2006年06月11日

<64>情報を生かすも殺すも使い方次第(05/7/10)

[ サイバーウオーキング ]

 山口県立光高校で3年生の男子生徒が教室に火薬入りの瓶を投げ込んで、58人の生徒が重軽傷を負うという事件があった。

 爆発物を使用するという無差別テロに近い犯行も驚きだが、インターネットのホームページを参考に自分で作ったという報道に気分が暗くなった。

 男子生徒は市販の花火をほぐして火薬を取り出し、清涼飲料の瓶に入れて導火線を取り付けた。中には釘や金属片も混ぜて殺傷力を高めていた。男子生徒には被害の痛みなど想像できなかったのだろう。
 2002年にも当時の高校2年生がインターネットで調べて爆弾を作り、東京の有明で爆発させた事件があった。また2000年に東京・歌舞伎町のビデオ店で起きた爆発事故も、高校2年生がインターネットから得た知識で爆弾を作った。この生徒は中学時代から製造方法を研究していたという。

 インターネットは事実やウソがごちゃ混ぜになった巨大な情報の海だ。この海からはキーワード一つであらゆるマニュアルを見つけ出すことができる。爆弾や毒ガスの作り方もある一方で、いろいろな科学実験のマニュアルや、勉強・趣味・生活に役立つ情報もたくさんある。

 科学は生活を豊かにした反面、人を殺す爆弾も作った。しかし火薬、爆発という現象が悪いのではない。上手に使えばトンネルを早く掘ることもできるし、きれいな花火も作れる。自動車だってガソリンを爆発させてエンジンを動かしている。要するに人の使い方次第だ。

 光高校の事件を受けて、政府ではインターネット上の違法・有害情報の規制を強化する検討を始めた。インターネットを利用する私たちが使い方を知らないと、結局は「規制」ということになってしまう。

 インターネットという豊かな海が“遊泳禁止”だらけになっては面白くないだろう。いま、そんな海を守る知恵がみんなに求められている。(KY)

投稿者 Naoaki Yano : 22:15 | コメント (0) | トラックバック (0)

<63>掲示板での挑発や悪口には無視が一番(05/7/3)

[ サイバーウオーキング ]

 サイバーリテラシー研究所に寄せられた相談と回答を今回から随時掲載します。相談には研究所の担当者が直接回答し、相談者の了解が得られれば、このコーナーで紹介します。

 Q 私と友人は「ぱどタウン」というバーチャルタウン(ネット上の架空の町で自分の家【部屋】を作るコミュニティサイト)に登録しています。昨日、友人の部屋の掲示板にAという知らない人から「おまえ、ばか!!」って書き込みがあって、怒った友人は私に「その人の掲示板に文句を書いて!!」と電話してきました。私は断りきれなくて、「ばっかじゃないの?」と書いてしまいました。

 しばらくすると私の掲示板に「お前殺されたいの?家知ってるし。4時半に近くの公園に来いよ」とAの書き込みがありました。私と友人はすぐ退会しましたが、その後、友人が再入会すると自分の部屋の「住所録」(気に入った別の人の部屋を登録する機能)になぜかAの部屋が勝手に登録されていたそうです。あの人は本当に私の(実際の)家を知ってるんでしょうか?? すごく恐いし、とても後悔しています。(中3)

 A まず必要以上に怖がったり、あわてないことです。通常は、「ぱどタウン」を通じて住所や電話番号を知ることはできません。「家知ってるし」という書き込みは典型的な脅し文句で「近くの公園」などAは知らないでしょう。危険なのはあなたが「どうして○○公園知っているの?」などと返事することです。相手にあなたの住む町を教えることになります。

 自分の部屋の「住所録」に相手が勝手に登録することは基本的にはできないはずですが、まずは削除して同じことが繰り返されるなら、サイト管理者に通報してください。

 掲示板やメールで決して、あなたに関連したこと、住む場所や学校の情報などを書いてはいけません。挑発的な言葉に反応せず、無視することが一番の対策です。ただし、あなたの知人や友人が他人を装っている可能性もあります。悪質な攻撃がやまないようならば、両親や先生に相談してみてください。(KY)

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<62>自分のケータイの「迷惑メール」対策も知っておこう(05/6/26)

[ サイバーウオーキング ]

 メールは楽しいけれど、迷惑メールで困った人もいるようだね。1月30日号で紹介したように、迷惑メールはワンクリック詐欺や不当な料金請求など、実際の被害につながる可能性もある。アドレスを複雑なものに工夫する、知らない発信者からのメールには返信しない、メールに書いてあるURLに軽い気持ちでアクセスしないなど、使う側の心構えがとても大事だ。

 迷惑メールは、受け取った人が困るだけではない。そのほとんどがパソコンを使って大量に発信されているため、架空のアドレスを含めた不必要な送信によって回線が混み合い、メールを送受信しようとしている人たち全体にまで影響することもある。

