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矢野  今日は「インターネット安全運転の心得」をテーマにこれから2時間余、有意義に楽しく過ごせればと思います。
 インターネットは現代人にとって必要不可欠な道具になりました。車並みですね。ところが車を運転するには免許がいるけれど、インターネットを使うには何の資格も必要ありません。誰もが使えるインターネットの素晴らしさでもありますが、やはりそれを利用するためには若干のリテラシーが必要になります。そのリテラシーの問題を、車社会との比喩で「安全運転の心得」として考えていこうと思います。
 車の場合は、事故を起こすとけがをしたり、本当に命を落としたりするので、危険性については比較的認識されているけれども、インターネットの場合は、行為と結果(被害)が直接結びつきにくいこともあってなかなか意識されません。
 これからお3人のパネリストの方に、小・中学生、高校生、あなた方と同じ大学生や新入社員など個々のケースにふれながら、インターネットの使い方の実態を紹介していただきます。あわせて、事故を起こさないための、それは被害者にならないと同時に加害者にもならないことですが、そのための心構えをお話しいただきます。
 こういったことは一般にセキュリティの問題として議論されます。そこでは、インターネットの安全を確保するための法律や技術が必要とされ、いやそれだけでは駄目で、利用する人たちのモラルやマナー、そういったものを培う教育の大切さが言われますが、そのときに必ず取り上げられる言葉が「メディアリテラシー」です。
   
    ぼくは「メディアリテラシー」という言葉を聞くたびに、それは本来「サイバーリテラシー」というべきだと(笑)、ときには異議をさしはさんだりしてきました。「サイバーリテラシー」という考えは、まだ世間的には充分認識されていませんが、これからはインターネット上に成立したサイバー空間がもつ特徴をよく理解した上で、対策を考えていかなくてはいけません。
 まずパネリストご紹介します。
向かって左側から、尾花紀子さんです。元IBMにお勤めで、現在はIT&マーケティングコンサルタント、人材育成とかEビジネス、あるいは情報提供、危機管理などを提案する「ビジネス・コンシェルジェ」を名乗っておられます。ホテルで何かあるとすぐに来て世話をしてくれるコンシェルジェのIT版です。小学校6年生のお嬢さんと中学2年生の息子さんがおられます。
 次の高橋慈子さんはプロダクション「ハーティネス」の代表取締役でテクニカルライターです。パソコン通信の時代からネットワーク界のマドンナとして、知る人ぞ知る存在だったんですね。いまでも充分マドンナですが(笑)。マニュアルや書籍などの企画制作の仕事をなさっていて、大妻女子大学でも教えておられます。大学生の実態などについても報告していただく予定です。お子さんはまだ4歳で、小さいですね。
 以上のお二人は他の方とも共著で『子どもといっしょに安心インターネット』という3冊のシリーズ本を岩波書店からお出しになりました。これも車社会の比喩になっていますが、「なにが危険なの?」が赤、「どうトラブルを避けるの?」が黄、「なにができるの?」が青色の本になっています。
 3人目が新麗(あたらしれい)さん。プロバイダーのインターネットイニシアティブ(IIJ)技術研究所の主任研究員で工学博士です。プロバイダーとして、あるいは技術者として、スパム・迷惑メール、ウイルスというインターネットの厄介者にどう立ち向かっていくかをお話しいただく予定です。  それでは尾花さんからよろしくお願いします。


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