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2005年11月29日

白石昌則+学生『生協の白石さん』(講談社)

都内のある大学生協で、学生と職員がやりとりした「ひとことカード」をめぐるコミュニケーションの記録だが、生協職員「白石さん」の、いかにもほのぼのとした人がらと、ウエットに富んだ回答が学生の「質問意欲」を刺激し、単なる商品に対する要望を超えて、人生相談やら、落語の大喜利をも思わせるユーモアたっぷり、愛情たっぷりの対話へと発展した。

それをウエブで紹介したり、「がんばれ、生協の白石さん!」というブログを立ち上げたりする学生が出現、校内を飛び出したこのカード対話は、またたくまにネットばかりかテレビの話題にまで発展した。ついで本となり、ベストセラーになった。

ネットから本になる事例は、『電車男』などがすでにあり、もはやめずらしくもないが、この「ちょっといい話」がネットを通じてかくも広がったことは、マスメディアを通じて日々流される話題がいかにも殺伐としているだけに、ほのぼのとした感じを抱かせてくれる。

こういうところにも、メディア激変の一端を垣間見ることができる(ブログではすでに印税をめぐる論議が飛び交うなど、「生協の白石」さんをめぐる今後の進展には、いささか気になるところもあるけれど)。

投稿者: Naoaki Yano | 2005年11月29日 13:10

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