 勝手に迷惑メールを送りつけた場合、「特定電子メールの送信の適正化などに関する法律」(略称:迷惑メール対策法)によって処罰される。不特定多数の人に迷惑メールを送ったり、発信者が誰なのかわからないようにアドレスを偽装したりすると、場合によっては罰金が科せられる。

 この5月には法律が改正され、個人だけでなく企業向けに送られた迷惑メールも罰則の対象となるほか、違反者には罰金だけではなく、実刑が科せられることなどが決まった。

 電話会社もいろいろな迷惑メール対策をしている。ケータイの場合、パソコンからのメールをすべて受信拒否する、指定したアドレスの着信を拒否する、逆に決まったアドレスからだけ受信するといった機能を選んで使うことができるようになっている。

 通信会社KDDIのケータイ「au」にはインターネットを使わずに短いメールをやりとりできるCメールサービスがあるが、今年の3月からは、Cメールのメッセージ本文中にURLや電話番号が含まれていると、自動的に受信したメールを破棄する対策を始めた。これは迷惑メールにURLが含まれていることが多いからだ。自分の使っているケータイの会社は、どんな迷惑メール対策を行っているか、ホームページをのぞいてみるのもいいかもしれないね。(MH)

投稿者 Naoaki Yano : 22:12 | コメント (0) | トラックバック (0)

<61>「朝中アンケート」に見るトラブルの実態(05/6/12)

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 ケータイやインターネットのトラブルにあったことがある読者は3割(回答のあった87人中26人)。5月29日号に掲載された「朝中メールアンケート」の結果だ。

 みんなのコメントからトラブルの傾向が見える。パソコンによるインターネット利用ではウイルスの被害を受けた人が4人いた。

  「裏技サイトのアドをただで教えますと書いてあったのでクリックしたら、ウイルスがいきなりウジャウジャ入ってきて、パソコンが侵された」なんていう恐いコメントもあった。最近はサイトにアクセスしただけでウイルスを侵入させる手口もあるので要注意だ。

 インターネットについは、メール、掲示板、チャットでのケンカ、嫌がらせなどのトラブルも数人いた。中には、年下なのに「ため口」を使うので腹を立ててメールでケンカしたという中3もいたが、ネットでは年齢を問わない付き合いをする例が多いので、あまり相手の年齢を気にしすぎるとコミュニケーションしにくくなる。もちろん、年上・年下にかかわらず礼儀正しい言葉使いは必要だ。

 次に目立つのが架空請求。わいせつなサイトを見たら3万円請求されたとか、アクセスするといきなり入会扱いになる「ワンクリック登録」で3万5000円請求されたなど。

 危険なサイトに近づかないのが一番だけど、ある中2は請求先の会社名をインターネットで検索して同様の被害が多いことを知ったという。焦って間違った対応をするよりも、まずは冷静にネットで調べてみるというのは賢いやり方だ。もちろんこういう悪質事業者は相手にせず無視するのが一番。

 呼び出し音を1回鳴らして折り返し電話をさせる「ワン切り」や迷惑メールも相変わらず多いが、一つ気になったのは「学校内で先輩にアドレスを教えろ」と脅かされたトラブル。実はその先輩は渋谷(東京)で業者に「アドレスを買ってやるから百人分集めろ」と誘われたらしく、業者に渡れば悪用される危険性が高い。いくら先輩でも簡単に教えないことだ。(KY)

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2006年06月04日

<60>調べものから被害の防ぎ方まで、「小学生ケータイ授業」60(05/6/5)

[ サイバーウオーキング ]

 千葉県柏市の小学校に、ケータイを使ってユニークな授業をしている先生がいる。旭東小学校の佐和伸明先生だ。金沢大学の中川一史先生たちと「携帯活用プロジェクト」に参加、ケータイを使った調べ学習や他校との交流を行っている。

 一昨年、佐和先生が担任した6年1組では、ケータイを修学旅行のガイドブック作成に役立てた。電話で取材調査したり、ゲストティーチャーに来てくれた雑誌編集者と授業の後もテレビ電話で連絡を取り合って、冊子製作のノウハウを教わったりした。ほかにも学校での出来事をカメラ撮影し、説明の文章をつけて学級日誌としてケータイと学校のHPを通して毎日発信するなど、ケータイを使っていろいろな実践にしたんだ。

 また、「便利なの?危ないの?携帯電話について考えよう!」というテーマで、ケータイのメリット・デメリットを調べて話し合い、通信会社の人を講師に招いて話を聞くなど、情報モラルを学ぶ授業も行った。

 佐和先生は、「ケータイはコミュニケーションをとるための道具。上手に使えば、人との付き合いや自分自身の学びを深めることができる」と話す。迷惑メールなどデメリットに関しては、「あらかじめ知識をもつことで、被害を防ぐ判断力がついていく」という。

 5、6年生のとき佐和先生に学び、いまは柏市立柏中学校2年生の石井奏絵さんは、小学校3年生からプリペイド式のケータイを使っている。授業を振り返り、「ケータイは便利でいいことばかりだと思っていたけど、こわいこともあると知ることができた」と話す。その一方で、「テレビ電話で遠く離れた学校の子たちと話したり、勉強にも生かせたりできると気がついた」という。

