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2005年09月12日

<11>佐世保小事件とサイバースペースの賢い歩き方(04/6/13)

 長崎県佐世保市で小学校6年生の女子が同級生に切りつけられ死亡するという、とても悲しい事件があった。加害者の女子は、ホームページの掲示板に嫌なことを書き込まれたことが動機だと語った。

 友だち同士のメールやチャット、掲示板を使ったおしゃべりは、デジタル版の手紙や交換日記と思っている人も多いだろうけれど、デジタルの世界は現実とは少し違う特徴がある。心理学者の小林正幸教授(東京学芸大学)はこう説明する。

「メールや掲示板のように表情や動作といった要素のないメディアは、顔が見えないために、会っているときはいいにくいことを表現しやすい。ふだんは照れくさい感謝や感動の言葉、あるいは怒りや悲しみの気持ちもストレートに送ることができる。受け取る相手は文字情報だけで相手の気持ちを判断するから、読み取れない部分は想像力で補うことになる。だから、いいことも悪いことも書いた本人が思っている何倍にも大きく膨らんでしまう。読む人が複数になる掲示板やメーリングリストであれば、気持ちはもっと複雑になる」
 
つまり、メールやチャットには、人を親密にする力と、感情的にして関係を悪化させる両方の力があるということなんだ。しかも交換日記や手紙なら書き直すこともできるが、ネットはすぐ送信でき、送信したら訂正はきかない。

 小林教授はこう語る。
「男の子より女の子の方が自分の心情を文字にして表すことが得意だが、掲示板は交換日記のように、本当は落書き程度のことでも、受けとる人はホンネが書いてあると思いこみやすい」

 掲示板の世界では昔から「フレーミング」と呼ばれる激しいケンカがしばしば起こる。会って話せば分かるが、文字だけでは感情がむき出しになり、怒りが爆発することがある。

 今回の事件もそうした感情の爆発があったのかもしれない。だが、友だちとのトラブルが起きたとき「相手を不快に思ったり、自分の気持ちを伝えたいと思ったりするのは自然なこと」と小林教授はいう。

 ただし「相手に対して『こうしろ』ではなく、『私はあなたがこうしてくれるとうれしい』と書いた方がいい。怒りは相手への“願い”であり、辛いこと、悲しいことは人を豊かにしていく」と小林教授。

 ネットの特性をよく知り、相手の気持ちを考えること。それこそサイバースペースの賢い歩き方だ。(MH)

投稿者 Naoaki Yano : 2005年09月12日 10:27

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