第24回

おとなもいっしょに考える
最終回

さとしくん
ゆかさん
しんごくん
ドクター・
クラッカー
サイバー博士
shingo
この連載の主人公
小学4年生
近くに住む
高校2年生
さとし君のおさななじみ
小学4年生
サイバー博士の宿敵
暗闇の支配者
サイバーランドから
やってくる謎の博士


デジタル空間を楽しく生きるための
ルールとふるまい方を学ぼう

 長らくみなさんに読んでいただいたケータイ質問箱も今回で最終回です。ケータイの仕組みや使い方について少しはわかりましたか。これからもお父さん、お母さん、先生たちとケータイについて話し合ってくださいね。

考える力でクラッカーをやっつけろ


さとし君の
誕生日に
せいぞろい


 きょうはさとし君の誕生日です。みきちゃんやおとなりのゆかさん、まいちゃん、しんご君となかよしがせいぞろい。
「さとし君も十歳ね」とゆかさん。
「そのわりに子どもだな」としんご君。
「きょうはおこらないもん」とさとし君もニコニコです。
 みんなで楽しくトランプをはじめたときです。どこからともなく黒いけむりが立ちのぼって、人の姿になりました。
「あっ、ドクター・クラッカー!!なぜ出てきたんだ!?」とさとし君。
「あれ、きょうはおこらないんだろう。誕生日をいわってやろうとおもってさ」

クラッカー
地球よ
さらば


「いったいだれなの」と、ゆかさんやまいちゃんもふるえています。
「こいつはね、ドクター・クラッカーといって、ケータイで悪いことばかりするやつなんだ」
「悪いやつはひどいな。きょうはみんなにプレゼントを持ってきたのに。ほら、まいちゃん。こんなきらきら光るケータイは見たことないだろう。あげるよ」
「いらない!!」とまいちゃん。
「しんご君、このケータイは何曲でも着メロがきけるよ」
「ぼくもいらない。お母さんと話して、中学生になるまで持つのはやめたんだ」としんご君。
「どうした、みんな。タダであげるというのに。ほら、みきちゃん、ゆかちゃん、このケータイはテレビ電話みたいだろう。さあ」
「いらないわ。ほしかったら、家の人と相談するもの」
「さとし君もほしかったんだろう。最新のケータイだよ」
「だれもおまえのいうことはきかないよ」とさとし君。
「どうしたんだ!! あっ、あっ、いかん。くそ。地球ともおさらばか」といったとたん、ドクター・クラッカーはパッと消えてしまいました。

サイバー博士とドクター・クラッカーは表と裏

 クラッカーもついにやられてしまったのう。ハッハッハ。
「あ、博士。なんですぐに出てきてくれないのさ」
 さとし君たちなら、もうだまされることはないと思っての。かげから見ていたんじゃよ。
「今度はだれ?」
「ふたりは知らなかったんだね。サイバー博士といって、サイバーランドの王様なんだ」
「えっ、おうさま?」
 サイバーランドの暗闇であるブラックサイバー帝国の支配者がクラッカーなんじゃよ。地球の子どもたちを支配しようとたくらんだのじゃが、まんまと失敗したの。君たちが自分で考える力、つまりサイバーリテラシーを身につけたので、はじきとばされてしまった。いまごろは自分の国でいかりくるっておるじゃろうよ。
「ジジイめ、おまえも同じ運命だろうが」
「声だけきこえたよ。同じ運命って?」
 うむ。まだ、そこらへんに意識がのこっているらしいの。
「博士。サイバーリテラシーってなんなの」
 わしの国ではもうだいぶ進んでおるが、これから地球でもケータイやインターネットをだれもが使うようになって、友だちとも会わずにお話ししたり、メールをしたりすることが多くなるじゃろう。そういうネットの世界をサイバースペースというんじゃが、その中でどうやって人とつきあうか、ルールやふるまい方もちゃんと考えなければならんの。それがサイバーリテラシーじゃ。
「ケータイの中でも友だちは友だちっていうことだよね。」
 そのとおりじゃ。サイバースペースでも人と人のつながりは同じなのじゃ。
「あれ、博士。なんだか体が透明になってきたよ」
 おお、そろそろ時間かの。実はわしとドクター・クラッカーは表と裏みたいなもので、あいつが消えるとわしも地球にはおれなくなるんじゃよ。
「えー、ちょっと待ってよ。まだ、いろいろと聞きたいことがあるよ」
 さとし君ならだいじょうぶじゃ。もう自分で考える力がある。さらばじゃ。みんな、元気でな。
「はかせー。博士も元気でね。ケータイで電話するよ」

サイバーリテラシーってなに?

 私たちがふだんみんなと顔を合わせながら生活している空間を「リアルスペース(現実空間)」といいます。これに対して、インターネットやケータイのように人と会うことなく会話をしたり、情報をやりとりできる空間を「サイバースペース(仮想空間)」といいます。
 これから私たちはこのサイバースペースにくらす時間がどんどん長くなるでしょう。でも、まだだれもサイバースペースでどのようにふるまって、どんなルールを作ればいいのかわかっていません。

 たとえば、赤信号を渡ったら危険、という当たり前のルールもサイバースペースでは決まっていないのです。これでは、いつ車が突っ込んできてもおかしくはないですね。ふと気がつくと大きなケガをしていることになるかもしれません。
 そこで、ケガをしないように、その前に赤信号を渡らないようにしようと考えることがサイバーリテラシーなのです。自分で勉強し、自分で考え、まわりの人たちと一緒に楽しく生きる方法を見つけ出していく。そんな知恵でもあるサイバーリテラシーをこれからも忘れないでくださいね。
(Y)

新聞掲載:2004年3月24日