政治の健全な発展に寄与する」のが趣旨だったんですねえ。

B 国民の税金から拠出される政党助成金(交付金)は2021年でだいたい270億円です(議員数によるので、自民が8割以上。日本共産党は法の趣旨を批判し受領を拒否、助成法廃止を主張している)。
 助成金は不明瞭な企業献金をやめようという趣旨だったはずが、いつのまにかまたパーティばやりとなり、派閥は当該議員にノルマを課して調達を強制するようになり、さらにノルマ以上の金を集めた人には裏金としてキックバックすることになっていった。今では安倍派の裏金だけで最近5年間で5億円に上ると言われています。
 ある議員(前閣僚)はキックバックに対して、「文化と言えば変だが、そういう認識があった」とコメントしましたし、企業の方もすっかり自民党となれ合いになって、戸倉雅和経団連会長が、しゃあしゃあと「企業の政治献金は社会貢献。何が問題なのか」と言うに至っています。メディアも、知ってか知らずか、ほとんど批判してこなかったですね。

A 政治のタガが外れてしまったと。

B とくに安倍政権で顕著になったわけだけれど、たとえば、従来は集団的自衛権は憲法違反だと政府そのものが言っていたのに、2014年に閣議だけで憲法解釈を捻じ曲げて合憲とし、新たな安全保障関連法を議会で強行可決しました。その手法は、三権分立制のようにチェック&バランスが働く仕組みが埋め込まれている民主主義制度を、ブレーキをかけるべき部門に人事で仲間を送り込む「上からのクーデター」で破壊したわけです。
 これで平和憲法の歯止めがなくなり、岸田政権はいよいよ軍備増強に舵を切り、武器禁輸3原則のタガも外れて、アメリカから高い航空機を買い、国民にはさらに増税を押し付けようとしています。

A 統一教会とのずぶずぶの関係、原発のなし崩し的再稼働も同じようなものですね。

B なぜこういうことが野党やメディアの抵抗もたいしてないままにずるずる進展していくのか、ここには社会状況が反映していますが、その大きなものが新自由主義経済とITだと思います。
 新自由主義経済が自然環境も含めて、すべてを儲かる「商品」に変えていくことについては、滋賀県の花火問題や神宮外苑の再開発などですでに取り上げてきました。そのために私たちの共有財産(コモン)がどんどん消えていくわけですね。それは本来、社会に埋め込まれていた経済が、そのくびき(慣習や道徳、常識)から離れて、すべてを商品化していくことです。
 我が国有数の経済学者、宇沢弘文はかつて「社会的共通資本」という考えで、自然と人間の関係を射程に入れた経済学の構築に挑みました。彼の説明によれば、社会的共通資本には自然環境、社会的インフラストラクチャー、制度資本の3つがあり、大気、水、森林、海洋、土壌、道路、交通機関、上下水道、電力・ガス、さらには教育、医療、金融、司法、行政など、みんな社会的共通資本です。そして「社会的共通資本は、一人一人の人間的尊厳を守り、魂の自立を支え、市民の基本的権利を最大限に維持するために、不可欠な役割を果たすもの」(『社会的共通資本』、岩波新書)とされていました。この社会共通資本も含めてどんどん「商品化」し、企業が儲ける経済が新自由主義で、このタガのはずれ具合が現代政治に反映しているのは明らかだと思います。

A インターネットの発達が関係しているのは、わかる気がしますね。

B IT(インターネット・テクノロジー)によって、現実世界の国境も、組織も、地理的制約も、既存秩序も、すべてが取り払われる。既存の社会秩序が崩壊することには、いい点も悪い点もあるけれど、問題は古い秩序が崩壊しても、これに代わる新しい秩序が生まれないことです。だから今の自民党政治のように、これを奇禍として「何でもあり」とばかりに自己の利益を追及する傾向が加速する。これは長年提唱している「サイバーリテラシー」のテーマだけれど、現政治の「液状化」現象には、このITの特徴が反映しているのもまた「火を見る」より明らかだと思います。
 最近はクラウドと言って、写真やメールなどの個人データも自分のスマホやパソコンに蓄積するより、大手IT企業のサーバーに置くことが流行っていますね。これはスマホを落としてもデータは消えないといったように便利ではあるけれど、個人情報がIT企業のクラウドに蓄えられることを、逆に言うと、IT企業は無償で貴重な個人情報を吸い上げていることを意味します。これら膨大なデータがコンピュータで分析されて新たなビジネスの糧になる。最近はアプリのバージョンアップも自動的に行われていますが、そのたびに個人情報がより抜き取られるようになっていると思われます。

