<52>目の不自由な人も可能な「ケータイ読書」(05/4/10)
パソコンなどの電子機器を使って読む本「電子書籍」(電子ブック)が、急速に読者を増やしている。電子書籍とその専用端末のことは昨年7月4日号で紹介したけれど、読者を増やしているのは専用端末ではない。実はケータイなんだ。
昨年から大容量の情報を高速に送信する「第三世代」ケータイが普及し始め、長編小説やマンガも楽々ダウンロードできるようになった。通信料も定額サービスが登場し、どんどん料金がかさむ心配もなくなった。
ケータイ向け電子書籍サイトも次々と登場。紙で出版された作品だけでなく、書き下ろし連載などサイト独自の作品で競い合っている。ある大手出版社の電子書籍の売り上げはケータイとパソコンの比率が9対1になるほどの急増ぶりだ。
現在の読者は20代の女性が中心で、よく売れる作品としては史上最年少の19歳で芥川賞を受賞した綿矢りささんの『インストール』など、20代女性に人気がある作家の作品が好調のようだ。
いつでもどこでも買ってすぐ読める便利さは、紙の本にもパソコンで読む本にもない機能なので、今後はさらに利用者数が増えると考えられている。となると「いつでもどこでも」のほかに、もう一つ大事な要素が出てくる。それは「だれでも」だ。
実は視覚障害者の中にもメールなどを読み上げる機能がついたケータイで読書する人たちがいる。この機能を使えばテキスト形式の電子書籍データなら読むことができる。
ところが、電子書籍のサイトでは、縦書き表示など、目の見える人に便利な機能を提供する専用ソフトで読む特殊な方式が多く、そのデータ形式は読み上げ機能に対応していない。
これまで視覚障害者は、話題の本に関心があっても点字版や録音版を待たねばならず、読めるのは話題が去った後だった。ケータイで音声化が可能な電子書籍によって、みんなと同時に楽しめるようになることへの期待は大きい。
こうした人たちの期待にもちゃんと応える形で発展してほしいね。(MN)
投稿者 Naoaki Yano : 2006年06月02日 14:12