第12回

さとしくん
まいちゃん
みきちゃん
ドクター・
クラッカー
サイバー博士
この連載の主人公
小学4年生
さとし君の
クラスメート
さとし君のお姉さん
中学1年生
サイバー博士の宿敵
暗闇の支配者
サイバーランドから
やってくる謎の博士


サイバー博士のライバル
ドクター・クラッカー現れる!!

 メル友からの誘いでアルバイトに行こうとしてサイバー博士にひどくしかられてしまったみきちゃんですが、アルバイトに誘ったメル友はじつは博士のライバルであるブラックサイバー帝国の支配者だったのです…。

ケータイと個人情報のあやうい関係


しつこい
バイトの誘いに
うんざり


 博士にしかられて、メル友の誘いをことわったみきちゃんですが、その後、そのメル友がいじわるな正体をあらわしたようです。
「またアルバイトの誘いだわ。もういやになっちゃう」
 みきちゃんはケータイをほうりなげてしまいました。
「みきねぇ、行っちゃだめだよ!!」
「わかってるわよ。あれからあまり連絡をとらないようにしていたんだけど、しつこく送ってくるからちょっとこわくなってきたわ」
「それなら相手にもう送らないでっていえばいいじゃん」
「うーん、でもそれも気が引けるし、本当はやさしくていい人だと思うの」
「みきちゃん、アルバイトにおいでよ…。友だちもみんなやってるよ…」
「さとし、いま何かいった?」
「みきねぇ、後ろ見て!ケータイから変なのが出てきたよ!!」

暗闇の世界の
支配者が
やってきた!!


「みきちゃん、最近あまり返事をくれないからむかえにきたんだよ…」
「キャー!!。あなた誰なの!!こっちこないで!!」
「サイバー博士ー!!助けてー!!」
 さとしくんがさけびました。
「おぬし、ついに地球にまでやってきおったか!!」
「なんだ、サイバーランドのジジイではないか。日本の子どもはよけいなサイバーリテラシーを身につけていないから、やりやすいわ。よけいなてだしをするな!!」
「そうはさせぬぞ。これでもくらえ、おまえのにがてなワクチンビームじゃ!!」
「クソッ、きょうのところはひとまずひきあげてやるが、せいぜい気をつけることだな。ハッハッハ」
「あやつめ、やはり地球にもきておったか。これから大変なことになりそうじゃわい」

ケータイで支配するブラックサイバー帝国

「博士!!さっきのはいったいなに?」
 うむ。あれはワシの国、サイバーランドの暗闇を支配するブラックサイバー帝国の支配者、ドクター・クラッカーじゃ。
「それってどういうこと??」
 ブラックサイバー帝国では国民全員がケータイを持たされておるのじゃが、だれとどんな話をしたのか、だれにメールを送ったのかが記録されて、ドクター・クラッカーの悪口をいったものはすぐに逮捕されてしまうんじゃ。
「とんでもないやつだね。あと、サイバーランドっていうのは?」
 今まで秘密にしておったが、ワシはサイバーランドという国の王さまなのじゃ。最近、ドクター・クラッカーが帝国のシステムを持ち込んで地球の子どもたちを支配しようとするうわさがあっての。そこでワシが先回りをしておったというわけじゃ。
「そういうことだったのね。でもどうやってドクター・クラッカーは私のところへやってきたのかしら?」
 おそらくメールアドレスに隠れてやってきたんじゃろう。みきちゃんのメールアドレスは世界に一つしかない特別なものじゃ。だから、みきちゃんのアドレスに送ったメールはみきちゃんにしか届かないことになるね。
 ケータイの番号も同じことだ。この仕組みを使えば、メールアドレスや電話番号からその持ち主がだれなのかを知ることもできるわけじゃ。ブラックサイバー帝国は国民を管理するためにこれを利用しているというわけじゃよ。
「なんだかこわいわね」
 日本では、会話やメールの内容を知られることは、ふつうにはないからいまのところ心配は無用じゃ。しかし、ケータイには持ち主のメールアドレスや電話番号、やりとりしたメールの文章など個人情報がたくさん入っている。会話やメールをするのは、こうした個人情報を他の人に教えるということでもあるんじゃ。
 たとえば、会ったこともない知らない人に教えると、さっきみたいにこわい目にあうこともある。だから、メールアドレスや電話番号というのはとても大事なものということを忘れないでほしいんじゃ。

メールアドレスはかんたんには教えない

 何通もの迷惑メールが届いたことがある人はいると思うけど、それには2つの理由がある。1つ目はコンピュータがでたらめに作った何億通りものメールアドレスにみんなのアドレスが当てはまってしまった場合。2つ目は自分でメールアドレスを教えてしまった場合だ。
 迷惑メールを送った人に対して、今後そうしたメールを送って欲しくないと返事を出せば、それ以上メールが送られてこないと思うかもしれないけれど、じつは返信することは、みんなのメールアドレスを相手に確認させていることにもなるんだ。
 これをもとにして迷惑メールを送るためのリストがつくられて、それが出回っているそうだよ。
 メールアドレスを他人に教えなければメールのやりとりはできない。でもメールアドレスはみんな一人ひとりが特別に持っている個人情報だ。水を飲むときだけ蛇口をひねるように、個人情報という蛇口の開け閉めもうまくやる必要がある。迷惑メールを防止する設定をしたり(6回目のコラムをみてね)、知らない人にメールアドレスをかんたんに教えないことが大切だよ。
(M)

新聞掲載:2003年9月24日