新サイバー閑話(76)<折々メール閑話>㉕

訪れた春を愛でつつ、つれづれ閑話

A 近くの梅園に行ってみました。春ですねえ。

B 訪れた春に背いて、世の中、暗い話題が多いですね。

A 山本太郎の3月2日の参議院質問を車の中で全身耳と目状態で視聴しました。超絶かっこいい! すでに総理の風格。一方の現総理大臣の、知識も信念も気概もない答弁は惨めの一言です。
 周到に準備し、官僚をこき使い、自論の正しさを証明させるなんて、まさに水際立った質問で、共産党の小池書記局長も霞んでしまうほどです。国の存立の根幹に係わる防衛問題から説き起こし、官僚が国連の敵国条項は死文化していると無駄な抵抗をするのを粉砕、最後は現政権が国民のための経済政策をまったくやってないことを明らかにして、退陣を迫りました。「自民党政権は退陣以外にない、骨のない野党の経済政策に超絶積極財政をビルトインさせて政権交代、日本経済を復活させるのは私たちれいわです」。

B 大石あき子、櫛渕万里も2月28日の衆議院本会議で予算案に反対して牛歩戦術をとりました。れいわの本気度というものが、国民の間に徐々に浸透していくといいですね。
 もう一つ、山本太郎の発言で感心したのがあります。沼津おしゃべり会で、かつてれいわに期待したけれど、いまは離れていっている人もいるという聴衆の質問(叱責)に対して、「政治は自動販売機のボタンを押したら出てくるような『消費する』ものではない。ある程度、いっしょに伴奏してもらわないと」と答えながら、最後にこう言いました。

去る人は追わない、けれども、どうせならいっしょにやろうよ。そういう気持ちなんですよ。だって、(世の中)変えられるもん、かなうかどうかわからないけど、絶対やってやるからなって、気概を持ってみんな集まってんですよ。議員になる人も、候補者になる人も、支援者も。私たちは皆さんの期待に応えられるように、ない頭絞りながら頑張っていく、全力でやる、これは約束する。しかし、やっぱり(みんなに)育ててもらわなあかん、もっと強いれいわに、もっと強い山本太郎にしてもらうためには、みなさんも山本太郎もいっしょに成長していきながら前に進んでいくしかない、そう思っています。

 まだ出来たてで〝不完全〟なれいわを完成品として「チェック」するのではなく、ともに伴走してほしい、そしてみんなで成長していこうではないか、という訴えですね。最後には聴衆から拍手も起こりました。

A 別件でウィキペディアを見ているとき、半藤一利さんに関する以下の記述を見つけました。

日本近代史の歴史観において、「40年史観」を提唱している。その主張は、明治以降の日本は40年ごとに興廃を繰り返しており、明治政府樹立から40年後である日露戦争で軍事大国化し、その40年後の第二次世界大戦で大敗し、さらに40年後にはバブル期の経済的絶頂をむかえ、バブル崩壊後の40年後には再び没落するという予測。その理由として、戦争による悲惨さを経験した世代が入れ替わる期間が40年ほどであるためとしている 。

 まことに説得力のある史観かと。後藤田正晴はもちろん、田中角栄も戦争経験者が居なくなった時の政治を危惧していました。

B 半藤一利は昭和史研究家で「歴史探偵」を自認していた人ですね。出典は彼の著書、『歴史に「何を」学ぶのか』(ちくまプリマ―新書、2017)でした。以下のようになりますか。

1865 幕藩体制崩壊(⤴)
1905 日露戦争勝利(⤵)
1945 敗戦(⤴)
1985 高度成長、Japan as No1(⤵)
2025 ?

 上昇の頂点は下降の始まりであり、完全崩壊が上昇の契機にもなっています。さて2025年に底を迎えるとして、その後に上昇に転ずる可能性はどのくらいあるのか、ということですね。

A 現下の状況には悲観的にならざるを得ません。菅義偉は、言うにこと欠いて、自分は戦後生まれだから沖縄の歴史は知らないとうそぶく。老害連中は当の戦争経験者なのに、まるで知らん顔、私利私欲のみで国民のことなど眼中にない。

B たしかに現下の日本は没落に向っている気がします。日露戦争当時、夏目漱石は『三四郎』で広田先生に「日本は滅びるよ」と言わせたわけだけれど、このセリフが生々しく響きます。
 半藤一利は2年前(2021年)に惜しくも亡くなりましたが、この本を書いたのが87歳の時です。我々もいい歳になってはいるが、残された時間はまだ少しはあるということでもありますね。「日残リテ暮ルルに未ダ遠シ」と言えるかどうかはともかく。
 最近、新聞社の同期で「戦後民主主義の申し子」を自認していた親友の硬骨漢が亡くなりました。長生きとは親しき人を失う悲哀に耐えることである、と痛感した次第です。
 彼は<サイバー燈台>を熱心に読んでくれていた読者でもあり、比較的最近もらったメールには、「れいわ新選組への肩入れには驚かされました。その裏にある思いを推察しました。『ASAHIパソコン』創刊からその後の奮闘ぶりももちろん、読んでいます。‣‣‣『明るい闇』には共感したので、仲間のMLでも紹介しました」などと書いてくれていました。「明るい闇」というのは、<折々メール閑話>への言及です。

A 『三屋清左衛門残日録』の最終章を思い出しますねえ。

衰えて死がおとずれるそのときは、おのれを生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終わればよい。しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ。

