東山「禅密気功な日々」(21) 動功編④

陰陽合気法<大自然の陰と陽のエネルギーを体に取り入れる>

 鎌倉教室では、築基功のほかは陰陽合気法をもっぱら練習しています。

――陰陽合気法は、自然の陰気と陽気を取り入れて、身体の陰と陽のエネルギーを調和させる功法です。陰気とは地のエネルギー、陽気とは天のエネルギーです。宇宙のエネルギーと一体化した「天人合一」の意識にまで至れば、心身は穏やかに解きほぐされ、健康と活発な精神を得ることができます。

 陰と陽は中国思想の根本でもあるようですが、これについてまず説明してください。

――中国では常にものごとを陰と陽に分けて考えてきました。すべてのものごとには反対の意味がありますし、またその両者を統一することもできます。その考えを健康法に応用しているわけです。神秘とか幻覚とかいう非科学的なものに関連づけて説明すると、なんだかすばらしいように思えますが、かえって本質から離れてしまいます。大事なのはわかりやすく説明することです。

 体の前を陰面、背中の方を陽面と言いますね。犬などの四足動物で言うと、お腹が陰、背中が陽というのはわかる気もしますが‣‣‣。

――内側が陰、外側が陽。表が陽、裏が陰でもあります。腕でいうと、外側半分が陽、内側半分は陰ですが、細かく言うと、腕の外側3分の2ぐらいが陽です。

 陰陽合気法を練習するためには、築基功を修得しておくことが必要で、陰陽合気法の基本姿勢も「三七分力」、「三点一線」、「緩密処」、「展慧中」ですね。

――ここで陰陽合気法というのは「天地部」のことです。これとは別に「人部」がありますが、ここでは天地部について、順を追って説明します。
 最初が「築基法」です。まず、ゆるやかに嬬動します。次に、さらに深く瞑想、内視し、内に深く気を生み育て、行き渡らせます。その気は自然に外部ともつながり、内にも外にも気を配ることになります。動作は力を入れず、立ち止まらず、緩やかに、軽く、柔らかく、円くし、大小相まじって千変万化します。

 築基功の蠕動は、もっぱら体内の気を動かすが、築基法では外部との関係を重視するということでしょうか。

――そうでもありますが、自分の姿が見えるように、気をもっと感じるように、より強く瞑想します。目をつぶっても自分の姿が見えるようにします。

 瞑想の度を深めるということですね。

――「三円功」では、腹腔内に気を回して「先天の気」を育て、拡大させます。渦巻き状に円を描くように気を回します。円の描き方は「平円」「側円」「正円」の三つですが、どの円も下腹部の中心から渦を巻くように広がって、そして外周から中心に戻ります。
 「平円」を描く場合は、捻動と合わせて水平に回します。「側円」の場合は、擺動と合わせて時計方向(逆方向も可)に回します。円が大きくなったときは、上は鳩尾のあたり、下は密処を通します。さらに「正円」の場合は、蛹動と合わせて前後に回します。大きくなったときは、「側円」と同じように対処します。

 「先天の気」については以前もお聞きしましたが、「後天の気」との関係でもう一度説明してください。

――昔からいろんな言い方があります。たとえば生まれる前の気、生まれた後の気というとらえ方があります。生まれつきの気を先天の気と言ってもいいです。生後半年もたたない赤ん坊は病気もしません。そのうち食事をしたり、悩んだりして体に支障が出てくる。これを後天の気と言います。道教ではもともとの世界は「天人合一」と考えていたんですね。
 だから、こう言ってもいいです。先天の気は病気のない気、元気な気です。これに対して、社会生活の中でいらいらしたり、刺激を受けたりして乱れた気が後天の気です。この後天の気を先天の気に戻すようにするのが健康の秘訣です。

 なるほど。三円功は「腹腔内に気を回して『先天の気』を育て、拡大させる」わけですね。

――「先天の気」に戻す、と言ってもいいですね。

 もっぱらお腹を中心に気を動かすのは、どういう効果がありますか。

――丹田はへそ下三寸あたりにありますが、これは医学的に言えば小腸の部分です。気功にはいろんな流派がありますが、丹田を重視するのは共通しています。伝統的には、体に入ったエネルギーはまず丹田に集まり、そこから全身に広がっていくとされています。現代医学で言えば、食べたものは消化されてまず小腸に行く。ここで栄養分は吸収されて血液とともに全身に回ります。小腸が健康に大きな影響を与えることが明らかになっています。

 小腸が大事だということですね。

――今では小腸の働きと穏やかな気持ちは関係があるとも言われています。丹田に気を集めると落ち着いた感じが出てきます。気が頭の方に上っていると、気持ちが安定せず、落ち着きません。エネルギー吸収にもよくないですね。

 禅などでも「気を丹田に養う」とか「上虚下実」などと言いますね。

――3つの円の共通の要点は次の5点です。
 ①目を閉じて意念で気を引き連れていくよう、帯のような気の流れを見つめる。
 ②方向を変えるときにはS字状に動かして、気の流れを変える。
 ③円の大きさは身体の外に出ない。
 ④回数は、男性が3の倍数、女性が2の倍数。
 ⑤手は下腹部に重ねて行なう。男性は左手の上に右手、女性はその逆にする。

