『IT社会事件簿』を読む⑤ 大津市のいじめと結婚詐欺&殺人

<補遺>

 コミュニティについて付言。フェイスブックやツイッターを通じた仲間の広がりと、東日本大震災などで見られたような、お互いに大事なものを融通しあい、助け合うつながりとはやはり違いますね。「顔の見える」範囲内の人間関係をより強固なものにしていくための、ふだんの努力が必要ではないでしょうか。

 これは社会編①②で取り上げた「ソーシャルキャピタル」の生産でもあります。欧州発のスローフード運動こそ、この「顔の見える範囲内の人間関係の充実」を目指すものです。私たちはインターネットを利用することで、「顔も見えない」広い範囲から多くの便益を得ていますが、そのために何を失っているかを考え直してみましょう。

 Kの人間関係が不思議なのは、肉体関係をもった相手とすら、インターネットでつながった人間関係以上には深いコミットメントを持とうとしなかったことです。

<関連情報>

 昨年(2013年4月)神奈川県湯河原町でも中学2年の男子生徒が自殺する事件があり、町教委が設置した第三者委員会がいじめによるものだと認定する報告書を提出、2014年3月4日に公開されました。大津市の事件とあまりに似ているのに驚かされます。

 報告書によれば、自殺前日に生徒は「たまには僕たちの悩みも聞いてください」と記したカードを担任に提出していたそうです。どうして教師は生徒の行動に頓着しないのでしょうか。

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