東山「禅密気功な日々」(16)先生に聞く④

瞑想は緊張感をほぐしていく過程

杭州・西湖の夕陽(中国合宿の際に撮影)

 瞑想・意識・気感についての基本をお聞きします。

――瞑想という訓練法には、色々な呼び方がありますが、坐禅という名前が一番知られています。坐禅は、その訓練法の足を組んで動かないという形から、その名がつきました。

 坐禅は日本でも盛んに行われています。私も鎌倉の建長寺や報国寺の日曜坐禅会に何度か参加したことがありますが、報国寺の坐禅会は本格的で、朝7時から始まりますが、みんな6時ごろには集まり、境内の清掃から始めます。報国寺は竹寺としても有名な美しい寺です。本堂での修行のあとにおかゆが出され、初心者は和尚さんから法話を聞きます。「健康を守り、老化を遅らせ、若返りもめざす」で紹介した「いいと思うことを心を込めてくりかえす」という言葉もそのとき聞いたものです。坐禅歴何十年という〝猛者〟もたくさんいて、「最近になってやっと坐るということがわかってきた」なんて言っていました。

――瞑想では、訓練の時の体内の微妙な状態を強調します。この微妙な状態というのは、体内外の感覚が薄くなり続けて、他の微妙な感覚が浮かんできます。
 その状態には5つのポイントがあります。

①一つの物事に集中することにより、外部からの刺激を受け取らないようにします。
②体内の眠気と雑念の刺激が相次いで浮かんできます。瞑想の状態ではなるべくその刺激も受けないように努力します。
③顕在意識を活発にしないようにしていると、徐々に、空あるいは無というような感覚が浮かんできます。
④そのうち「喜ぶ、楽しい、良いなあ」という気持ちが浮かんできます。
⑤その時、寝ているようで、寝ていない状態になって、「夢うつつ」、「まどろむ」、「半分眠っている」、「半分スッキリしている」と言う状態になります。

 瞑想は緊張感がほぐれると同時に、気が活発になり、新陳代謝が良くなり、免疫力が高まる効果があります。

 坐禅は只管打坐(しかんたざ)、ただひたすら無念無想をめざすけれど、瞑想はある一つの事柄に意識を集中することで、やはり雑念から解放されるという理解でよろしいか。

――本来ならば坐禅は瞑想と同じで、名前が違うだけです。坐禅は形の方を強調し、瞑想は意識を訓練することを強調しています。いまの坐禅は形を細かく強調して、中身の訓練はあまりないように思います。私達の瞑想法は伝統の法を継承して、これを重視します。それが5つのポイントです。

 ストレスを抱えることで、体の生理機能である免疫力や新陳代謝の働きをかえって阻害しているような気がします。「カエサルの物はカエサルに」、生理機能に介入しないように努力していますが、これがなかなか難しいですね。
 瞑想と意識の関係は?

――瞑想という訓練法は意識を使って行います。人間の意識もまたエネルギーであり、このエネルギーは他のエネルギーをコントロールできるという大きな特徴があります。それで、意識を「気の中の気」とも言います。意識が分散された状態が雑念、意識の集中した状態が意念または念力です。意念は内部に、念力は外部に向けられます。

 意識には顕在意識と潜在意識がありますね。顕在意識が潜在意識に突き動かされることもありますし、顕在意識が潜在意識を不当に圧迫することもあります。閉じ込められた潜在意識はときに爆発する。夢として現れることはフロイトが〝発見〟しました。瞑想は顕在意識を鎮めることによって潜在意識を解き放つ、そのことで心身の健康を回復するということでしょうか。

――そうです。そのときは雑念を抑え込もうとするのではなく、むしろ解き放つ。無為夢想というのはそういう状態です。

 先生は「気感」という言葉もお使いになりますね。これは気とは違うわけですね。

――気感とは、瞑想中の微妙な気の感覚のことです。瞑想する時、身体がリラックスしてきますが、この変化を感じるのが気感です。私は練習の間に緊張感がほぐれる時の変化だと考えています。瞑想は緊張感をほぐしていく過程です。その時の「ほぐす」はイコール変化で、この変化を気感というわけです。例えば、痙攣を感じたり、身体が大きくなったり小さくなったり、身体が無くなるような感覚がでてきます。光や物体が見えるような感覚もそうですね。