・国も企業も自治体も米IT企業の「植民地」に

 しかし、この自動更新を一般ユーザーが拒否することはもはや難しい。というわけで我々は知らず知らずに完全に大手IT企業の軍門に下っているわけです。個人はもちろん、企業も、国も、地方自治体もほぼ同じです。友人に聞いたのだが、いまや米IT企業が便利なアプリを提供することで地方自治体を丸ごと支配するようなことも起こっているらしい。いつの間にか国も地方も、それと意識しないうちに、アメリカの「植民地」になりかねないわけです。これは恐ろしい事態ですね。
 別の問題もあります。国・政府は、効率が良くなるというだけでデジタル化を進めるから、国民の多くのデータが結びつけられる不都合や漏洩の危険については十分な配慮が行われないままに、マイナ保険証は便利だと、トラブル続きも省みず強行されることにもなります。一方、個人情報に関して、かなりの人が知られても何の痛痒も感じないようになっているのも確かです。しかし、ほんとうにこれでいいのか。ここはIT社会の今後についてよく考えるべきではないのか、という大きな問題が横たわっているわけです。
 先に話したように、制度的に歯止めを用意しておくことが民主主義の前提だったのが、近年は権力者の都合のいいように歯止めが破壊され、それをITがより容易にしているというのが現状だと言っていいですね。

 A そういう状況にもかかわらず、国会でまともな議論なしで、数の力だけで物事が進められている。こういう政治に対抗するためには、メディアの責任も大きいけれど、やはり国民というか有権者がもっと真剣に政治に向き合うべきですね。

B 日本の行く末を、その先にある世界の行く末を、よくよく考えるべき時だと思います。そう考えると、いま頼りになるのは結局、れいわ新選組しかないというのが我々の結論です。なぜ山本太郎の主張が多くの人の耳に届かないのか。<折々メール閑話>では当初から山本太郎は「醜いアヒルの子」だと言ってきました。アヒルの子の中にいるから白鳥の子は「醜い」。狂気の中の正気です。しかし白鳥の子が大きく羽ばたくときが近づいてきたのではないでしょうか。

A 茹でガエルじゃないけれど、自民党議員も、野党も、メディアも、そして多くの国民も、堕落の湯にどっぷりつかっており、このままだと当然、気づいたときはすでに手遅れということになりそうですね。
 現下の政治のあまりのひどさが、人びとに自分は茹でられているのだと気づかせてくれるとすれば不幸中の幸いだし、いよいよチャンスだとも言えますね。
 そこで長い前口上のあとですが、いよいよ本論、次期衆院選に立候補するれいわの頼もしい3人の紹介です。

・新議席ねらう三好りょう、やはた愛、奥田ふみよ

B 12月4日に高井たかし幹事長が記者会見して、神奈川2区に新人の三好りょうを立てると発表しました(兼比例南関東ブロック)。神奈川2区は菅義偉元首相の選挙区ですよ。

A まだ30代。アメリカの大学や台湾大学大学院を経て外務省に入り、ロシアに長く勤務していたようです。自らの官僚生活を通じて自民党政治に強い疑問を感じ、「自民党を支えるのではなく、自民党政治を変えるために政治家になろう」と決意したと言います。
 そしてれいわを選び、しばらく山本太郎事務所で働いたあと、今回の挑戦となりました。神奈川2区という激戦地を選んだことに対して、記者会見で「蟻が象に挑むかのような厳しい戦いになると思うが、神奈川2区が変われば日本が変わるとの思いで頑張りたい」と決意を語っていました。
 彼こそれいわのエース。横浜はカジノ進出を止めた経験がありますから、彼の成否はたいへん注目されますね。

B 高井幹事長によると、次期衆院選では40~50人の候補者を立てる用意があるとのことで、三好りょうのような清新な若者が参加してくれるといいですね。

A 大阪でやはた(八幡)愛、福岡では奥田ふみよ(芙美代)が立つことも決まっています。ご両人は2022年参院選にも立候補、そのときに<折々メール閑話>でも紹介しています。
 やはた愛は兵庫県淡路市出身、タレント、レポーターとして活躍しており、彼女も30代、2020年の衆院選では比例近畿ブロックから出ましたが、今回は大阪13区(兼比例近畿ブロック)から立候補するようです。
 消費税廃止 、教育の完全無償化、奨学金という名の借金はチャラに、などを公約に掲げ、最後に「そしてここ大阪。愛がない。コロナ禍だというのに万博、カジノ、IR。そんなことやっている場合ではありません」と。彼女は何よりも大阪を変えたいんですね。立候補発表の記者会見で、前回衆院選直後にもらったメールの話をしていました。

 愛ちゃん、よう気持ちはわかったから、もう大阪じゃなくてもええねんでって書いてあったんです。維新が強過ぎるから、もうそんな無理せんでいいでって。応援してくださってる方のほうがちょっと諦めモードになっちゃったんですよ。で、私、それ見た時にハッとして、これはあかんと。これこそが思う壺だ。岸田さんがいつ解散するかわからないですけども、このままの流れでいくと絶対、自民党って議席落とすじゃないですか。世の中にはいろんな考え方の人がいますけども、やっぱり与党も野党も茶番だって思ってる人っていると思うんです。その人がどこに投票するかって言ったら、圧倒的に今の流れは維新です。で、私はれいわ新選組として、特にここ大阪で、もう与党もあかんし、野党もあかんな、じゃ維新にしとこかっていう票を1票でも2票でも奪い返しに行かないといけない。だからもう一度、最後まで諦めずに大阪で立候補することを決意しました。

