東山「禅密気功な日々」(26)

Years of Practice

How do you do that so easily?
Years of practice! But just smile and relax. Above all, you should enjoy yourself. Now you try.
I did it!
You see? I know you could.

 英会話の勉強みたいだが、そう、英会話用テキストから借用した。

先生はなぜそんなに簡単にできるのですか/いつも練習しているからだよ。笑顔でリラックスしてね。なによりも楽しみながら。君もためしてごらん?/あっ、できました!/だろう?君ならやれると思っていたよ。

 何年もの練習の成果が一瞬でできる、というのがいかにもテキスト的だが、何事も繰り返しながらの練習が大事だというのはたしかである。最初はとてもできないと思ったことが、そのうちできるようになる。若者に限らず、老年になっても同じである。

 Years of Practiceは、行住坐臥と言い換えてもいい。寝ても覚めても。ふだんの修練がすばらしい結果を生む。広島大学元学長の耳鼻科医、原田康夫さんはことし満90歳だが、なお現役のテノール歌手として、ときに「オーソレミオ」を朗誦しているらしい。声の老化を防ぐために、専門知識を生かした独自の声帯健康法を何年も、日々実践しているおかげである。

まさに

Years of Practice.
Heaven helps those who help themselves.

である。

  歳をとってからではもう遅いかというと、そうでもない。

 よく知られた話だが、ロケット開発で有名だった故糸川英夫さんは、晩年になって社交ダンスを始めたが、最初練習したとき足がほとんど上がらなかった。それで洋服ダンスの引き出しを開けて、最初は最下段に足をかけるようにした。そこまでしか上がらなかったのである。なれたところで2段目の引き出しに挑戦、それを3段、4段と続けて、最後は最上段まで届くようになったという。

・自分にかまける時間はたっぷりある

 趣味もここまでやればたいしたものだが、気功も同じである。

 そのためには、最初からきついことに挑戦しない。体をゆっくり動かしながら、体が自然にほぐれていくのを待つ。

 子はすでに独立、孫の子守からも解放された老年にとって、残された時間はそれほど長くないとしても、その時間は、ほとんど自分だけにかまけることを許される〝至福〟の時でもある(女性の場合、男性のように自由とはいかないかも……)。短い年月に残された長い時間。そのためには健康第一。のんびり練習する。そして何よりもそれを楽しむことである。

 朱剛先生によれば、展慧中の極意は、眉間を広げて心の底から微笑むことだという。Just smile and relax.

 敬老の日を前に総務省が(2021年)9月19日に発表した人口推計によると、65歳以上の高齢者は前年より22万人も増え、総人口に占める割合は29.1%と過去最高になった。これはイタリア(23.6%)、ポルトガル(23.1%)を抜く断トツの1位である。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2040年になると35.3%を占めることになる。

 国民の3分の1が老人である国はさまざまなひずみを社会にもたらすだろう(すでにそうなってもいるが……)。地球環境問題と並ぶ政治の大問題だが、私たちは有史以来初めて、そういう未踏の社会に向かっている。

 個人的な対処法としては、だからこその健康法であり、そのためにはYears of Practiceに励むのがいい。

東山「禅密気功な日々」(25)

細胞と和気あいあい

 だいぶ前だが、『奇跡の脳』(ジル・ボルト・テイラー著、竹内薫訳、新潮社、2009)という本が話題になった。脳卒中で左脳の活動が止まってしまった脳科学者が、左脳の回復までの過程で、むしろ右脳のすばらしい機能に目覚めていく体験を記したものである。8年の苦闘の末に咲いた幸せの記録でもある。

 左脳が壊れた彼女は、自分がこれまでとは違う穏やかな性格に変わったことに気づき、それをすごく魅力的だと思う。そして、左脳が回復する過程で右脳の素晴らしさがまた失われていくのを恐れた。彼女は、脳卒中という不慮の事故を通して、理知的で冷たい左脳とは違う、感情的で穏やかな右脳の働きを自ら体験、そのうえで脳科学者らしく、両者をバランスよくコントロール技術を身につけたわけである。

「脳卒中を体験する前のわたしは、左脳の細胞が右脳の細胞を支配していました。左脳が司る判断や分析といった特性が、私の人格を支配していたのです」、「脳卒中によってひらめいたこと。それは、右脳の意識の中核には、心の奥深くにある、静かで豊かな感覚と直接結びつく性質が存在しているんだ、という思い。右脳は世界に対して、平和、愛、喜び、そして同情をけなげに表現し続けているのです」、「回復するまでのわたしの目標は、二つの大脳半球が持っている機能の健全なバランスを見つけることだけでなく、ある瞬間において、どちらの性格に主導権を握らせるべきか、コントロールすることでした」。

