新サイバー閑話(75)<折々メール閑話>㉔

『山本太郎が日本を救う』に込めた思い

B <折々メール閑話>の内容を一冊にまとめて『山本太郎が日本を救う』を刊行してから1か月近くになりました。その間、友人知人やメディア関係者、われわれが言及してきた識者の方々に何部か送本しましたが、知人以外はほとんど何の反応もありません。山本太郎やれいわ新選組も含めて。
 これはなぜでしょうね。友人のジャーナリストから「山本太郎べったりのところが、癒着(プロパガンダ)の疑いを生む」と言われて、なるほど、妙な政治文書と見られて敬遠されているのかもしれないとも思いました。

A 反応がないのは、1つにはれいわファンなら誰でも知っている街宣の文字起こしに過ぎないととらえられているのかな?と。もう1つは、我々の往復メールには何ら政治的背景はなく、山本太郎を応援したいという純粋な思いに充ちているだけなのだが、そうは受け取ってもらえないのか、それともそんなゴタクは読みたくもないのか?
 手紙を添えたり、メールで案内したりして送本した人からも何の反応もないのは、皆さんお忙しいのかなと思ったりしますが、返信がないので追っかけメールを出したりしている小生としては、憮然たる感もありますね。『山本太郎が日本を救う』というタイトルは秀逸だと思いましたが‣‣‣。

B タイトルも大げさすぎると言われました。「特定の政治家への全面的な信頼と期待は、現状への失望と期待から来る一種の幻想にすぎず、危うい」とも書いてありました。なるほどジャーナリストの慧眼です。だけど、我々はれいわべったりというわけではなく、あくまで是々非々、あれは一種の酔人問答的な作品でしかない。そんなわけで、あの本出版の企図について、ここで説明しておこうと思います。これを「あとがき」に書くべきだったかもしれないと、後智慧で思いました。
 論旨は、3つあります。

①これは非政治的な市井の老人2人の、昔ふうに言えば、床屋談義ふうの放談で、とくに政治的な背景はない。日本の将来を考えて山本太郎に声援を送ると同時に、彼のことをもっと多くの人に知ってもらいたいという願いを込めた山本太郎応援集である。いわばロートル〝勝手連〟の小品であり、本でもふれているように、山本太郎ファンの努力の結晶(コラボレーション)でもある。『山本太郎が日本を救う』という大げさなタイトルはその気持ちを素直に表明したものと受け取ってもらいたい。
②取り上げた情報はメディアを通じた間接的なもので、インターネット、とくにユーチューブの情報に多くを負っている。とくにPARTⅠがそうで、我々が直接山本太郎に会いインタビューしたものではない。事前に何らかの接触をしたわけでもない。インターネット上の情報を取捨選択したところに編集の冴えがあると考えており、そういう意味ではインターネットの情報は使い方によってはきわめて有効だと言える。それを証明する試みが本書と受け取っていただけるとありがたい。
③この本はネクパブオーサーズプレスというサービスを使って、原稿執筆、レイアウトをすべて個人で行った。販路はアマゾンとごく一部の書店(神田の三省堂本店など)に限定されているが、取次経由でなくても店頭に置いてくれる書店では販売できるように図書コード(ISBN)も取得し、表示している。記事はすでに電子情報としてサイバー燈台で掲載したものだが、それをあらためて本という紙のメディアとして出版したことに意味があると考えている。電子のメディアと紙のメディアとは違うわけで、このメディアの両方の長所を生かした出版活動(メディアミックス)は、矢野が30年ほど前に創刊したインターネット情報誌『DOORS』以来の試みであり、本書の編者がサイバーリテラシー研究所となっているところにその意図が表明されている。

 山本太郎としても、この本を送られてきても、どう対応していいかわからなかったということはあると思いますね。れいわファンにとっては新味がなく、若い人にとっては古臭いゴタクを並べてあるだけで面白くないというのはわかります。だから、あくまで高齢者向き、れいわの存在は気にしているがよくは知らない人向けのガイドブックみたいなものだけれど、肝心のそういう人たちに届く可能性はきわめて低いというジレンマもあるかも。

A 話は変わりますが、日曜日に本屋で雑誌『月刊日本』と適菜収『それでもバカとは戦え』を購入しました。適菜さんは以前からファンです。
 その2冊の本の中で、なるほどと思う箇所がありました。1つは、『月刊日本』での政治家、山崎拓さんの言葉、「日本が再び国力を取り戻すには、見識と実行力のあるリーダーが不可欠です。そういう政治家が現れるかどうか、日本の将来はそこに懸っていると思います」。もう1つは、適菜さんの言葉、「国が危機にさらされた時、政治家は体を張らねばならない。それには危険が伴う。しかしその大義を忘れ、自分の次の選挙のことしか考えられないのなら、今度こそ国民から完全に見放されるだろう」。
 まさにその期待される政治家こそが山本太郎!と思いました。

