第1回

さとしくん
まいちゃん
お父さん
お母さん
サイバー博士
この連載の主人公
小学4年生
さとし君の
クラスメート
さとし君の
お父さん
さとし君の
お母さん
サイバーランドから
やってくる謎の博士


「ケータイを持つのはまだ早いと親に
いわれたけど、どうしてですか?」

 携帯電話やPHSのようなケータイを持つ小学生がふえてきました。みんなのまわりにもきっといるでしょう。たしかにケータイはいつでもどこでもだれとでも話せる便利な道具ですが、使い方をよくわかっていないと、いろいろな人たちに迷惑をかけることもあります。それじゃ、ケータイってどういうものなのか。みんなでいっしょに考えてみましょう。
 主人公は東京の小学校四年生、山田さとし君。やさしいお母さん、おこるとこわいお父さん、そして中学一年生のお姉さんといっしょにくらしています。ケータイや通信のことにくわしいサイバー博士が先生役です。サイバー博士ってどんな人ですか、って? そのうちわかってくるでしょう。

ケータイ・天国と地獄
請求書
基本料金 4000円 (無料通話分500円)
通話料 1分30円
1時間 5,300円
5時間 12,500円
小中学生のケータイ料金はほとんど親が払っているが、浜松市教育委員会が2001年10月に実施した調査では、中学校1年生で月3000円から1万円が約47%を占めている。1万円以上が7%、中には10万円を超える例もあった。


ケータイって
便利で
カッコいい


 なかよしの女の子、まいちゃんがケータイでいろいろな人に電話しているのを見るたびにうらやましくてしょうがないさとし君。
「ボクもほしいな。急にお母さんに連絡したいことがあっても、すぐ伝えられるよ」
 お母さんと買い物に行くとちゅう、おもいきって話してみました。
「何いってんの。ケータイなんて、つい最近までだれもつかっていなかったのよ。話したいことがあれば、うちまで帰ってくればいいでしょう」
 偶然、まいちゃんとお母さんが向こうからやってきました。
「そんなことないわよ。私が働いているから、まいにケータイを持たせているんだけど、いつでも連絡できて便利よ」
「そうかしらねぇ」

小学4年生
では
まだ早すぎる


 その日の晩ご飯のとき、さとし君の家ではケータイが話題になりました。
「小学四年生にケータイなんかいらないよ。鈴木さんちは奥さんが働いているからで、うちには関係ないね」
 と、お父さんは問題外といったようす。さとし君は不満です。
「みきねぇは持っているのに、何でボクはダメなのさ」
「みきは中学生になったからケータイを持つのを許したんだよ。さとしにはまだ早い」
「なんで中学一年でよくて、小学四年で早いのさ」
「電話代がいくらになると思うんだ」
「長電話しなければいいんでしょう。うちの電話みたいに一時間もかけないからさ」
「だいたい、何でも会わずにすまそうという考え方がいかん。お父さんの時代なんか、友だちに話したいことがあったら家まで行くのがあたりまえだった」
「時代が違うよ。お父さんは『だいたい』が多いから、いやになるよ。ねぇ、いいでしょう」
「ダメっていったら、ダメ!!」

ケータイの電話料金は家の電話の十倍以上

 さとし君はどうしてそんなにケータイがほしいのかな。
「だって、すぐにだれにでも電話で話せるでしょう。便利じゃない」
 それじゃ、いままでケータイがなくてこまったことはどれほどあるかな。
「うーん、そんなにこまったというのはなかったかも」
 家にある電話は動かせないから、固定電話というんだが、家の電話を使っていて不便だと思ったことはあるかな。
「ベッドに入ってずっと電話していると、お母さんがおこる」
 なるほど、ケータイなら専用だから、ずっと電話していてもだれもおこらないね。でも電話をするとおカネがかかるのを知っているかい。
「三分話しても八円ぐらいでしょう。三十分でも八十円。やすいよ」
 それは固定電話の料金じゃよ。じつはね、ケータイだと平均的には三分で九十円から百二十円ぐらいかかる。そうすると、三十分話したらいくらかかる?千円ぐらいになっちゃうね。
「えっー!? そんなかかるの」
 しかも、固定電話からケータイに電話しても三分で八十円ぐらいかかる。友だちに『ケータイに電話してね』というだけで、その友だちの家では高いおカネを払わなければいかん。
「知らなかったな」
 電話は遠くの人とすぐ話せるすばらしい道具だけど、何でも電話ですませるのではなくて、じっさいに会うということも大切なんじゃよ。
「それ、どういうこと?」
 たとえば、さとし君になにかこまったことがあって元気がないとすると、電話ではあいてにそのことが伝わらないかもしれない。でも会うと、友だちならすぐにわかるだろう。それが大切なんじゃよ。
「電話より会う方がいろいろわかるんだ。でも、やっぱりケータイがほしいな」

小学生の70%が「ケータイ欲しい」

 おとなの日本人ではいまや2人に1人が携帯電話を持っているけれど、きみたち小学生の場合はどうなっているのかな。小学館の調査(※1)から、こんなようすがわかった。
「自分専用の携帯電話をもっている」と答えた小学生は5%だけで、ほとんどの小学生は携帯電話をもっていない。ただ東京を中心にした地域で見ると、小学生の男の子が16%、女の子が約23%(
※2)にもなる。女の子の方が携帯電話を持っているんだね。自分専用の携帯電話を持っていない小学生にも聞いたら、「ぜったいにほしい」が33%、「どちらかというとほしい」が43%で、あわせると70%以上の小学生が携帯電話をほしいと思っているみたいだね。
 ところでケータイには、携帯電話とPHSの2種類があるんだけれど、その区別は次回に説明するね。

(M)
※1 小学館調べ 全国 有効回答1175 調査時期2002年6月〜10月
※2 NTTドコモ調べ 首都圏30キロ以内 有効回答600
   調査時期2000年12月〜2001年1月

新聞掲載:2003年4月9日