 坐禅・瞑想中に上半身、とくに胸部に強い膨張感を感じることがあり、密処のうずきや胸の膨張感を感じると身体全体がほぐれ、気分もよくなります。

――この気感は、流派により、幾つかに分かれます。
 道家系では、気が任脈、督脈という小周天(しょうしゅうてん)に沿って回ります。密家系には、気を身体の真ん中、中脈に沿って流していきます。
 禅密気功では、功法によりさまざまな気感が生じます。背骨を動かすという基礎功法では背骨に絡んで気を蛇のように流しています。陰陽合気法・天地部では涼しい気と暖かい気が流れます。吐納気法では、外部の大自然の気を呼吸と合わせて体内に入れたり、流したりします。慧功法では内、外の気と一体になる、といったように、いろいろな練習法があります。
 禅密気功の瞑想では八触(はっしょく)という気感を強調しています。この辺はのちに詳しく述べますが、「動」「痒」「軽」「重」「涼」「暖」「粗」「滑」があります。

 そのいくつかは実際に感じているように思いますが……。

――意念と気感(微妙な気の感覚)の関係は以下のようになります。

意守気現:意念を置いて動かさない(雑念を起こさない)と様々な感覚が現れてきます。
意随気行:現れた気を動かすと、意念がついていきます。
意領気行:意念を先に動かして、意念で気を導引します。
意気合一:これは意と気が一体になることです。

 この辺は実践なしに感じることは難しいですね。そのために禅密気功では本部道場で各種の功法を練習したり、瞑想会を開いたりしています。

 江戸川橋は禅密気功のメッカですね(^o^)。

――本部道場では各種功法の専門コースの教室を開いていますが、春秋に行う「気の瞑想会」は全4日間の日程です。朝10時から午後7時まで、昼食や昼寝の時間以外は瞑想三昧です。何事もそうですが、一定期間、特定の練習に打ち込む時間をもつということが大事なんですね。必ずしも4日全部参加する必要はなく、1日でもいいのですが、やはり4日間の練習を受けた後は効果が違います。

 日本禅密気功研究所の本部道場は地下鉄・有楽町線の江戸川橋駅近くです。第1回で先生に神田川沿いの桜を撮影していただきました。地蔵通り商店街は昔懐かしい雰囲気を漂わせています。
 専門コースや瞑想会のほかにも、秋には合宿をしていますね。私も湯河原や山中湖の合宿に参加したことがあります。またときどき中国合宿も行われています。2007年の黄山、2009年の蘇州・上海合宿に参加しましたが、黄山合宿には名うての気功士が多数参加し、たいへん貴重な経験をしました。

――今年(2020年)4月にも中国気功研修旅行を企画していましたが、残念ながらコロナ禍で中止しました。

・光の瞑想、色の瞑想

 先生は光の瞑想、色の瞑想ということを言われています。実際、瞑想しながら彗中を通して無限の空を見るようにしていると、全体が明るくなったり、青、黄、赤、白などいろんな色が見えたりしますね。銀河のようだったり、線香花火のようだったり、オーロラのようだったり、色のあざやかさにはびっくりします。

――瞑想のポイントとプロセスを整理すると、身、気、光、意、心になります。

身の練習:動功で、主には有酸素運動です。これは体質改善に良いです。
気の練習:肉体の身体を変えて気の身体になる感覚です。これは身体の病気を抑えるのにいいです。
光の練習:瞑想中の光や光景を整えることです。これは心の病などを治すのに良いです。
意の練習:スッキリした意識の状態になることです。人生観を高めます。
心の練習:愉快な穏やかな気持になることです。人生がより楽しくなります。

 これで気とは何か、禅密気功とは何か、体を揺らすことや瞑想の功徳などについて、ひと通り初歩的なことをお聞きしました。しばらく間をおいて、次回シリーズでは動功について、その基本である築基功をはじめとして、各種功法についてお聞きする予定です。コメント欄や私へのメールで、ご感想や今後、先生に聞いてほしいことなどをご連絡いただければ幸甚です。

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