第15回

さとしくん
みきちゃん
しんごくん
ドクター・
クラッカー
サイバー博士
shingo
この連載の主人公
小学4年生
さとし君のお姉さん
中学1年生
さとし君のおさななじみ
小学4年生
サイバー博士の宿敵
暗闇の支配者
サイバーランドから
やってくる謎の博士


「いろいろなメロディーや歌を
聞けるのはどうしてですか?」

 ケータイの着信音に自分のすきなメロディーを使っている人も多いと思います。最近では、歌入りの曲まで聞けるようになりました。でも、どうしてケータイでいろいろな曲をならしたりできるのでしょう?

楽しい着メロもほどほどに


ケータイから
アイドルの
声が


 きょうはひさしぶりにようちえんからのおさななじみ、しんご君の家へ遊びに行くことにしたさとし君。しんご君の家ではテレビゲームをすることが多く、いつも帰るのがおそくなります。
「おじゃましまーす」
「気にしなくていいよ。いまの時間はいつも、家族はだれもいないから。それより、はやくゲームをやろうぜ」
「うん」
 ひとしきりゲームで遊んでいると、とつぜんケータイがなりだし、まるでCDのようにきれいな音でアイドル歌手の歌とメロディーが流れてきました。
「いま、しんごのケータイから音楽が聞こえたけど」
「おれのケータイは最新だからね。それにカメラやゲームだってついているんだ」
「うわー、すごいね。ちょっとぼくにも見せてよ」
 さとし君はケータイを見せてもらうことにしました。

新しい音楽を
かんたんに
買えるけれど…


「どうやって、さっきの音楽を聞くの?」
「ここをこうやってこうすると、ほら」
「わー、すごいなぁ。みきねぇのケータイとはちがうよ」
「へへ、すごいだろ。ただの『着メロ』じゃなくて、歌まで聞ける最新のケータイだからな」
「ほかの曲はないの?」
「新しいのをかんたんにダウンロードできるよ」
「なに?ダウンロードって」
「ケータイからその場で曲を買えるっていうことだよ」
「あ、これぼくが大すきなやつだ」
 ふたりはメロディーにあわせて歌いだしました。
「しんご! うるさいぞ!」
 となりの部屋からとつぜん大きな声が聞こえてきました。
「いけねぇ、あにきがいたのか」

「着メロ」はしくみとマナーを知ってから

 しんご君のお兄さんにしかられたようじゃな。
「ちょっと調子にのりすぎちゃった。でも、しんごのケータイはなんであんな音楽を聞けるの?」
 「着メロ」というのはケータイの受信を知らせる曲、「着信メロディー」の略じゃ。しんご君のケータイのように着メロだけでなく歌詞まで聞けるようになったのはさいきんのことで、いまでは六十四種類もの曲を出せる。音が出るところをスピーカーというのじゃが、それもどんどん新しくなっており、それだけきれいな音が出るようになったわけじゃ。
「だからしんごのはみきねぇのよりもすごいんだね」
 しんご君のケータイとみきちゃんのでは音をならすしくみがちょっとちがう。メロディーのデータをダウンロードするのはいっしょじゃが、そのデータがいろいろあっての。みきちゃんのデータにはメロディーの楽譜だけが入っていて、それをケータイが演奏している。しんご君のほうは、データにすでに演奏した音が入っていて、それを再生しているのじゃ。しかし、しんご君はちょっと心配じゃの。
「なんで?」
 しんご君のダウンロードした曲は音がきれいな分、たくさんのデータが入っている。つまり、それだけ料金がかかるわけじゃ。通信料をふくめると一曲で一〇〇〜二〇〇円にもなるじゃろうな。
「しんごは、ケータイ料金は親がはらってるっていってたよ」
 うーむ。それならなおさらじゃ。もしかしたら、あいつがかかわっているのかもしれん。おカネを気軽に使うようにあいつがしむけているとしたらこまったものじゃ。
「むだづかいはいけないよね」
 それと、もうひとつ。着信メロディーを楽しむのはいいけれど、むやみやたらと大きな音でならしてはいかんぞ。電車や静かな場所ではちゃんと「マナーモード」にして、メロディーや歌を流さないようにしておくことを忘れてはいけないよ。

着メロは今も昔も大人気

 お気に入りの歌を着信メロディーにしている人も多いと思うけれど、着メロは昔からとても人気だったんだ。着メロがインターネットを通してダウンロードできるようになったのは1999年で、それ以前は自分で着メロをつくるための本がよく売れた。
 みんながどんな着メロを使っているかというと、「流行歌のメロディーなどをダウンロードしたもの」が88.7%で、「買ったときのまま」は1%しかいない。利用者の年代でも20代から60代まで85%以上がダウンロードしたものを使っているんだ(
)。
 有料情報サービスで着メロをダウンロードしている人は60%もいて、サービスの中で最もよく利用されている。着メロの2002年の売上は852億円、今年は1085億円ともいわれている。音楽CDの売上が約4500億円だから、かなりの人気ということになる。
 近い将来には、1曲そのままをダウンロードということにもなるかもしれない。そうなれば、ケータイで音楽を聞くことが当たり前になるかもしれないね。
(M)
『インターネット白書2003』
(Access Media/impress, 2003)

新聞掲載:2003年11月12日