 こういうところに根強いファンがいるのだと思うけれど、いまやその維新も大阪万博で逆風にさらされています。彼女の雪辱に期待したいですね。

B 選挙カーのガラスが割られる事故もありましたね。

A  奥田ふみよ(福岡3区、兼比例九州ブロック)は糸島氏在住、ピアノ教師で3人の子の母。学校のカルト校則への批判を強めて、いろんな学校に出かけています。演説もだんだん堂に入るというか、たくましくなってきました。
 既に沖縄4区(兼比例九州ブロック)で山川ひとし(仁)前豊見城市長を公認決定していますが、高井幹事長は8月の記者会見で、「福岡県内でもあと数名、九州ブロックでも数名の立候補を準備中」と述べていました。
 奥田ふみよは「子どもたちの命を守る」を大きな政策目標に掲げ、「私は大きく2つのことに向けて実現させていく思いでいます。まずひとつ目は、れいわ新選組の政策。特に経済政策を実現させる必要性があると確信しています。ふたつ目は子どもたちです。子どもたちの人権を守る社会に変えなきゃいけない。ブラック校則という名前は社会問題になっているかと思いますが、私はカルト校則と呼んでいます。このカルト校則を全国一律で撤廃する必要性があると確信しています」と述べました。
 三重県の高校でカルト校則反対署名活動をしていた彼女を見ましたが、「熱血漢」の一言(^o^)、あえて漢と呼びたいですね。高校側から2人の職員が中止を要請してきたのですが、まったくひるまずに対応し、職員もたじたじでした。

 

 

新サイバー閑話(104)<折々メール閑話>㊻

ついに「れいわの出番」がやって来る!

B 12月10日のNHK日曜討論で自民党のパーティ券キックバック問題に関して、れいわ新選組の高井たかし幹事長が以下のように発言しました。

 なぜ、自民党にこれだけ多額の献金が集まるのか。それは見返りがあるからです。消費税が3%、5%、8%と引き上げられるたびに法人税は逆にそのつど引き下げられてきました。この30年間、国民が汗水流して収めた消費税のなんと7割が、法人税の減税の原資にされています。法人税引き下げによって国内企業の内部留保は10年間で1.8倍、250兆円も増えています。毎年24億円もの大金を自民党に献金している経団連会長が記者会見でこう言いました。「献金は社会貢献だ。何が問題なんだ」。でも献金の本当の目的は税のおまけをしてもらうことです。そしてそのおまけの原資は国民が払う消費税ですよ。これのどこが社会貢献ですか。

 本コラムでもときどき引用するトラジロ君がこの動画を紹介しつつ、「よく言ってくれたなと思いますね」と感慨深く述べていましたが、いまこそ国民も自民党政治の本質をよく見据えるべきだと思います。
 と言うより、まさに「今だけ、金だけ、自分だけ」という矮小な世界に落ち込んでいる現代政治の泥沼を理解すると同時に、れいわ新選組こそが国民の声を代弁してくれていることに気づくべきです。大企業で働く正社員の人にとっても、これは同じです。「自分たちだけが良ければ」という考えでは日本社会は立ち行かないところまで来ており、いずれはその禍が我が身に降りかかってくることを理解しないといけません。大企業だって、国の将来を考えれば、いまの政治がいいとは決して言えないはずですね。前2回にわたって見てきたように、それほど今の政治はひどい。
 岸田首相はいまになって安倍派閣僚らを更迭すると言っており、これで安倍派が壊滅的打撃を受けようとも、他派閥が勢力を回復するばかりで、自民党の体質改善、さらには日本政治の浄化へと結びつく可能性はむしろ少ないでしょう。その構図の中に企業経営者、さらには大手メディアもどっぷりつかっているわけです。
 自民党政治ににじり寄って、そのわずかなおこぼれをもらおうとしている他党の多くは、もはや決して「野党」とは言えない。山本太郎とれいわ新選組が結党以来、声を大にして訴えてきたことこそが、国民の気持ちを代弁していることに気づいてほしいと思います。

・「切り込み隊長」大石あき子、激動の2

A いよいよ本当にれいわの出番ですね。2019年に山本太郎がたった一人で立ち上げたれいわ新選組も、ようやく8人の国会議員を擁する政党になりました。と言ってまだまだ弱小勢力で、国会ではいじめられることはあっても、あまり相手にしてもらっていないですね。山本太郎はれいわが一定の存在感を持てるために、次期衆院選で国会議員20議席はほしいと言っていますが、次期衆院選こそ大きなチャンスだと思います。
 れいわのまだ短い歴史を振り返ると、山本太郎に次いで衆院議員となり、今はれいわ共同代表をつとめる大石あき子、くしぶち万里の2女性がれいわ進展に尽くした役割は大きいですね。