 もっとも藤沢周平さんは、この文章に照れを感じていたみたいです。気負い込み過ぎたという意味の言葉を何かで述べられていた記憶があります。そこがまた藤沢周平らしい。

B 『藤沢周平全集』もお持ちの藤沢ファンなんですよね。『三屋清左衛門残日録』のそのくだりは僕の印象にも強く残りました。

A 作家の藤沢周平、哲学者の池田晶子、俳優の高倉健、これさえあれば、生きていけます(^o^)。

B 貴兄の「三種の神器」にまつわる話はいずれ聞くこともあろうかと思います。僕はインドの哲人、政治家のガンジーの次の言葉をモットーとしています。
 Live as if you were to die tomorrow, learn as if you were to live forever(明日死ぬと思って生きなさい、永遠に生きると思って学びなさい)

A テレビはまったく見ないので、成田悠輔とかいうイエール大学の若手経済学者がテレビで「日本の難題を解決するには高齢者が集団自決するしかないのでは」などと語ったのは知らなかったのだけれど、たまたまネットで「切腹はファッションだと思う」と発言していることを知り、怒り心頭です! しかも武士道に造詣が深いとの注釈付き。

B 成田某の発言は大いに問題だし、老人としての怒りも感じるけれど、このような過激発言の裏には日本の政界、財界、いや社会全体を覆う老人の「不当な居座り」に対する怒りがあるのは確かですね。
 ミャンマー国軍から名誉称号と勲章を贈られて喜んでいる自民党の麻生太郎副総裁など典型です。いっしょに勲章をもらった日本ミャンマー協会の渡辺英央会長も元郵政相で、授与式に出席し「ミャンマー発展と国軍の地位のために努力する」と述べたと報じられています。日本政府はクーデター後、公的には、民主的な政治体制への復帰を求め、国軍支配を認めていないのに、それを完全に反故にすることが一方で、平気で行われているわけです。
 岸田首相にしても、このところ安保法制の重要な変更を閣議決定したり、原発再稼働へ強引に舵を切ったりしながら、国会ではほとんど何の説明もしていない。表面的には安倍元首相のような強引さを見せないけれど、実際は、それ以上とも言える問答無用ぶりです。
 若い人から見ると、老人の跋扈する現代日本の政治、社会のしくみは許せないと思いますよ。大企業でも年長者は年功序列の残滓にすがりついて、けっこう高給を取っているわけで、若い人は非正規雇用を強いられている。しかも、そういう実態について何の説明も、対策もないわけです。今や組合も同じ構造の中にあります。
 そのあおりが若者の怒りとなって、その刃が〝善良〟なる我々に及んできているとも言えますね。若い人も選挙で投票するなり、若い人の代表を立てたりすればいいと思うけれど‣‣‣。

A 岸田首相は異次元の少子化対策などと言葉遊びばかりしているけれど、何を今ごろ寝ぼけたことを言っているのか! 30年続くデフレ、そこへコロナがやってきて物価高。親友に日本共産党三重県南部委員会の幹部がいますが、彼のところへ来る生活苦を訴える相談は、このところ倍増しているそうです。明日食べるものが無いという悲痛な叫びまで。この現状を知りもしないで、異次元の少子化対策などクソくらえですね。
 2022年の出生数が初めて80万人を切ったというニュースもありました。金をやるから子どもを産めという発想は、人間を労働力としてしか見ていないということ。そんな国は滅びてしまえ!と思ったりしますねえ。根本的なところで何かが欠けている。仁義礼智信は今いずこです。

B 友人に聞いたのだが、その人の知り合いで退職後はコミュニティとしての喫茶店を経営している人が、岸田首相がやけに力を入れている5月の広島サミットに向けて、1つの提案をしているようです。

<提案:5 月 19 日から 21 日にかけて広島で開かれる G7 サミットの議長とし て、岸田文雄首相が、プーチン・ロシア大統領、習近平・中国国家主席、金正恩・朝鮮労働党総書記の3人も招待することを求める>

 仲間内にメールを送り、賛同者には拡散を依頼している程度のようで、提案を公開したウエブはありません。荒唐無稽な話を外交の場に持ち出すべきではないと反論する人もいるし、当の本人の思惑はよくわからないところもありますが、おとぎ話的なアイデアとしては、ちょっと意表を突く斬新なところがありますね。それぐらいのことを頭の隅ででも考えるような日本の首相であってほしいという願いも感じます。

A おもしろい提案ですね。

B 世界はいま地震、火山爆発、集中豪雨による河川の氾濫、洪水、それとは真逆の干ばつ、と気候変動による災害のニュースであふれています。半藤説による2025年の日本の没落は政治、経済などの人的要素によるのか、あるいは大地震襲来、富士山爆発といった天変地異によるのか、それはわからないけれど、それにも関わらず、未来に向けての希望をもちたい。そのために、我々としては山本太郎およびれいわ新選組に賭けたい気持ちが強いということですね。
 安倍政権以降、日本は満州事変を契機に太平洋戦争へと突き進んでいった昭和10年代の空気に非常に近づいていますね。いま何が起こっているのか、これを丁寧に記録しておくことは、本<折々メール閑話>の役割だと言えるかも。

A タモリが「新しい戦前」と言ったのは、そのことでしょうね。なかなかセンスがいいと感心しました。

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