第17回

さとしくん
みきちゃん
お父さん
お母さん
サイバー博士
この連載の主人公
小学4年生
さとし君のお姉さん
中学1年生
さとし君の
お父さん
さとし君の
お母さん
サイバーランドから
やってくる謎の博士


「遠くの友だちとのメールでの
つきあい方をおしえてください」

 家族や身近なお友だちと毎日メールのやりとりをしている人もいると思います。でもメールは、遠くはなれたお友だちにも送ることもできます。じょうずに使えば、メールはもっとすばらしい道具になりますよ。

メールでつながる友だちの輪


なつかしい
友だちから
メールが届いた


 十二月になって、急に寒くなってきました。家族のみんなはこたつに入ってテレビを見ています。
 みきちゃんのケータイにメールが届いたようです。
「あ、メールだ。だれからかな?」
「みき、みんなといるときくらいメールはやめたらどうなの?」
「だって送られてくるんだからしかたがないじゃない」
「へりくつをいうもんじゃないぞ、お父さんが子どものころは……」
「あー、またはじまった。そんなことより、メール、メール」
 みきちゃんはちょっとあきれ顔です。
「わー、ちょっとこれ見て、見て!」
「なんなの、みき。さわがしいわね」
「涼子ちゃんからメールが来た!」

あたたかい国から
メールの
プレゼント


「涼子ちゃんって?」
「去年の夏に家族旅行で沖縄へ行ったときに仲よくなったあの子よ!」
「なんて書いてあるの?」
「『アルバムを見ていたら、みきちゃんのことを思い出しました』だって。ほら、写真も送ってくれたの」
「ああ、思い出した。そういえば、いっしょに海で遊んだりしたね。いいなぁ、沖縄はあたたかそうで。まだTシャツ着てるし」
「じゃあ、こっちはこたつで寒そうにしている写真を送ってあげようっと。ほら、さとし、モデルになってよ」
「えー、やだよ。はずかしいなぁ」
「ほらほら、さとし。さっさとしなさい!」
「まったくさわがしいやつだなぁ」
 お父さんもあきれてしまいました。
「ほら、こうやって写真をとってから保存して、あとは涼子ちゃんのメールに返信して写真をくっつければ、かんたん!!」

わかっている相手とのメールはなかなか楽しい

「沖縄からメールが来るなんてちょっと驚きだね」
 いつも近くにいる人とだけメールをしていると、そう感じるかもしれないね。じゃが、メールのよいところはどんなに遠くはなれていても届くことなんじゃ。海外からだって、すぐに届くんじゃよ。手紙なら何日間もかかるが、メールは、アッという間じゃ。
 涼子ちゃんのように旅先で会った人や転校してしまったお友だちとお話をするにはとても便利だね。
「遠くにいる涼子ちゃんがとても近くにいる感じがしたわ」
 そうじゃな。わしも地球にいるときにサイバーランドにいる仲間とれんらくしているとそう感じるな。
「いいなぁ。ぼくもやっぱりメールで友だちとお話ししたいな」
 その気持ちはわからんでもない。でも、その前にちゃんと知っておかなければならないことがあるぞ。
 涼子ちゃんとは一度会ってどんな子か知っているから、メールをもらっても、送ってもどちらとも楽しいね。でも、いきなり会ったこともない知らない人とメル友になるのは考えものじゃ。
「ドクター・クラッカーが、こっそりとだれかになりすましているかもしれないね!!」
 うむ。何度もいったように、知らない人にメールアドレスなどの個人情報を教えたり、ひとりで会いに行ったりしては絶対にいけないよ。
 小学生と思っていても本当は大人で、子どもにいたずらをしようと考えている悪いやつもいるのじゃ。
 だから、ちゃんとわかっている相手とメールをすることじゃ。そして、どんなに親しい友だちでも、メールを書くときには相手を思いやる気持ちが大切じゃよ。
 前も話したように、相手が何をやっているのか、どこにいるのかもわからないのに、すぐ返事をしてほしいなどと思ってはいかん。それにケンカするようなメールの書き方もいかんよ。相手を大切にすることがだいじじゃ。

メールを通じて学んだもの

 遠くにいる友だちとメールを使って、じょうずなつき合い方をしているお友だちがいる。
 熊本県山鹿市の矢野雄大君にはメル友のY君がいて、野球やゲームの話で何度もメールのやりとりをしていた。ある日、Y君が何千万人に1人という重い病気にかかっていることを彼から告白された。Y君の病気のことを知ると、メル友をやめてしまう人もいるんだけど、矢野君はその後もメル友を続けたんだ。Y君が体調を悪くしてメールが送れないときには、はげましの手紙を送ったらY君はとても喜んだそうだよ。
 その後、Y君から退院を知らせるメールが来て、矢野君が喜んだのもつかのま、Y君はその日になくなってしまった。
 Y君は矢野君とのメールのやりとりでどんなつらい病気でもはげまされ、矢野君はこの体験から、一生懸命生きることの大切さを知り、人の痛みがわかるようでありたいと思ったそうだよ。
 矢野君の作文「忘れられない人」は全国中学生人権作文コンテストで法務事務次官賞を受賞して、インターネットでも読むことができるよ(
)。ぜひ読んでみてね。
(M)
 現在はインターネット上にはありません。

新聞掲載:2003年12月10日