B 大石あき子(晃子)が衆院議員になったのは2021年11月です。そのときの衆院選で大阪5区から立候補し小選挙区では敗れましたが、重複立候補していた比例の近畿ブロックで28議席中最下位で当選したんですね。

A 当時本人がユーチューブで、「街頭でよく『残念だったねえ』と慰められるんですよ。『いや、私、当選したんですよ』」と言っていたのがつい最近のようですが、その後の「切り込み隊長」としての活動は目覚ましいですね。
 大阪大学大学院で環境工学を専攻したあと大阪府に就職、あの橋下徹が大阪府知事になって職員にハッパをかけた朝会だかで、橋下徹に噛みついて名を上げたようです。議員になってからも一貫して維新(日本維新の会)批判や、大阪府・大阪市が推進するIR(カジノ)や大阪万博批判を繰り広げてきました。大阪万博がいかに時代遅れの金食いイベントであるか、今ようやく明らかになりつつあります。
 その間、一時は上司だった橋下徹に名誉棄損で訴えられ、「大石あき子橋下徹に訴えられたってよ」とツイッターで反撃したり、『維新ぎらい』という本を出したりしています。
 2022年12月にはくしぶち万里とともにれいわ新選組の共同代表になりました。増税反対デモも彼女が提案、大阪で始めたものですね。最近では、イスラエルのガザ侵攻に対して国会や街頭で激しい批判を続けています。街宣で涙まじりに痛烈な゙イスラエル批判、アメリカ批判をされたのを見ましたが、ほんとに小柄な身体は闘志の塊ですね! 
 ジャーナリストの鮫島浩との対談では、維新批判だけでなく、その矛先は立憲民主党にも向けられています。彼女に言わせると、立憲民主党も自民党とたいして変わらず、議員一人ひとりの個性よりも党の統制が強いらしい。「立憲しぐさ」という見事な皮肉は痛快そのもの。さもありなんという気がしますね。

B 国会でも、闘う野党の復活をめざして本会議議長席前で抗議行動をしたり、予算委員会で岸田首相を「この鬼」、「資本家の犬」、「財務省の犬」と呼んだり、なかなか先鋭ですねえ。

・入れ替わり当選のくしぶち万里、「弁明」に真骨頂

A くしぶち(櫛渕)万里は、2022年の参院選に衆院議員だった山本太郎が打って出る決断をしたときに、入れ替わりで衆院議員になりましたが、山本太郎の空席を埋めるに十分な活動で、大いに存在感を示しました。
 彼女は大学卒業後、ピースポート事務局長をしたことがあり、新党さきがけの田中秀征の「さきがけ塾」にいたこともあります。

B 新党さきがけ代表代行もつとめた田中秀征は、このところよく言及している石橋湛山の孫弟子にあたるとか、いまは隠退しているようだけれど、まっとうな政治家で、彼女もその血筋を引いているわけですね。
 一時、民主党の衆院議員もつとめました。前回衆院選(東京22区)から立候補して落選しましたが、れいわは比例東京ブロックで1議席を獲得して山本太郎が当選、先にもふれたように、彼が参院選に転戦することになり、彼女が入れ替わりで当選したわけです。
 その間のいきさつについては『山本太郎が日本を救う』(サイバーリテラシー研究所刊、アマゾンで販売中)で「山本太郎は男でござる」と題して詳しく紹介しました。本<折々メール閑話>は山本太郎の男気に感じて続けているところがありますね。山本太郎の結党以来の発言の主なものについては、『山本太郎が日本を救う』シリーズ2冊で冒頭に掲載しています。彼のぶれない発言をぜひ確認してみてください。

A くしぶち万里は英語も堪能で知性的な印象がありますが、なかなかどうして大石さんに負けない根性を感じます。国会での活動もたいしたもので、大石あき子に続いて予算案審議に抵抗して懲戒動議にかけられたとき、本会議で読み上げた「身上弁明」は格調高いものでした。

B 全文を書き起こして、「櫛渕万里の弁明」として<折々メール閑話>に掲載しましたので(「れいわによって守られた国会の品位」、『みんなで実現 れいわの希望』に収録)、この名演説はぜひご覧いただきたいと思います。そこにこんなくだりがあります。

 平和憲法と非核3原則、これを持ち、唯一の戦争被爆国である日本が、2度と戦争せず、国の確かな安全保障と地域の平和と安定に貢献できる道は何か。アメリカに追従するだけではなくて、時代の危機感を共有するすべての人と知恵と力を出し合い、もっと国会で真剣な議論を尽くし、国民の生命と尊厳を守るために私はあらゆる努力と行動をしていく決意です。
 なぜ海外の輸入を守るために牛を殺し酪農家を離農させてしまうのですか。食糧自給率はたったの38%、余った乳製品を政府が買い取ってそれを生活の苦しい人びとに配る救済策を行えばいいではありませんか。食料も自国で確保できない政権に安全保障を語る資格があるのでしょうか。