 同じく柏中2年の石川亜佑美さんは、中学生になり自分のケータイを持った。「授業はとても印象に残っている。学んだことはこれからも役立ちそう」と話す。

 現在、佐和先生が担任する5年1組も学級日誌を続けている。さらに、「さわキッズケータイ研究室」を立ち上げ、ケータイの利用方法やモラルについての意見をウエブなどで情報発信していこうと話し合っているところだ。どんな意見が出るのか楽しみだね。(MH)

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<59>遠隔操作でハンティングするのをどう考えるか(05/5/29)

[ サイバーウオーキング ]

 インターネットや無線を使って、離れたところからロボットや機器を動かす遠隔操作という技術はこれから重要になるといわれているけれど、アメリカでちょっと困った遠隔操作がいま話題を呼んでいる。

 それは、自宅にいながらパソコンを使ってシカやヒツジなど動物を撃つ“オンライン・ハンティング”だ。運営者が借りているテキサス州の牧場にビデオカメラと連動したライフルを置き、利用者が実際に狩猟を楽しむというもの。会費は月約15ドル、弾は10発(最大20分)で約6ドルだ。あわせて約2200円ほどになる。

 運営者は開設したサイト上で、「身体の不自由なハンディキャップを持つ人たちや、ハンターたちが利用できる」と述べているが、動物愛護団体やハンティング団体は「おぞましいゲーム」と反発し、オンライン・ハンティングを規制しようという各州の動きも出てきた。

 ビデオゲームのように動物を撃つことを、ハンティング団体は道徳的に許せないと攻撃しているが、一方で「人間は過去、ハンティングのために高性能のライフルなど新しい技術を利用してきた。ITもその一つ」という意見もある。

 たしかに、オンラインで体感もなく生き物を容易に殺せる“システム”はおぞましいものだが、そもそもハンティング自体が道徳的でないという考え方もあるだろう。ITの登場は改めて趣味としてのハンティングの道徳性を問うきっかけになるように思える。

 技術としての遠隔操作はすでに社会のいろいろな場所で活用され始めている。

 例えば、東京消防庁は危険な火災現場で消火活動をおこなう無人走行放水車や、地下街火災などで活躍する遠隔操作式消火装置などいくつかの消防ロボットを実用化している。 また医療分野でも手術や診断を遠隔操作でおこなう技術が急速に進んでいる。

 さらに近未来の住宅では、携帯電話などを使って様々な情報家電を外部からコントロールできるようになる。確かに遠隔操作は便利だが、できるから何でもやるのでは知恵がない。多くの人が幸せになるのかという視点を持つことが大事だ。(KY)

投稿者 Naoaki Yano : 13:19 | コメント (0) | トラックバック (0)

<58>食品のたどった「過去」を追跡する「トレーサビリティ」(05/5/22)

[ サイバーウオーキング ]

 安い牛丼を口にできなくなってだいぶたった。それはアメリカ産の牛肉がBSE(狂牛病)によって日本に輸入できなくなったからだ。BSEが日本でも発生したことは知っているね。それじゃ、なぜ国内の牛肉は大丈夫で、アメリカ産は認められていないのだろか。

 その一つの理由が「トレーサビリティ(traceability)」だ。日本語で「追跡する」という意味。スーパーなどで売られている野菜や肉などの生産者や加工業者、流通業者などをパッケージごとに記録し、だれが、どこで、どのように関わったかを追跡できるようにすることを指す。

 日本では2003三年12月から国内で生まれたすべての牛に対して10ケタの個体識別番号が振られた「耳標」が装着され、その出生から肥育、とさつ(食肉にするための解体処理)までがデータベースに記録されるようになった。翌2004四年12月からは加工、流通そして販売のプロセスでも個体識別番号が記録され、店頭でのパッケージの商品ラベルに表示されるようになった。

 これによって、その牛肉がたどってきた「過去」をインターネットなどで調べることができるようになった。BSE検査によって安全性が認められた牛肉だけが流通し、もしトラブルが発生しても、即座にトラブルの発生元を突き止め、被害が広がることを防ぐことができる。

 これに対してアメリカでは牛肉のトレーサビリティ制度がない。日本政府の食品安全委員会はアメリカ政府と協議の上、検査によって感染を見つけられないので、生後20ヶ月以下の若い牛をBSE検査から除外する、つまり輸入を再開すると認めたが、トレーサビリティのないアメリカで生後20ヶ月以下の牛を特定することは簡単ではない。

 ある大手スーパーでは野菜や果物にトレーサビリティを導入し、商品ラベルに貼り付けられた二次元バーコード(QRコード)から携帯電話で情報を読み取るシステムを作った。今後、トレーサビリティは食品安全のキーワードとなるだろう。(KY)

投稿者 Naoaki Yano : 13:18 | コメント (0) | トラックバック (0)