<5>若者の理想から出発した(04/5/2)
『マトリックス』という映画を見たかな。人間の意識がプログラムとして送り込まれたサイバースペース(マトリックス)で、主人公たちが人類を支配する人工知能と戦うという物語だ。マトリックスという世界は、すべてがプログラムであると気づいた人間だけが超人のように振る舞えるというのが面白かったね。
実は、この映画とそっくりの設定の小説がある。1984年に発表されたウィリアム・ギブソンの『ニューロマンサー』(ハヤカワ文庫)だ。人間の脳とコンピュータのネットワークが結合した怪しくも危険な電脳世界を描いたこのSF小説で初めて、サイバースペースやマトリックスという言葉が使われた。いま読んでも古さを感じさせないすごい小説だ。
この小説がサイバースペースを危ない世界として描いたせいかどうかわからないが、これまで大人たちにはインターネットは乱暴者の集まる無法地帯というイメージもあった。
しかし、インターネットはもともと、人と人とを結びつけたいという若い人たちの理想が結集して、ボランティアのネットワークとして発展してきたものだ。
インターネットが立ち上がった最初のきっかけはアメリカ国防総省の高等研究計画局(ARPA=アーパ)が作った。ARPAはアメリカが核攻撃を受けたとしても動き続けるネットワークの開発を1969年から始め、それが次第に全米の大学や研究機関につながり、インターネットに発展していった。
初期のインターネット技術の開発の中心はUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の学生たちだった。彼らはさまざまな情報をオープンにして、みんなで共有し、運営の仕方や技術規格などは全員が議論して民主的に決めることを徹底した。
ある人が開発したソフトもみんなが無料で使えるようにし、国や企業や専門家などにたよることなく、自主的、民主的に運営できるネットワークを作ろうと考えた。若い人たちの理想からスタートしたのがインターネットだったんだね。(KY)
投稿者 Naoaki Yano : 2005年09月09日 15:31