山本総理実現にかける高井たかし

A 幹事長をつとめる高井たかし(崇志)も、縁の下の力持ち以上の活躍ですね。れいわの要と言っていい。郵政省・総務省出身、立憲民主党衆院議員もつとめたことがありますが、今は国会の議席はありません。ウイキペディアによると、先に紹介した城山三郎の『官僚たちの夏』を中学時代に読んで感激、官僚を志したと言います。このところ次期衆院選候補者の紹介記者会見を行ったり、冒頭で紹介したようにテレビ番組にも出演したりして、れいわの政策を広めています。
 昨年、三重県津市に来た時にお会いしたことがありますが、全くかざらない人間味あふれる方だと思いました。山本太郎に男気を感じ、山本太郎を総理にすることに賭けていますね!「3年以内に山本太郎を総理にする」と熱っぽく語っていたのが印象的でした。次期衆院選での去就はまだ発表されていません。(敬称略)

新サイバー閑話(103)<折々メール閑話>㊺

いよいよ沈みゆく泥沼の日本政治

B 前回に引き続き、政局液状化の話です。岸田政権、および自民党はいよいよ沈没に向かって崩れゆくようですね。このところのニュースは開いた口がふさがらないというか、まことに恐れ入ることが多い。
 自民党派閥の裏金(パーティ券収入のキックバック)問題は、国会終了後に強制捜査が始まるようですが、東京新聞によれば、旧安倍派で実務を担うとされる事務総長経験者の松野博一現官房長官、高木剛国対委員長、世耕弘成参院幹事長側が直近5年間で派閥から販売ノルマを超えた売り上げ1000万円以上の還流を受けたらしい。いずれの政治資金収支報告書にも記載はなく、裏金になったと言われます。
 また安倍派幹部の萩生田光一政調会長、西村康稔経済産業省、塩谷立座長にも同様の疑惑が浮上しており、安倍派は戦々恐々、政権スポークスマンの松野官房長官は、国会の追及に「派閥がいま事実関係を精査している。私は政府の立場としてここに出席している」とまともな答弁をしていませんが、岸田首相は松野長官更迭へ動き出したとも報じられています。
 自らは税金逃れの裏金を選挙対策、あるいは私用に使っておきながら、中小企業者やフリーランスの人びとのわずかな収入から税を取り立てようとするインボイス制度をよく導入できると思いますね。安倍派の問題はもちろん多くが安倍晋三元首相に起因するけれど、長い間の一強体制でまさに動議は地に落ちたということでしょう。

A 岸田首相は真相究明に指導力を発揮するどころか、いまになって「派閥から離脱する」と寝ぼけたことを言い出しました。自民党の歴代首相は在任中は派閥を抜ける慣習があり、安倍元首相ですら在任中は派閥を離脱していたのに、岸田首相は派閥会長をやめなかった。その理由として、「派閥を不在にすれば、戻った時に自分のポストがなくなる」ことを恐れたという情けない憶測がされていたけれど、今回の事件勃発を機にやむなく派閥会長をやめることにしたのか、あるいはこれも逃げの姿勢でしかないのか。

B 醜態ですね。岸田首相は安倍国葬を決めたときから首相としての道を踏み誤った。その後も政権延命のために安倍派引き止めにやっきとなり、閣僚人事や政策でもほとんど首相としての主体性を放棄してきたわけで、その責任は大きい。前回紹介した石橋湛山の言葉、「政治家にはいろいろなタイプの人がいるが、最もつまらないタイプは、自分の考えを持たない政治家だ」は彼のためにあるようなものです。

・岸田首相と統一教会の関係が明るみに

A 岸田首相に関しては、最近になって彼が自民党本部で統一教会幹部と同席していたことが明らかになりました。朝日新聞がスクープしたもので、彼が党政調会長だった2019年10月に統一教会の友好団体「宇宙平和連合ジャパン」トップ、梶原正義氏、ニート・ギングリッチ元米下院議長(共和党)、、米教団元会長とされるマイケル・ジェンキンス氏と4人で撮った写真も公開されました(写真は東京新聞12月9日付、共同)。本来は安倍元首相と面会する予定だったのだが、日程の都合で岸田氏が出席したらしい。
 朝日新聞報道ではキングリッジ氏はその会合を認め、写真も提供した。この報道を受けて岸田首相はキングリッジ氏と面会したことは認めたが、そのとき同席した人に「覚えがない」と述べたんですね。「安倍さんに頼まれてしょうがなく出席したのが、今になってたたった」ということかも知らないが、「教団関係者とは知らなかった」などという強弁を信じる人はいないですね。これは安倍譲りの虚言です。
 自民党総裁でもある人が自らの統一教会との関係を隠蔽しているのだから、他の自民党議員がシラを切るのも当たり前。これもあいた口がふさがらないですね。細田博之衆院議長が統一教会問題でほとんど口をふさいでも、これを叱責できるわけがない。

