第21回

おとなもいっしょに考える
保護者編

さとしくん
まいちゃん
しんごくん
お父さん
サイバー博士
shingo
この連載の主人公
小学4年生
さとし君の
クラスメート
さとし君のおさななじみ
小学4年生
さとし君の
お父さん
サイバーランドから
やってくる謎の博士


小学生にケータイはほんとうに必要か
親にとっても頭のいたい問題

 ケータイについてこれまで便利な点、危険な点を見てきました。そのケータイをお子さんに持たせるに当たって親御さん、先生方もいろいろな考え方をお持ちでしょう。今回から四回にわたってこの問題を考えてみましょう。

複雑に乱れる親心


禁止するより
早くなれた方が
いい!?


 きょうは小学校の父母参観日。お父さんやお母さんが学校に集まってきます。
 さとし君、まいちゃん、しんご君のお母さんたちもひさしぶりに会って、話がもりあがりました。
「まいが塾にいくときはケータイがあってよかったと思うわ。私も働いているでしょう」
「さとしが、まいちゃんのケータイを見るたびにほしがってしかたないわ」
「ケータイは本当に便利よ。しんごなんか二年生のときから持ってるわよ」
「ホント、二年生から持たせたの!?」とさとし君のお母さんもおどろきです。
「いくら親が禁止したってむりよ。それなら、なるべく早くからケータイになれさせた方がいいわ。つかい方もすぐおぼえるし」としんご君のお母さんは当然という顔つきです。

ケータイが
なぜ
必要なのか


 その晩、お母さんは昼間のことをお父さんに話しました。
「しんご君の家は二年生からケータイを持たせていてね、メールもインターネットもゲームもなんでも使いたいほうだいだそうよ」
「そりゃ、ひどい。中学になるまでさとしはぜったいにケータイ禁止だな」
「なんでしんごの家とぼくの家はちがうのさ!?」
「必要があるならケータイもいいと思うが、おまえになぜ必要なんだね」
「まいちゃんみたいに塾へいけば、ぼくも必要になるよ」
「まいちゃんのお母さんは働いているから必要なんだろう。うちとはちがう」
「でもね、あなた。さとしは遊びにとび出すと帰ってこないでしょう。連絡したいときもあるのよ」
「むかしの親は子どもの遊ぶ場所ぐらいちゃんとわかっていたもんだ。ケータイなんかいらん!!」
「でも不安だわ。このごろはつれさりなんかも多いし」

ケータイのいいところ、悪いところを学びましょう

「お父さんは頭が古いからな」
 さとし君、ケータイがほしいのもわかるが、一度、お父さんやお母さんの立場でケータイのことを考えてみたらどうじゃな。
「立場?」
 もし親として子どもにケータイを持たせるとき、なにが安心で、なにが不安と思うかな?
「きっと、ぼくがどこにいるかすぐわかるのが安心かな」
 そのとおり。最近は公衆電話がへっているので、子どもたちが家に電話しにくくなっているようじゃ。つれさりなどの事件も増えておるしの。その点、ケータイは便利じゃ。それにメールで家族と連絡し合ったり、いろいろなお話もできる。しんご君のお母さんのように早くから使い方やマナーになれてほしいという考え方もある。というのもケータイやパソコンは、これからどうしてもつきあっていかなくてはならない道具じゃからの。
「しんごはパソコンもくわしいよ。うらやましいな」
 だが、もちろん親が不安になる問題もあるんじゃ。
「不安は……おカネ!!」
 ケータイを使うにはいろいろなおカネがかかる。だから、決められた番号以外には電話がかけられないようにすることもできるんじゃよ。また決められた料金になると、それ以上、使えなくなるサービスもある。
「プリペイドもあったよね」
 そういう仕組みやサービスを知っておくことも必要じゃの。だがおカネよりも危険なのは友だちになりすました大人がよくないメールを送ってくることや、電話をしてくることじゃ。だから電話番号やメールのアドレスは知らない人におしえてはいかんのじゃ。それにケータイのマナーやルールを知らずにまわりの人にめいわくをかける心配もある。インターネットというのは、なにごとも自分で責任をとるのが原則の世界じゃから、そこへ子どもをむぞうさにほうりこむのは、あまり感心できないの。大人もしんちょうでなくてはいかん。

持たせる、機能を限定する、持たせない

 お子さんにケータイを持たせることについて、お母さんやお父さんはどのように思っているのでしょうか。小学校4年生のお子さんをもつ親御さんの意見をいくつか紹介します。
 お母さん「父親と兼用でケータイを使わせている。メールはしない。公衆電話が周辺にないので、緊急のときに連絡しやすいから便利」
 お母さん「子どもの希望というより親の安心のために持たせている。ただし友だちから面白半分に貸せといわれるので、登録してある電話番号以外にはかけられないように設定した。メールはこれから使わせてもいいとは思うが、インターネットをやらせるつもりはない。ケータイを禁止する親もいるが、マナーやルール、危険を教えればいいと思う。いくら親が禁止しても隠れて使うようになる」
 お母さん「ケータイがあるから子どもの安全が守れるとは限らない。みんなが持っているからではなく、本当にケータイの必要性を子ども自身が説明できるようになったら持たせてもいいと思う」
 お父さん「小学生にケータイを持たせる必要はない。ケータイを持たせて安心というのは親のエゴ。子どもを守る親の責任を捨てていると思う」
(Y)

新聞掲載:2004年2月11日