B 『月刊日本』は保守系の雑誌だと思うけれど、適菜さんや白井聡さんも寄稿しているスタンスの広い雑誌ですね。適菜収は僕も一時期、けっこう読みました。『平成を愚民の時代にした30人のバカ』なんてタイトルの本もありますね。ニーチェ崇拝者のようです。安倍元首相批判として「ああいう立ち居振る舞いを見ていると、やはりひと前には出してはいけない人だったのだなと思います。冷静でまともな議論ができない。総理の器ではありません」などと書いてあり、「問題は安倍個人より今の世の中に蔓延る『安倍的なもの』である。安倍を引きずり下ろしたところで、社会が病んでいれば、この先も同じようなものが持ち上げられるだけだ」とも言っていました。
 たしかに安倍以後の菅、岸田政権を見ていると、野党も含めて、そう感じますね。もっとも、彼は「選挙には行きません」と公言しています。野党に入れても同じだと思っているからでしょうが、我々としては、ちょっと残念なところですね(^o^)。

A 例のれいわのローテーション問題は依然として賛否さまざまなようですが、AERA dot.に長谷川うい子さんのインタビュー記事が掲載されています。
 彼女の話だと、昨年暮れにZoom会議で今回のローテーションの対象となる5人が招集され、山本代表からローテーションの話を始めて聞いたようです。「山本代表は『水道橋博士から議員を辞任する意向を聞いた。もし、そうなった場合はローテーション制の導入を考えている』と説明されました。「突然のことだったので、みんな顔を見合わせながら驚いていました。ただ、私はかつてドイツの緑の党でローテーション制が採用されたことは以前から知っていましたので、これは面白い試みだと思いました」と言っています。「会議では『それでいいんじゃないか』という意見が多数でした。大島さんは本来なら5年の任期があったわけですから、いささか疑問があったかもしれません。ですが、度量の広いことに『比例代表は党の議席だから』と受け入れておられました」とも語っています。
 彼女は「私たちは、選挙制度にも一石を投じたい。ローテーション制もやってみなければわかりません。参院選は非拘束名簿式になりましたが、はたしてそれがいい選挙制度なのかという問いかけにもなると思います」とも冷静に述べていました。

B 前回、奇策の考案者は山本太郎本人ではないかと述べていますが、ブレーンの存在はともかく、どうもそうらしいですね。

A 大島さんは立派です。さっそく参院で質問している姿をテレビで見て、拍手を送りました。

B 岸田首相の右旋回というか、変質はまことに急ですね。適菜さんではないけれど、いよいよ末期的になってきた印象です。去年、惜しくも世を去った名コラムニストの小田嶋隆さんは、駆け出しのころからよく知っていて、その才能を高く評価していたのだけれど(彼については、<平成とITと私④ムック『ASAHIパソコン・シリーズの刊行』㊤>で出会いのきっかけなどを回想している)、彼が2011年から2020年に至る10年間にツイッターでしゃべったものを別の人が編集した『災間の唄』(サイゾー、2020)という本があります。
 その切り口、包丁さばき、まさに一流の職人の腕で、その中に「自分の頭で考えてものを言う人は、周囲の顔色を読んで発言する人間と比べて、浮いた言葉を発する確率が高い。でも、世の中が混乱しているとき、指針となるのはそういう人の言葉なのだと思う♦狂った時代において、空気を読んで発言する常識人の言葉は、圧力しかもたらさない。狂った時代を打開できるのは、自分の頭で考えて発信する狂った人間の言葉だけだ(2015.6.17)というのがあります。
 これも同趣旨の発言ですね。歴史家、アーノルド・トインビーではないけれど、日本文明は明らかに衰退期にさしかかっていると思います。衰退期特有の特徴が各所に現れている。他のアジア諸国に先駆けて、脱亜入欧とばかりに近代化に成功、戦後も高度経済成長に乗ってジャパン・アズ・ナンバーワンと言われたこともあるけれど、いまは他のアジア諸国が躍進し、西洋文明に代わる東洋文明の時代がやってくるとさえ言われているときに、日本だけが衰退していくというのはまことに皮肉です。
 だからこそ、その再生を山本太郎に賭けたい、というのがロートル勝手連の応援席からの願いということになりますね。『山本太郎が日本を救う』は未熟な自己満足の本かもしれないけれど、我々の初心としては、それでいいわけでもあります。本書でも引用したガンジーの言葉があらためて頭に浮かびますが、今後も言いたいことを言っていきましょう(^o^)。

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