B その細田議長にも唖然とすることがありました。彼は10月20日に「病いで議長を務めるのは無理になった」と衆院議長を辞任しつつ、次期衆院選には引き続き出馬すると宣言しました。これにはちょっと驚きましたが、議長引退後1か月もしない11月10日に多臓器不全で亡くなったのでまた驚きました。死の直前まで議員にしがみつく執念は、まことに恐れ入りやの鬼子母神です。
 ここでも石橋湛山を引き合いに出すと、彼は首相就任直後に過労が引き金となって脳梗塞で倒れ、「2か月の絶対安静が必要」との医師の診断を受けたとき、「私の政治的良心に従う」と潔く退陣したけれど、その後回復、亡くなったのは15年以上後のことです。

・オスプレイ「不時着水」し乗員8人死亡

A まだまだありますね。極め付きがオスプレイ「不時着水」です。かねて安全性に疑問が出ていた米空軍輸送機「オスプレイ」が11月29日、鹿児島県屋久島沖で墜落、乗員8人が死ぬ事故がありましたが、会見した宮沢博行防衛副大臣は事故について こう説明しました。「最後の最後までパイロットが頑張って(コントロールして)いたということだから『不時着水』だ」。墜落を「不時着水」と言い替えれば、事故の衝撃性が弱まるとでも思ったのか、いかにもアメリカに気兼ねした物言いです。念を押すのもばかばかしいが、これが東大法学部出身者の発言です。

B 「不時着」というのは諸般の事情でやむなく予定地以外に着陸することで、乗員はまず無事の場合が多いでしょうね。墜落(crash)を「不時着水」と言い換える日本政府に、オスプレイの飛行停止を求める主体的な外交を求めるのは無理。その後、米軍はオスプレイ飛行を全世界で停止すると発表しています。また12月9日の沖縄タイムスウエブ版によると、米国防省はオスプレイの生産を2026年で中止するとのことです(オスプレイの写真は同ウエブから、米軍横田基地)。
 オスプレイは「未亡人製造器」と呼ばれたほどの事故多発機で、沖縄県民を初めとして日本配備に反対する声が強かったのだが、日本政府はほとんど何の手も打てなかった。米軍が全世界で飛行を停止すると決めたことで、日本もそれにならうことになった。オスプレイを在日米軍と置き換えると、在日米軍基地は米国が不要との判断をしない限り日本に存在し続けるわけで、ここに主体的な外交というものはない。これが日米安保体制の真実です。にもかかわらず「外交の岸田」を吹聴する岸田首相には、たしかに開いた口がふさがらない。

A こういう日本政治の泥沼状況を受けて出てきたのが泉前明石市長の「救民内閣」構想でしょうね。山本太郎は街宣活動で「泉氏と連携するのか?」と聞かれて、「漠然としていて具体的情報に欠けるので回答できない」と答えていた記憶があります。

B これだけ自民党政権が支離滅裂なのに野党も対決姿勢を打ち出せないでいるところに、「救民内閣」という呼びかけがあった。これは、政党だけでなく、国民そのものにも奮起を促す声だと受け取るべきだと思います。
 泉氏の「自民もひどいが、立憲もひどい。国民からすれば、どっちもどっちの状況で、自民にNOだからといって、立憲にYESにはなっていない。その理由は、立憲も国民を向いた政党になっていないからだ。立憲よ、国民のための政策を語れ!財務省にひれ伏する立憲に未来はない」というツイートを86万人が読み、3万人がいいね!を押したところに、国民の気持ちの一端が示されているとも言えますね。
 れいわ新選組としても、いよいよ正念場がやってきたということです。前回もふれたけれど、「非自民」だと言って、ここに維新もなだれ込んでくるようなことになると、単なる野合にすぎず、腰砕けになる可能性が強い。最低限の政策で合意して自民に対決する必要があります。そういう点では、れいわが今後の政局の主役になれるように改めてエールを送りたいですね。
 というわけで、次回から次期衆院選をめざすれいわ候補の活動ぶりを紹介しようと思います。

新サイバー閑話(102)<折々メール閑話>㊹

岸田政権崩壊で加速する政局の「液状化」

B 地震の激しい揺れで地面がドロドロになり、地上のビルが倒壊するような「液状化」現象が、いま政局で急速に進んでいるようです。
 岸田政権は内閣支持率がどんどん下がる中で、去就定まらぬ大阪万博の費用をさらに840億円上乗せするという〝暴走〟ぶりですが、足元の自民党も、派閥が政治資金収支報告書を偽装して「裏金」を作っていた疑惑が噴出するなど混迷を深めています。

A 検察当局は政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑いで捜査を始めていますが、どういうわけか、最大派閥の旧安倍派と二階派に焦点が絞られているようです。ユーチュブのSAMEJIMA TIMESは、これは政局の主導権争いにからんだ国策捜査だというクールな見方をしていますね。

