第7回

さとしくん
ゆかさん
あきら君
サイバー博士
この連載の主人公
小学4年生
近くに住む
高校2年生
お隣に住む
大学3年生

サイバーランドから
やってくる謎の博士


「電話をするときには
どんなマナーがありますか」

 歩きながらケータイをしている人をよく見かけるね。でも使うときにはちゃんとマナーがあることを知っているかな? マナーを守らないと、まわりの人のめいわくになるだけでなくて、ケガをする危険もあるんだよ。

歩きながらのケータイは危険


歩きながらの
ケータイは
危険がいっぱい


 さとし君は朝からウキウキです。なぜって、きょうはおとなりに住む高校二年生のゆかさんと、そのお兄さんで大学三年生になるあきら君が、さとし君を映画につれていってくれるからです。
「あっ、ゆかねえさんだ。いまいくよ」
「やあ、さとし君。ひさしぶり」
「あきらにいさん、こんにちは」
 三人がそろって歩き始めたとき、前を歩いていた人が急に立ちどまりました。
「あっ、あぶない」
 さとし君はなんとかよけることができましたが、ふり返ってみると、どうやらケータイがかかってきたようでした。
「歩きながら、電話するな、っての」
 と、あきら君もおこっています。

映画館の
着メロが
楽しみをぶちこわし


 横断歩道をわたろうとしたときです。こんどはゆかさんのケータイがなり始めました。
 ゆかさんはついつい横断歩道のとちゅうでとまって、ケータイをごそごそとさがし出しました。
「あぶないよ。信号がかわるよ」
 さとし君が大きな声を出すとどうじに、車のクラクションがすごいいきおいでなりました。
「ごめんなさい」
 電車に乗っても、あちこちで着メロの音がなっています。自分のケータイときづかないのか、いつまでたってもなりっぱなしの着メロもあります。さとし君は気になります。
「うるさいな。どうして切らないんだろう」とさとし君。
「それはね、着メロを人に聞かせたいからさ」とあきら君は答えました。
 やっと、映画館に着いて、たのしみにしていた映画が始まろうとしたそのときです。聞いたこともないようなにぎやかな着メロがなり出しました。
 まわりの人たちのこわい目があきら君に集中しました。
「いけね、オレだ」

人にめいわくをかけないことがマナーの基本

 楽しみにしていた映画もさんざんじゃったの。
「いやになっちゃう。ケータイなんかなくなった方がいいよ」
 おやおや、急にケータイぎらいになったな。ようするにケータイを使うときにはマナーが大切だということじゃ。
「どんなマナー?」
 マナーの基本は他の人にめいわくをかけないということじゃよ。人が歩いているのに急にとまったり、道路や駅のまんなかで電話したりしていたらじゃまになるじゃろ。
「それじゃ、映画館でケータイは最悪だよ」
 そうじゃな。劇場、美術館、博物館、レストランなどの静かな場所ではかならずマナーモードにするか、電源を切ること。もちろん学校でも電源は切っておくべきじゃよ。
「なに、マナーモードって」
 着メロがなるかわりにケータイがぶるぶるとふるえて、電話がかかってきたことをおしえてくれるんじゃ。
「それじゃ、電車なんかもマナーモードだね」
 電車やバスに乗るときには電源を切る習慣をつけたほうがいい。とくに混雑しているときはそうじゃ。まわりの人のめいわくにならないためじゃが、前にも話したように、ケータイからは電磁波が出ているから、健康上の理由からも、電源を切っておいたほうがいいじゃろうな。
「新幹線も?」
 新幹線は、デッキといって車両と車両の間の通路があるじゃろ、そこまで移動してから電話するのがマナーじゃよ。そうそう、みきちゃんもおこられたが、病院や飛行機の中などケータイの電源を切らないといけない場所もある。
「飛行機も!?」
 やはり電磁波が飛行機の機械に危険な影響をあたえるんじゃよ。危険といえば、車道や踏切でケータイをしているとき、はねられて死んでしまった人もいるんじゃよ。
「あぶないね」
 人は電話をしているとき、ほかの音が聞こえなくなったり、目の前のことでも目に入らなくなったりするから、とても危険なんじゃ。ましてや自転車や自動車を運転しながらケータイをするのは命にかかわるような事故につながるから、大人でもぜったいにやめるべきじゃ。車を運転しながらのケータイ利用は道路交通法でも禁止されているんじゃよ。

小学生がつくった「ケータイマニュアル」

 愛知県にある山名小学校(丹羽郡扶桑町)では、総合学習の時間を使ってケータイについて、いろいろな勉強をしている。その成果が「ケータイマニュアル」だ。
 このマニュアルは5年生のクラスの、みんなが話し合って、2001年度の授業のなかでつくりあげたものなんだよ。
 マニュアルには「マナーを守ろう」「トラブルに巻き込まれないために」「ケータイ企業の人へ山名っ子から提案」などのテーマがある。マナーについてはこんな内容だ。
  • 映画館や病院、電車の中などでは、ケータイの電源を切りましょう。
  • たくさんの人がいるところ、静かにしなければならないところでのケータイの使用に気をつけましょう。
  • ケータイを使いながらの自動車や自転車の運転はやめましょう。
  • 歩きながら、ケータイを使うのはやめましょう。
  • ケータイに夢中になって、目の前の人とのコミュニケーションを、わすれていませんか?
 このほかケータイ会社への提案として「CMなどで、ケータイの危険な面も知らせてください」といった意見もまとめられている。
 みんなの学校でも山名小学校をお手本にして話し合ってみたらどうだろう。

 山名小学校のホームページ:http://www.yana.fuso.ed.jp/
(Y)

新聞掲載:2003年7月9日