 「帯のような気の流れ」を実感することが大事ですね。ところで、男性と女性では回数や手の置き方が違うのはどういうことでしょうか。

――気になりますか(^o^)。厳密に守らなければ効果がないのかと言われると、そうでもないわけですが、ここに陰陽の考えが反映しています。女性は陰、男性は陽です。もちろん人間としては同じですが、違う面もありますね。その一つの現れですから、まあ従っておいていいでしょう。

 三円功が終わった後は、「接地陰」と「通天陽」に移るわけですね。教室などでは三円功を後でやることもありますね。

――そのときの状況や都合によって三円功を後にやることはありますが、三円功は陰陽合気法の前提を整えるものでもありますから、やはり最初にやるのがいいですね。

・温かくなったなと思えば、温かくなる

「接地陰」は、陰のエネルギーを取り入れて、体内の気の調和を図ります。「三円功」が終わり、気が下腹部に戻り、集中したところから始めます。
 ①意念で気を引き連れて、下腹部から密処、腿の内側、両足の裏側を通して、陰面に沿つてはるか深く地根にまで至ります。井戸の中の冷たい水に全身が浸るようなイメージを持ちます。
 ②次に気は地根から上り始め、両足の裏側を通して、両腿、密処、腰から陽面に沿って下腹部に戻り、再び地根に向かいます。
 ③軽く、柔軟に蝠動して、手は柔らかく気を導くようにします。
 ④意念の行くところは、手と気だけが行くのではなく、目も耳も同行します。
 「通天陽」は、陽のエネルギー(天陽)を取り入れて、体内の気の調和を図ります。「接地陰」に引き続いて、下腹部に戻った気を天根にまで到達させます。
 ①気は下腹部中心から密処を通して、陽面に沿って上に上り、天頂を通して天根に通じます。意念で気を引き連れ、手は気の流れを導きます。暖かい太陽のエネルギーを浴び、包まれるようなイメージを持ちます。
 ②次に気は天根から降りて天頂を通り、陰面に沿って下腹部、密処を通して下り、そのあと再び上に上ります。
 ③「接地陰」と同様に、軽く嬬動し、手は柔らかく気を導き、意念は気の流れを見つめます。

 接地陰では地下深くにある冷たいきれいな水を意識し、蠕動しながらそれをかき回す。また通天陽では「太陽、月、星、雲など、あらゆるエネルギーをまとめて」ボールにして、その太陽のボールを天頂で見る。そこから温かい気を引っ張ってくるわけですね。
 陰の気が上ってくるとその部分が涼しく、また陽の気が下ってくるとその部分が温かく感じると言いますが、最初はなかなかうまくいきません。その感覚は人によって違うということでしょうか。感じられない場合は効果がないのでしょうか。

――人によって違いはありますが、温かくなってきたなあと真剣に思えば温かくなります。涼しいなあと真剣に思えば涼しくなります。想像を込めて練習するわけです。

 なるほど。ここがポイントですね。意念を強くするとは、イメージを喚起しそこに集中するということですね。

昇降法」と「合気法」は応用編のようでもありますね。

――「昇降法」は身体を左右半分ずつに区分して、左右両側を通して気を昇降させます。「地―人―天―人―地」と気を循環させます。
 ①「接地陰」で気を地根にまで入れた後、地根から左足、左半身を通して引き上げ、天根にまで到達させます。
 ②次に天根から気を引っ張り、右半身、右足を通して、再び地根に入れます。これを繰り返します。
 ③柔らかく軽く嬬動し、手は気を導き、意念は気を引き連れるように気の流れを見つめます。
 「合気法」は陰気、陽気を用いて「陰陽共盛」を図り、身体の全体的調和を実現します。
 ①「昇降法」に引き続いて、地根に到達した気を両足を通して陽面に沿って引き上げ、そのまま天頂を通して天根に届けます。
 ②次いで天根の気を引っ張り、天頂を通して陰面に沿って下に降ろし、再び地根に到達させます。これを繰り返します。
 ③柔らかく軽く嬬動し、手は気を導き、意念は気を引き連れるように気の流れを見つめます。

 陰陽合気法でも、収功がありますね。

――「収法」は気を下腹部中心に戻して、手は下腹部で解脱印を結び、天地人の気を収めます。目も耳も下腹部に集中させ、見、聞きます。気の感じがまとまり、集中し、安定し、消えたら、静かに目を開けて、終わります。

 収法は築基功の収功と同じですか。

――まったく同じです。

 陰陽合気法では、地―人―天―人―地という感じで、体内の気と外気を交流させるわけですね。

――そのための功法です。さっきも言いましたが、意念の働きが大事です。感じる、感じないと言うよりも、感じるように強く意識することです。雑念が入るとなかなか集中できませんが、練習を続けるうちに雑念は少なくなり、集中できるようになります。がんばってください(^o^)。

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