 ここには左脳的な人間が、左脳的に考えながら、右脳の働きを取り入れて人生を豊かにしていこうという、いかにも西欧人的な対処法が示されているが、著者が気づいたことは、ひとことでいえば、瞑想のすばらしさだろう。「瞑想の発見」だったと言ってもいい。

 彼女は書いている。「左脳マインドを失った経験から、深い内なる安らぎは、右脳にある神経学上の回路から生じるものだと心の底から信じるようになりました。この回路はいつでも機能しており、いつでもつなげることができます。安らぎの感覚は、現在の瞬間におきる何かです。……。内なる安らぎを体験するための第一歩は、まさに『いま、ここに』いる、という気になること」、「私の意識は、自分自身を個体として感じることをやめ、流体として認知する(宇宙とひとつになったと感じる)ようになったのです」。

 瞑想の極意とは、まさに「宇宙と一つになる」感覚だろう。「いま、ここにいる」感覚は、朱剛先生が教室でよく言う「気持ちのいい感覚に意識を集中する」を思わせる。

 後半で彼女は、自分の「新しい」人生について、「脳の細胞との会話に多くの時間を費やすのに加えて、わたしはからだをつくっている50兆もの細胞という天才たちと、和気藹々とした関係を結んでいます。細胞たちが元気で完全に調和しながら働いていることに、感謝しています」とも書いている。

 この「細胞と和気あいあい」という表現がまた興味深い。これこそ蠕動の極意でもある。全身を動かす時、頭、肩、背、腕、胸、腹、股間、脚と意念を動かしながら、それぞれの細胞と和気あいあいの関係を維持する。以前書いた「気を動かす=細胞を共鳴させる」というのも同じである。

 会報『禅密気功』第111号(2021.9)で朱剛先生がたまたま「活在当下」(かつざいとうげ)という言葉について紹介し、「それは『今ここを生きる』という意味で、『今ここ』とも言います」と書いておられる。テイラーの「いま、ここに」の原語が何かわからないが、表現が一致しているのはやはり興味深い(10.3追記)。

新サイバー閑話(45)

新サイバー閑話再開

 お久しぶり。新サイバー閑話1年余ぶりの再開です。

 もっともここ1年は<Zoomサロン>でOnlineシニア塾活動の報告を行ってきたので、<サイバー燈台>の活動は続けてきました。それはともかく、この激動する社会のただ中で、本流の<新サイバー閑話>のコラムも再開しようと思います。

 とりあえず2つの報告から。

<1> 東山明『健康を守り 老化を遅らせ 若返る』の出版

 インプレスのネクパブ・オーサーズプレスを利用して東山明『健康を守り 老化を遅らせ 若返る』(サイバーリテラシー研究所)を出版しました。

 これはプロジェクト・コーナーの東山明「禅密気功な日々」を再編集して書籍化したものですが、やはりオンラインと書籍との違いもまた明瞭なようです。このシステムを利用すると、やや割高になりますが、自分でWordだけで編集して、それが本になりアマゾンから出版されるというのは、やはりありがたいです。

 私は2009年に『総メディア社会とジャーナリズム』(知泉書館、大川出版賞受賞)を出し、「総メディア社会におけるジャーナリズム」のあり方を考察したことがありますが、当サイバー燈台の情報発信とともに、今回のように、そこにある原稿の書籍化もまたその実践だと考えています。

 ご興味のある方は、ぜひアマゾンでご購入ください。都内神田の三省堂書店などでも販売されます。
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 なお本書は<サイバー燈台叢書>第1号です。「サイバーリテラシー研究所」を出版元に、これから同種の書物発行を続けたいと思っています。とりあえず私が雑誌『広報』で連載してきたコラムのバックナンバーや、Onlineシニア塾の記録などを再編集することを考えています。

<2>Onlineシニア塾の発足と拡大

 本ウエブ「Zoomサロン」をご覧いただければ一目瞭然ですが、昨年5月からOnlineシニア塾を開設しています。

 講座<若者に学ぶグローバル人生>、<気になることを聞く>、<とっておきの話>の3本柱でこれまでに約25回の授業を開きました。<若者に学ぶグローバル人生>では中国、ベトナム、ミャンマー、ネパール、タイなどのアジア諸国やナイジェリア、シェラレオネ、セネガルなどアフリカ諸国の若者などの話を聞き、ほかにミャンマー支援をめぐる討議、アメリカ最新授業報告などの授業も行っています。

 メンバーはメディア関係者、日本語教育指導者、IT起業家、IT専門家、教育関係者、学生など30人近くになります。10月には東京新聞神奈川版で紹介もされています。

 シニアばかりでなく若者のメンバーも増えつつあります。ウエブ上の「Onlineシニア塾への招待」の趣旨に賛同してくださる方は、簡単なプロフィルを送っていただくだけで無料で参加できます。ご興味のある方はinfo@cyber-literact,comまで。