B この政治資金規正法違反は自民党の「裏金」づくりとして厳しく糾弾してもらいたいと思いますが、問題はそれらの金が政治資金を集めるパーティー券売りさばきにからむものだということです。自民党政治家は資金作りのためにパーティを主催し、企業などから多額の金を集めています。自民党政権が企業有利の政策を推進しつつ、かえってマイナンバーカードやインボイス制度導入、消費税増税など一般庶民に不利な政策を強行しているからくりがここにあるわけですね。
 また岸田政権がアメリカ一辺倒の日米安保一体化のもとに軍備増強を進め、「平和国家日本」の名に背いて、ウクライナ問題、イスラエルのガザ侵攻についても独自の発言、行動をすることができず、一方で「気候温暖化」対策を原発推進の口実にするなど、日本国、およびその国民の将来に禍根を残すような政策を続けている背景でもあります。
 岸田政権の内実自体、政治の空洞化、「液状化」を象徴するとも言えますが、今回は、各政党内部の空洞化と政党そのものの離合集散という、政局の動きに見る「液状化」について気づいたことを列記してみましょう。政党政治の構図そのものが溶融しつつあるのではないでしょうか。

A たしかに自民党派閥も旧安倍派に見られるように群雄というより群小跋扈して混乱しているようですが、野党もひどい状況です。このような争乱の中にあって、野党第一党の立憲民主党、泉健太代表は「次期衆院選では政権交代をめざさない」と政治家とは思えない〝迷言〟を吐いています。また、一時は立憲を抜いて野党第一党をめざすと宣言していた維新は、大阪万博の迷走が影響して急速に人気を失墜しています(ついでに言えば、東京オリンピックを強行した背景が結局は金まみれ、汚職まみれの利権構造だった教訓から考えても、大阪万博はすでに歴史的使命を終えた壮大な「幻想」プロジェクトであることは明らかですね)。
 自民党もダメ、野党もダメという状況のなかで、一人気をはいているのが山本太郎とれいわ新選組です。次期衆院選をめざして、すでにやはた愛(大阪13区)、奥田ふみよ(福岡3区)、三好りょう(神奈川2区)など有力な候補を決め、公表しています。山本太郎代表は次期衆院選では国会議員20議席の獲得をめざしたいと言っていますが、ようやくここに来て、れいわの支持率も上昇気流にあるので、大いに期待したいです。

・泉房穂前明石市長が「救民内閣」構想

B 我田引水ですが、長年立憲民主党の支持者だった女性から「『山本太郎が日本を救う』や<折々メール閑話>のおかげで、山本太郎支持へと鞍替えし、友人の立憲支持者にもれいわを推薦しています」というメールをいただきました。中高年層へのれいわ支持を推進している我々としては、望外の便りでした。
 それはともかく、この政局液状化の中で前明石市長の泉房穂氏が「救民内閣」のスローガンを掲げたのは興味深いですね。東京新聞11月26日のインタビューで、「国民負担増から国民を救う政治へと転換する『救民内閣』発足に向け、政権奪取構想を練り始めた」と述べています。

A 泉氏は2011年から今年4月まで兵庫県明石市長を務め、18歳までの医療費や中学生の給食費無料化など、市独自の子育て政策を実施、注目を集めた行政のプロです。乱暴な物言いが玉に傷というか、失言が原因で市長をやめたり、再選されたりと、いろいろ話題の多かった人でもあります。市長退任後は各地の市長選で「非自民」候補を支援しており、最近の立川市および所沢市長選で応援した候補が相次いで当選するなど実績を重ねてもいます。かねがね今後は国政を考えたいと言ってきましたから、東京新聞インタビューで、その腹をいよいよ固めたのだと思います。

B 彼はこういうことを言っています。「仮に岸田首相が退いても生活不安は変わるはずはなく、国民は劇的な方針転換を求めている」、「次期衆院選ではこれまでのような右や左の対決ではなく、『国民の味方』対『国民の敵』の戦いに持ち込み、救民内閣創設を訴え、流れを一瞬で変える」。
 またこうも言っています。「岸田首相は首相をやりたかっただけで、国民に対する愛も、国家に対する責任感もない。そんな人が長期政権を敷いているのが今の日本の不幸である。野党も体たらくで、国民には選択肢がない」、「明石市の成功事例を他の自治体に広げる『横展開』だけでなく、その施策を国政に広げる『縦展開』、さらに自分の命には限りがあるから未来につなげる『未来展開』がある。そのために考えているのが救民内閣創設で、これ以上の国民負担増はせず、子ども予算と教育予算を倍増させる。食料品の消費税率はゼロにする」。
 具体的な政権移行構想については、「既存政党とは別の新党を立ち上げるよりも、全ての既存政党を壊すイメージ。衆院選は小選挙区制だから、今はいずれの政党に属していても、『国民の味方』が勝てると思えば、こちらに流れてくる。国民の負担増を許さない勢力を一つにまとめるのか、連合軍で戦って勝つのかは、いずれでも良い」、「自分が国会議員の1人になるかどうかに意味はい。政治映画を製作すイメージで言えば、主演ではなく、シナリオを書いてキャスティングもした上で、総監督として、政治の夜明けを国民に届けたい」とのことで、具体策は今後の各政党の対応にもよるでしょうが、非自民勢力をまとめ上げる大きな花火を打ち上げたわけですね。

