さとしくん
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まいちゃん
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お父さん
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お母さん
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サイバー博士
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この連載の主人公
小学4年生 |
さとし君の
クラスメート |
さとし君の
お父さん |
さとし君の
お母さん |
サイバーランドから
やってくる謎の博士 |
「ケータイを持つのはまだ早いと親に
いわれたけど、どうしてですか?」 |
携帯電話やPHSのようなケータイを持つ小学生がふえてきました。みんなのまわりにもきっといるでしょう。たしかにケータイはいつでもどこでもだれとでも話せる便利な道具ですが、使い方をよくわかっていないと、いろいろな人たちに迷惑をかけることもあります。それじゃ、ケータイってどういうものなのか。みんなでいっしょに考えてみましょう。 主人公は東京の小学校四年生、山田さとし君。やさしいお母さん、おこるとこわいお父さん、そして中学一年生のお姉さんといっしょにくらしています。ケータイや通信のことにくわしいサイバー博士が先生役です。サイバー博士ってどんな人ですか、って? そのうちわかってくるでしょう。 |
ケータイ・天国と地獄 | |||||||||||||||
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ケータイって
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なかよしの女の子、まいちゃんがケータイでいろいろな人に電話しているのを見るたびにうらやましくてしょうがないさとし君。 「ボクもほしいな。急にお母さんに連絡したいことがあっても、すぐ伝えられるよ」 お母さんと買い物に行くとちゅう、おもいきって話してみました。 「何いってんの。ケータイなんて、つい最近までだれもつかっていなかったのよ。話したいことがあれば、うちまで帰ってくればいいでしょう」 偶然、まいちゃんとお母さんが向こうからやってきました。 「そんなことないわよ。私が働いているから、まいにケータイを持たせているんだけど、いつでも連絡できて便利よ」 「そうかしらねぇ」 |
小学4年生
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その日の晩ご飯のとき、さとし君の家ではケータイが話題になりました。 「小学四年生にケータイなんかいらないよ。鈴木さんちは奥さんが働いているからで、うちには関係ないね」 と、お父さんは問題外といったようす。さとし君は不満です。 「みきねぇは持っているのに、何でボクはダメなのさ」 「みきは中学生になったからケータイを持つのを許したんだよ。さとしにはまだ早い」 「なんで中学一年でよくて、小学四年で早いのさ」 「電話代がいくらになると思うんだ」 「長電話しなければいいんでしょう。うちの電話みたいに一時間もかけないからさ」 「だいたい、何でも会わずにすまそうという考え方がいかん。お父さんの時代なんか、友だちに話したいことがあったら家まで行くのがあたりまえだった」 「時代が違うよ。お父さんは『だいたい』が多いから、いやになるよ。ねぇ、いいでしょう」 「ダメっていったら、ダメ!!」 |
ケータイの電話料金は家の電話の十倍以上
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さとし君はどうしてそんなにケータイがほしいのかな。 | |
「だって、すぐにだれにでも電話で話せるでしょう。便利じゃない」 | |
それじゃ、いままでケータイがなくてこまったことはどれほどあるかな。 | |
「うーん、そんなにこまったというのはなかったかも」 | |
家にある電話は動かせないから、固定電話というんだが、家の電話を使っていて不便だと思ったことはあるかな。 | |
「ベッドに入ってずっと電話していると、お母さんがおこる」 | |
なるほど、ケータイなら専用だから、ずっと電話していてもだれもおこらないね。でも電話をするとおカネがかかるのを知っているかい。 | |
「三分話しても八円ぐらいでしょう。三十分でも八十円。やすいよ」 | |
それは固定電話の料金じゃよ。じつはね、ケータイだと平均的には三分で九十円から百二十円ぐらいかかる。そうすると、三十分話したらいくらかかる?千円ぐらいになっちゃうね。 | |
「えっー!? そんなかかるの」 | |
しかも、固定電話からケータイに電話しても三分で八十円ぐらいかかる。友だちに『ケータイに電話してね』というだけで、その友だちの家では高いおカネを払わなければいかん。 | |
「知らなかったな」 | |
電話は遠くの人とすぐ話せるすばらしい道具だけど、何でも電話ですませるのではなくて、じっさいに会うということも大切なんじゃよ。 | |
「それ、どういうこと?」 | |
たとえば、さとし君になにかこまったことがあって元気がないとすると、電話ではあいてにそのことが伝わらないかもしれない。でも会うと、友だちならすぐにわかるだろう。それが大切なんじゃよ。 | |
「電話より会う方がいろいろわかるんだ。でも、やっぱりケータイがほしいな」 |
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(M)
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新聞掲載:2003年4月9日
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