第3回

さとしくん
まいちゃん
みきちゃん
お母さん
サイバー博士
この連載の主人公
小学4年生
さとし君の
クラスメート
さとし君のお姉さん
中学1年生
さとし君の
お母さん
サイバーランドから
やってくる謎の博士


「ケータイでメールを送ることが
できるのはなぜですか?」

 みなさんはケータイで声だけでなく文字も送ることができるのを知っていますか? 電子メールといいます。さとし君は友だちのまいちゃんがケータイから文字を送っているのを見てびっくり。いったいどんなしかけになっているのでしょう。

メールは小包みのように
小さくわけて送られる


ケータイは
声だけでなく
文字も送ることができる


 公園にあそびにいったさとし君。ベンチにすわって熱心にケータイを見つめているまいちゃんをみつけました。
「まいちゃん、なにやっているの」
「あっ、さとし君。いまお友だちからきたメールを見てるの」
「メール?」
「知らないの。ケータイで送る手紙のことよ」
「ケータイで手紙が送れるの!?」
「ほら」
 まいちゃんのケータイを見てびっくり。文字がびっしり書いてあります。
「ケータイは電話だけじゃないんだ。なぜ文字が送れるんだろう?」
 さとし君は不思議でなりません。

メールの返事は
二〇分以内に
送る


 家に帰ると、いつものようにお姉さんのみきちゃんがケータイを持ちながら、おやつを食べています。でも、ひっきりなしに着信の音がして、そのたびにみきちゃんはケータイをのぞき込んでは、なにやら指で打っています。
「みきねぇもメールやってんだ。いったいなにを指でおしてるの?」とさとし君。
「メール書いてんのよ」
「ケータイで字が書けるんだ」
「ほら、数字のボタンに文字も書いてあるでしょう。ここをおして書くのよ」
 横で見ていたお母さんがちょっとあきれて、いいました。
「みき、そんなにちょこまかとメールをやりとりするのは、いいかげんにしたらどうなの」
「だって〜、かめレスできないでしょ」
「かめ?レス?」
「そう、かめのようにおそい返事(レス)をしたら、みんなおこるもん」
「それじゃ、どのくらいで返事してるの」とお母さん。
「二〇分以内が限度ね」とみきちゃんは当たり前の顔をしていますが、さとし君もお母さんもちょっと驚いたようです。

音も文字もいったん数字に変換されて世界中に送られる

 ケータイで文字も送れることを知っておどろいたかな?
「文字も声と同じように電波で飛んでいくのかな」
 基本的には同じじゃが、電子メールは相手の人がケータイを持っていなくてもとどくんじゃよ。
「えー、どうして?どこにとどくの」
 さとし君の家にもパソコンがあるじゃろう。メールはケータイからパソコンにとどけられるし、そのぎゃくで、パソコンからケータイへメールを送ることもできる。
「まるで、博士みたいだね」
シーッ!! わしの正体は、まだ、さとし君しか知らないのじゃから、ほかの人に話しちゃダメじゃよ。
「ゴメン、ゴメン。約束だったものね」
 それはそうと、ケータイでなぜ文字を送れるのかを説明しよう。ケータイのサービスが始まったころは、アナログ方式といって、声をそのまま電波にして送っていたので、文字は送ることができなかった。声や文字をいったん数字に変えて送るデジタル方式になって、メールを送れるようになったんじゃ。
 一九九九年にケータイがインターネットとむすびついてから、どのケータイにも、パソコンにも、メールを送れるようになった。NTTドコモの「iモード」が最初じゃったが、いまではどのケータイも同じサービスをしている。
「インターネットって?」
 世界中に広がる通信ネットワークのことじゃ。そのおかげで、ケータイで天気予報やニュースなどいろいろな情報を見たり、ショッピングをしたりできるようになったわけじゃ。
 しかも世界中の人とメールのやりとりができる。さとし君の友だちがお父さんの転勤にあわせてニューヨークに行ったとしても、その友だちがパソコンを持っていれば、メールのやりとりができる。
 インターネットにつなぐときには“パケット通信”という方法でデータを送る。これは、データを小さく小包のようにわけて、それぞれにあて名をつけてバラバラに送り、相手にとどいた段階でもとのかたちにもどす仕組みじゃ。こうすると、通信回線を有効に利用できるので、普通のメールなら二円以下ですむんじゃ。

女の子はメールがお好き?

 小学生たちはケータイのメールをどう考えているのかな。こんな調査があるよ。
 すでにケータイを持っている小学生に、ケータイを使う目的について聞いたら「友だちとのメール」と答えた男の子が8%、女の子が19%にもなった。また「家族とのメール」は男の子8%、女の子6%となった。
 まだケータイを持っていないという場合、友だちとのメールを利用したいと思っている男の子は29%、女の子では48%にもなるんだ。友だちと「通話したい」男の子が20%、女の子が22%だから、電話よりもメールをしたいと思っている小学生の方が多いんだ(
※1)。女の子は男の子よりもメールが好きみたいだね。
 でも「『送るのを止めると不幸になる』といったチェーンメール」を受けとるのも、女の子(60%)のほうが男の子(49%)よりもずっと多いんだ(
※2)。メールをたくさん利用するほど、いやな思いをすることも多くなるともいえるようだね。次回は、そうした迷惑メールがどのくらいみんなに送られているかについて説明するね。

(M)
※1 全国SLA調査部調べ 全国の小中高121校、うち小学生(4・5・6年生)3814人 2001年6月
※2 ベネッセコーポレーション 東京・千葉・埼玉の公立中学校の生徒2001名 2001年10月〜12月

新聞掲載:2003年5月14日