A 「国民に対する愛も、国家に対する責任感も無い人物がこの非常時に首相である不幸」というのは間違いないですね。山本太郎は政権交代の核になれるように、まずれいわ新選組の数を増やそうとしており、その核のもとに、心ある同士と連携していこうというスタンスだけれど、泉氏は「救民内閣」という大きな旗印のもとに同調者を糾合しようとしているわけですね。

B 山本太郎が救民内閣構想に飛びつく可能性はむしろ少ないかもしれません。泉氏がれいわをどう見ているか、また山本太郎代表が泉氏の構想をどう受け取るかはわかりませんが、同じ目的に向かって連携できれば、大きな勢力になりそうな気もします。泉氏は「2005年の郵政選挙で自民党が大勝した時、4年後に民民主党政権が誕生するのは誰も想像しなかった」とも言っていました。液状化する政局再編の監督として泉氏は適任だという気もしますね。

A ここで主役を演じるのは山本太郎しかない(^o^)と思うけれど、泉構想がそういう役割を彼にふるかどうかという問題もありますね。

B たしかに、非自民政権はできたが、政策面で核のない寄り合い所帯ではしょうがないとも言えます。一方で、ただいま現在、政局液状化の兆候はいくつか見られるのも事実です。
 10月26日に都内で「政権交代を実現する会」の結成大会が開かれました。立憲民主党の小沢一郎議員を支持するグループが音頭を取ったようですが、市民代表も参加し、京都精華大学教員の政治学者、白井聡氏もゲストとして顔を見せました。他党かられいわ新選組のたがや亮(国会対策委員長)、日本共産党の穀田恵二(国会対策委員長)、社民党の服部良一(元衆院議員)といった人たちも集まっていました。小沢氏によれば、立憲民主党議員の中でも57人が政権交代をめざして頑張るとの意思表示をしているとのことです。

A 政党の離合集散も加速していますね。まず作家の百田尚樹氏が日本保守党を立ち上げました。岸田首相に飽き足らない旧安倍派の友軍のような政党だけれど、百田氏の人気はけっこう高いようです。そこに加わった河村たかし名古屋市長が「2世議員排除」を訴えているように、旧来の自民政治に対するアンチの考えもあるようです。
 また国民民主党の前原誠司議員が離党し、国会議員5人からなる新党「教育無償化を実現する会」を結成すると表明しました。非自民、非共産が旗印で、維新とのつながりが深そうです。これも政局液状化の一端と見られなくもないけれど、彼にどれほどの求心力があるか。

・政治家は石橋湛山の道義に学ぶべき

B 以前紹介したけれど、石丸伸二安芸高田市長の動きも、旧来の政治地図を塗り替えるものだし、このところ非自民候補の活躍が目立つ地方選での動きも含めて、日本全国で政治地図が流動している感じがあります。
 少しさかのぼるけれど、今年6月に日本外交の道筋を考える超党派の議員連盟「超党派石橋湛山研究会」が立ち上がったというニュースがありました。向米一辺倒の外交から転換すべきだとの意味を込めているらしい。
 石橋湛山は日本にはめずらしいほどのまっとうな保守政治家だったと思います。吉田茂の政敵で、所属する自民党から除名されたりもしましたが、ジャーナリスト出身者として常に筋を通し、アメリカ一辺倒の吉田政治を批判しました。にもかかわらず米軍司令部から追放処分にされたり、念願の首相になったのに病により2カ月余で辞職するという「不運の政治家」でもありましたが、彼の道義を重んじる政治は日本政治史に輝くものです。
 石橋湛山には岸田首相が所属する宏池会の先輩、池田勇人、宮澤喜一なども薫陶を受けたと言われます。その末裔が岸田首相や木原誠二議員であることも今昔の感に絶えないですね。
 これは評論家の佐高信が書いた『良日本主義の政治家 いま、なぜ石橋湛山か』(東洋経済新報社、1994)からの孫引きですが、湛山はこういうことを言っていたらしい。「政治家にはいろいろなタイプの人がいるが、最もつまらないタイプは、自分の考えを持たない政治家だ」、「政治家にだいじなことは、まず自分に忠実であること、自分をいつわらないことである。また、いやしくも、政治家になったからには、自分の利益とか、選挙区の世話よりも、まず、国家・国民の利益を念頭において考え、行動してほしい。国民も、言論機関も、このような政治家を育て上げることに、もっと強い関心をよせてほしい」。
 こういった発言を今の政治家から聞けるでしょうかね。液状化へと動きつつある政局がこれからどう展開するかは素人の予想外だけれど、少しはまともな政治が実現してほしいと思います。石橋湛山の所説後段は、メディアや国民自らも噛みしめるべき点ですね(写真は、東京新聞記事およびウィキペディアからトリミングして借用。一部敬称略、悪しからず)。