新サイバー閑話(88)<折々メール閑話>㊱

「連帯を求めて孤立を恐れぬ」山本太郎

A 6月8日の参院法務委員会で入管法改正案が可決されました。自民、公明、維新、国民民主の賛成で、立憲民主と共産は反対し、委員長席に詰め寄り、強行採決に抗議しましたが、ここで「体を張って」採決を止めようとしたのが山本太郎で、委員長を取り囲む与野党議員の後ろから身を乗り出して、委員長に採決させないようにしたわけです。「戦うれいわ」、「戦う太郎」の姿を目の当たりにして、胸が熱くなるのを感じました。

B れいわとしては、衆院の大石あき子、櫛渕万里に続いての「実力行使」そろい踏みですね。最初にこの報に接した時、また「れいわバッシング」の波にもまれるのではないかと、むしろ心配の方が強かったのだけれど、動画を見たり、その後、山本太郎が千葉・船橋で行った街宣や「おしゃべり会」で冷静に話す姿を見ながら、国会弱小勢力のれいわとして出来ることをやっているのだと改めて感じました。与野党はここでも山本太郎を懲罰動議にかける協議をしているようだけれど、かつて自らも野党だったころ、それぞれ実力行動に出た経験もあるのに、どういうことでしょうね。

A 山本太郎は確信犯です。懲罰動議、上等じゃないですか。入管法改正案は日本の難民政策を改悪するもので、これが成立すると、難民で命を落とす人が出るかもしれない大問題です。山本太郎はかつて「野党全員が浜幸のようになったら、悪法は止められる」と言っていたから、「あるいは?」と思っていたけれど、第一報を聞いたときは、「ついにやったか!」と感じました。それにしても、入管法に限らず、さまざまな悪法を問答無用に次々と成立させる岸田政権こそ問題です。

B 今朝の東京新聞を見たら、一面肩に<改正入管法きょう成立 参院委可決 立・共「強行」と批判>の見出しの記事が出ていましたが、山本太郎のヤの字もないですね。山本太郎は法務委員会のメンバーではないから、法務委員会の記事に山本太郎が出てこなくても筋としてはその通りでもあるが、与野党が山本太郎を懲罰動議にかける協議までしているのに、この問題にいっさい触れないのはやはりどうかと思いますね。捉え方によっては、「山本太郎、たった一人の反乱」という堂々たる記事ができると思うのだが‣‣‣。
 結局、新聞記事上は入管法改正案は立民と共産党などの反対はあったけれど、賛成多数で委員会を可決、9日には参院本会議でも可決、成立する、という型通りの進展になってしまう。山本太郎の体を張った抵抗は完全に無視され、彼の懲罰だけが問題になるわけで、今国会のいびつさはまったく知らされない。と言うより、山本太郎およびれいわ2議員の行動は単なる逸脱行動になってしまうわけです。

A 駅まで行って、朝日、読売、毎日、産経など各紙を購読してきましたが、大差ないですね。しかしツイッターなどインターネット上では、山本太郎への賛辞、激励、感謝などの声がむしろあふれています。ここに救いがありますね。少なくとも、社会全体の空気と国会、およびメディアのあり方がずいぶんずれていることを示しているとも言えるでしょう。
 山本太郎に「サルに謝りなさい」と言われた立憲民主の小西洋之議員がツイッターで山本太郎の懲罰動議に異議を唱えています。

B 貴君は殴り込みに出かける高倉健に「ご一緒、願います」と番傘をさしかけた池部良の心境のようですね(^o^)。僕は以前にも上げたガンジーの言葉を思い出しました。「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。それをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないためである」
 山本太郎は体を張ったけれど、国会ではそれこそ逆に「茶番」扱いされ、メディアも「太郎の義挙」に応えて立ち上がる気配がない。かつての全共闘時代、彼らのスローガンの1つは「連帯を求めて、孤立を恐れず」だった。山本太郎は国会での孤立を恐れず、国民との連帯を求めているわけです。心ある人びとが山本太郎に応える番ですね。

A メデイアが立ち上がらなくとも、国民は山本太郎に連帯すべきだと思いますね。彼は日本を救う漢(男子)です。国民の全員が池部良になれば日本は変えられる(^o^)。

B ガンジーと言えば、最近、AP通信社東京支局総支配人もつとめた我孫子和夫さんに聞いたのだけれど、ガンジーとAPとの関係は深いらしい。そのメールの一部を紹介させてもらうと、こうです。

 AP特派員だったジェームズ・ミルズはマハトマ・ガンジーが指導したインド独立運動を取材し、ガンジーを「狂信者あるいは奇人としてではなく、強く人を惹きつける特質を持った人間」として扱い、彼の信頼を得た。1932年1月に逮捕された時、ガンジーはミルズに向かい、「私は牢獄で死ぬかもしれない。そしてあなたに二度と会うことができないかもしれない。それ故、私の活動やインド国民会議の運動の進展を綿密に、そして公平に報じてくれたあなたとAP通信社に感謝したい」と伝えた。
 数か月後、深夜過ぎにガンジーが人里離れた駅で釈放された時、彼は闇の中を覗き込み、見覚えのある顔を見つけた。それはミルズだった。ガンジーはどうしようもないなといった表情で頭を振り、「思うに、私が来世へと旅たち、天国の門の前に立った時、最初に出会う人間はAP通信社の特派員だろう」とミルズに語った。

 この言葉はAPのマーケティング・パンフレットにも使われていたらしいけれど、山本太郎にはどこか求道者、ガンジーの面影もありますね。その山本太郎に寄り添い、後に彼から深い信頼の言葉をかけられるジャーナリストが日本にいることを望みたいです。

 

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