『IT社会事件簿』を読む⑥ スティーブ・ジョブズの死

<補遺>

 アップルがマッキントッシュを発売したとき、スーパーボウル会場でたった1度だけ流れた、有名なCMをまだご覧になっていない方は、ぜひご覧になるといいですね。

 大型スクリーン上でジョージ・オーウェルの小説『1984年』に登場する「独裁者(ビッグブラザー)」ふうの人物が演説し、これをミハエル・エンデの『モモ』に出てくる「灰色の人間」のように無気力な人びとが聞いています。暗い雰囲気の会場へ若い、真っ赤なショーツ姿の金髪女性が勢いよく駆け込んできて、大型スクリーンめがけてハンマーを放り投げます。画面が破壊されたとき、次のメッセージが画面に流れました。

 1月24日、アップルはマッキントッシュを発売します。そのとき、1984年が小説のようにはならないことをあなた方は知るでしょう。

 SF映画の傑作、『ブレードランナー』のリドリー・スコット監督が製作したものです。日本経済新聞文化欄で最近「世界を変えた広告十選」という小さなコラムがあって、その第1回(2014.2.27)がこのCMでした。

 アップルのCEOに、東部のエスタブリッシュ企業、ペプシコーラのジョン・スカリーをスカウトしたとき、ジョブズが「あなたは人生の残りの日々を、ただ砂糖水を売って過ごすんですか。世界を変えようというチャンスに賭ける気はないんですか」と口説いたという話も有名です(ジョブズは結局、スカリーとうまくいかず、彼の方がアップルから一時追い出されてしまうわけだけれど)。

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