第9回

さとしくん
みきちゃん
ゆかさん
しんごくん
サイバー博士
shingo
この連載の主人公
小学4年生
さとし君のお姉さん
中学1年生
近くに住む
高校2年生
さとし君のおさななじみ
小学4年生
サイバーランドから
やってくる謎の博士


「写真をとったり送ったり
できるのはなぜですか?」

 カメラがついているケータイが人気になっています。本当に便利なんでしょうか。どのように使われているのでしょうか。そして、どうしてケータイで写真を送ることができるのか知っていますか。サイバー博士に聞いてみましょう。

ケータイとデジカメが合体


ケータイに
写真が
送られてきた


 友だちと遊んだ帰り道、さとし君はケータイを見ながら歩いているおとなりのゆかさんと出会いました。
「ゆかねえさん、こんばんは。歩きながらメールするとあぶないよ」
「あら、さとし君。こんばんは。またおこられちゃったわね」
「ゆかねえさんはメールが好きなんだね。さっき何かとてもうれしそうだったよ」
「ちょうどお友だちからメールが来たの。ほら、さとし君見る?」
「あれ、これってメールなの? 文字じゃなくて男の人がうつっているけど」
「これはカメラつきケータイっていうの。お友だちのケータイにはカメラがついているから、写真をとって送ってくれたのよ」
「へぇー、カメラじゃなくてケータイでとって、そのまま送れるの?」
 さとし君は少しおどろいたようです。

メールが
もっと
楽しくなる


 家に着いたさとし君は、みきちゃんに聞いてみました。
「みきねぇのケータイでも写真とれるの?」
「もちろんよ。毎日とってるわ。ほら、さとし。ポーズ!」 と、みきちゃんはさとし君にケータイを向けました。
「それよりもちょっとぼくにもとらせてよ。どうすればいいの?」
「ここにある丸いのがレンズよ」
「わー、画面にみきねえがうつってる。すごいなあ。でも、毎日なにをとっているの?」
「そうね、自分の顔とか友だち、きれいな景色とかもね。文字だけのメールよりも楽しいでしょ」
「でも、どうしてケータイで写真が送れるのかな?」
「それはメールと同じでしょ」
「でも文字と写真はちがうでしょう?」
「うーん」
 みきちゃんも困ってしまいました。

文字も写真も同じデジタルデータとして送られる

 メールが送られるしくみはこの前、話したね。
「メールを小さな"小包み"にわけて送るというのはおぼえているよ」
 ケータイで写真を送るときも、基本的にはそれと同じことなんじゃ。見た目はちがうけれど、文字も写真もデジタルデータだからなんだね。デジタルというのは0と1という数字の組み合わせのことなんじゃが、それが姿を変えて、さとし君たちの目には文字や写真に見えるようになっているんじゃ。
「文字と写真でちがうところはあるの?」
 一番大きなちがいはデータの量じゃね。文字にくらべて、写真はたくさんのデータが必要なんじゃ。だから、写真をメールで送る時には多くの"小包み"が必要になる。それだけ料金もたくさんかかるんじゃ(くわしくはコラムを見てね)。
「楽しくてたくさん写真を送っていたら、電話代がふえちゃってお父さんにおこられたわ」
 文字と写真はじょうずに使いわけないといかん。料金のことはもちろんじゃが、相手に何をメールで伝えたいのかをよく考えてみることも必要じゃ。たとえば、文字で「うれしい」と送るよりも、笑顔の写真を送ったほうが相手にはうれしいという気持ちが伝わることもある。逆にかんたんな連絡の場合には文字だけ送ればいいんじゃね。
「カメラつきケータイが役に立ったようなことはあるの?」
 悪いことをしている人をカメラでとって警察に知らせた人がいるそうじゃ。仕事をしている人が、はじめて会った人の顔をとって、名刺といっしょに整理する、なんていう使い方もあるようじゃな。
「カメラつきケータイってすごいね!」
 たしかにいろいろと便利じゃが、やはり守らなければならないマナーもあるんじゃ。たとえば、なんのことわりもなく、急に写真をとられたら、みきちゃんはいやじゃろ。
「そりゃ、そうよ」
 ところが、そんな失礼なことを平気でするおとなもいるんじゃ。いくらケータイでもカメラはカメラじゃから、写真をとりたければちゃんと相手にことわらなければいかんよ。
「お友だちにも伝えておくわ」

2600万人が写真に思いをよせて送っている

 ケータイにカメラがはじめてついたのは1999年のことで、2001年に携帯電話会社のJーフォンが「写メール」と名づけて販売し、大人気になったんだ。今では約2600万人がカメラつきケータイを使っている。最新のものでは、デジタルカメラと同じくらいきれいな写真や、ビデオのような映像もとることができるんだ。
 カメラつきケータイでなにをとっているかというと、「人間の顔」が一番多いそうだよ(
※1)。慶応義塾大学の武山正直先生によれば、みんなが自分の顔を写すのは、その時の気持ちやどんなことが起こったかを友だちに伝えようとしているからなんだって。
 注意しないといけないこともある。文字だけのメールの場合、1通当たり約3円なんだけど、写真付きメールだと15円から30円かかる。映像やきれいな写真を送ると、200円以上もかかってしまうこともあるんだ。
 それに、必要のないものまでなんでもかんでも写真にして送るのは電波をむだづかいすることになるから、気をつけなければいけないよ。ほかにも注意することはあるのだけれど、それは次回お話しすることにするね。
(M)
※1 インフォプラント調べ インターネット利用者300人対象 2002年7月実施

新聞掲載:2003年8月13日